love5 新人
少し薄暗いカラオケボックスの中で、無事想いが通い合った俺と兄者は、けっこう濃厚なキスをしていた上、気分がノってきちゃった俺は、兄者の服まで脱がせちゃったりしていた。
もちろんこんな事は、他人には決して見られてはならないランキング上位をつかさどるほどの行為。(けっこうウブな俺)
たぶん、こんなトラブルさえなければ、俺達はたぶん最後までできたのに、だ!
そう。こんなトラブルというのは、いきなりの知らない奴乱入事件。
俺と兄者が熱い抱擁を交わしていた際、突如部屋に無断侵入してきたのだ。
「な、なんだよ、オマエら!いきなりノックもせずに乱入してきやがって!(ムード台無しじゃねーか!)」
とりあえず俺は、反射的に兄者から離れ、侵入者どもに暴言を吐く。
そして、まじまじと乱入男2人を偵察してみる事にした。
とりあえず、奴らの着てる制服が俺たちのと同じだったから、どうやら他校の生徒ではないらしいことが判明。
次は、一人ずつチェック イン!(なんやかんやでこの状況を楽しんでる)
まずは、容疑者一人目。
成長しすぎた、大阪人好青年A。(しかし、只今不法侵入を侵してしまった罪ボーイ)
第一印象は、とにかく、背長がデカイ。これはもはや、無駄に等しいくらいにデカイ。
ぜひ、君が今までに摂取した栄養分の60パーセントを、恵まれない子供たちにわけてやってください。
次は、容疑者2人目。
こちらはこちらで、頭は金髪耳にはピアス多数の不良系やんちゃボーイB。(校則違反ヨ!)
服装は少し着崩し気味、・・というよりは、洒落てる着こなし方。
顔は・・たしかに、ブサイクメンとはいわねえ。
つか、むしろイケメーンな部類に入るのだろう。
でも、不良!怖い!却下!
というわけで・・・せっかくの兄者との初ラブラブムードをあっけなく破壊された被害者(俺)は、只今とっても不機嫌です。
「・・あのさ。稜、」
「シャラーップ、兄者!兄者との大切な時間を邪魔された俺は、今ちょーキレてんのー!
つか、何このギャップコンビ!」
きっと俺を宥めようとしていたんだろうが、ご立腹な稜くんはそれを拒否しちゃいましたよ。
拒否反応ですよ。
「聞かれちゃしゃあない。教えたるわ。わいは、大道寺雅瑠。(だいどうじ まさる)バスケ部のホープや♪ちなみに、あんたとは同じ学年やのに、わいのこと知りまへんの?」
と大阪人好青年、もとい大道寺はヘラヘラ笑いながら、自己紹介しやがる。
俺もちなみに言うが、おまえなぞ知らん。
「オレは、紫苑春喜(しおん はるき)。1年だけど、イチオーバスケ部副部長やってます。」
大道寺に続き、不良ボーイ・・紫苑は年下とのこと。
てゆか、1年で副部長ってどんだけ強ぇーんだよナマイキな!
つーか、1年でキンパってどんだけだよナマイキな!
・・て、バスケ部?
こいつら、兄者と同じ部活だ。(ちなみに俺は、サッカー部)
「あ、あんたら・・、」
「やっとわかった?この人達はね・・、」
思わず絶句する俺。
そんな俺の肩に、兄者はポンと手をのせ、俺を諭そうとする、が。
「兄者のなんなんだ―――――!!」
びしィっと容疑者・大道寺達に指を指し、俺は叫んだ。
なんだよ、なんだよ。あんたら一体、兄者のなんなんだよー!
愛人、義理兄弟、ペット、親(ありえない)、秘密の家庭教師etc..
どれでも、俺は絶対認めねー!(てか、親とか義理兄弟とかだったら、俺もヒトゴトじゃねぇ!!)
「ち、ちーと待ぃや!わいらは、花螢とはなんでもないで!単なる部活仲間や!・・第一なァ。わいとハルキは、付き合っとるんやで?そないなまちがいが、あるわけへん。」
「せ、センパイ!所構わず、ベラベラ言わないでくださいよ!」
「お、すまんな?・・でも、そないな事で赤くなっとるハルキは、ホンマにメンコイなァ。わいのツボど真ん中やっ」
横にいた紫苑の肩を抱いて、大道寺は言う。
しかも、痴話喧嘩まで見せ付けてきやがった。
と思いつつも、俺は内心どこかほっとしていたりする。
こっちも同じ事情かよ。けっこう、いるもんだ。(かわいい、かわいいいうトコは俺と似てるし)
まあ、それなら、なおさら話は早いじゃねーか。
「で。俺と兄者がラブラブしてる時に乱入してきてまで、一体なんの用だよ?」
負けじと俺も、兄者に抱きついてみる。
「・・・・くっつくな」
しかし、呆気なく離される俺って、可哀想。
ぜってー、大道寺達のせいじゃん!
さっきまでの兄者は、「終わり・・・なの、」とか言ってきて、ちょー素直で可愛かったのによ!
「ひっでー、兄者!さっきまでの可愛いマイエンジェルは何処へ、」
「可愛くなくて悪かったね」
「そーゆーイミじゃねーの!」
あー、もう最悪。
せっかく、ラブラブになれたと思ったのにー・・。
俺って、つくづくついてない美少年だよ。(きっと、神様からの嫌がらせだ!)
「ハイハイ。痴話喧嘩はそこまでや」
「オレ達が花螢センパイを探しにきた理由ってのは、部活のコトでなんですよ」
俺と口喧嘩のキャッチボールをしていた兄者が、紫苑の言葉を聞いて、ふと驚いた顔をする。
「え、なにかあったの?」
兄者の言葉を聞いて、大道寺達は顔を見合わせて苦笑いをしていた。
・・・なんだ?
「・・なんてゆーか。ただ、今日の部活を花螢センパイが無断欠席したコトで、部長がけっこーオチてまして。
それで、部長から『死ぬ気で探してこい』って直々に命令されて、オレらはパシリにされたワケです」
は・・?
てことは、俺達って犬死もいい所じゃね?
その部長とかいう奴の我侭(?)のせいで、俺達の初体験への道が閉ざされたって事だろ!?
マジ最悪すぎじゃんよ!
「イミわかんねぇー!てか、おまえらも易々とパシリにされてんじゃねぇ!」
「しょーがないじゃないですか。オレなんか『もし花螢を見つけてこなかったら、副部長から下ろすぞ。』とまで、脅されたんですよ」
「わいなんか、もっとひどいで!部室のロッカーん中に入っとる、ハルキの写真31枚とハルキたん人形を人質にされたんや!あれがないとわい、眠れへんのやー!」
「は?なんですか、それ。オレ、そんなの全然知らないんですけど」
「隠し撮りや、隠し撮りv」
「・・・・サイテーだ、この変態」
「追記、ハルキ限定の変態や・でv」
「あんた、アホじゃないですか?」
紫苑はともかく、大道寺の理由は理由になってねぇな。
とにかく、俺達3人(大道寺除外)は、その名も知れない部長とやらのせいで、いろいろと面倒をこうむったわけだ。
たかが部活一日休んだくらいで、後輩派遣してんじゃねー!
「おまえら、うるせー!あー、もぉ・・最高についてねー!」
・・どこが、星3つなんですか。占い雑誌さん。
たしかに、告白は成功したけど、オチがこれってどうなのよ。
やっぱりあれか?
・・ナマコがなかったのが、ダメだった・・?