love4 満開
「兄者・・。」
俺よりも柔らかくて華奢な身体を、これでもかというほどにきつく抱きしめた。
ずっと、報われないと思っていた恋が、叶った。
男同士で、兄弟で、双子で。
絶対、無理だと思っていた恋だったのに。
だから俺は、兄者が愛しくて愛しくてたまらなくて。
「・・何・・?」
優しい声で、返事をくれる。
「キス、してもいい・・?」
兄者の背中に回していた腕をそっと解いて、俺は彼の顔を見つめた。
「・・いちいち許可なんかとんなくていーよ・・。・・・なんか、らしくない…。」
気のせいだろうか。
兄者のかわいーホッペが紅い気がするのは。
「・・かわいー・・。」
俺はそう兄者の耳元で囁いて、触れるだけのキスをおくった。
そこは、想像していたよりも遥に柔らかくって、心地いい場所だった。
そして、少し触れ合っただけでも分かるほど、お互いの唇はとても熱くて。
・・照れくさくなった俺は、兄者の唇から、静かにはなれていった。
「終わり・・なの?」
物欲しげに見つめられて、またもや戸惑う俺。
こんな色っぽい兄者なんか、俺は全然知らないから、すごく・・・ハマっちゃいそうだ。
「終わりじゃない。」
今度は、ぱくっと兄者の唇に喰いついて、そっと静かに舌を挿入してみた。
「ん・・、」
口先から漏れる甘い吐息が、ますます俺を夢中にさせる。
並びの良い歯列に沿って、しつこいくらいに口内を愛撫していく。
そのうち、おずおずと兄者の方から、俺の舌に自分の舌を絡めてきた。
もう俺は、兄者が可愛くてしょうがなくって、夢中で彼の舌先を追った。
「っは・・・」
角度を変えるために唇を離せば、いやらしい喘ぎ声が俺の鼓膜を犯す。
舌を絡め合わせるたびの音すら、頭に響く。
それはきっと、テーブルの上のマイクの音を切っていなかったせいだ。
ぶっちゃけ、その音がますます俺の興奮剤になってて。
その声や音につられるように、俺の手はいつの間にか兄者のブレザーを脱がせ、ネクタイを解き、ワイシャツのボタンを外していた。
そして、絡め合っていた舌をとき、俺は兄者を再び見つめた。
「許可、とんなくていーんだよな?」
ニヤリと意地悪く笑みを浮かべた俺は、先程外したボタンの間から、兄者のなめらかな肌を撫ではじめた。
「わ、稜・・っ、ぁ、」
最初は驚いたような声をあげるけど、そのうちにそれも甘い声へとチェンジング。
図にのった俺の手は、だんだんと上へと這っていき、兄者の胸元を掠めた。
「ぁ、や・・っ」
「・・やじゃないだろ?」
そこを摘んで指で擦れば、可愛い反応が返ってくる。
俺はそのまま兄者の胸元の突起を愛撫しながら、またそっと口付けをした。
そして、俺の背中に手を回して、ぎゅうっと抱きついてくる兄者。
・・・ヤバイです。なんか、血糖値あがりまくってきた・・。
て、血糖値ってなんだっけ・・?
「・・可愛スギよ、もー・・。」
唇を離し、抱きついてくる兄者を引き寄せ、俺も力いっぱい抱きしめた。
あー、やべぇ。
なんか、いー香りする。
やーらかい。
・・・犯してぇ。
完璧に、俺と兄者は二人の世界に入り込んでいた・・みたいで。
周りの事なんか、ちっとも気にかけてなんかいなくって。
「あ!ついに花螢発見やで、ハルキ♪」
「やっとですねー・・。もうオレ、くたくたですよ」
・・まさかこの部屋の中に、どこの馬の骨とも分からぬ輩が忍び込んでいようとは、思ってもみなかった。
てか、普通は思わないと思うし。
―――なんか、早くも不安炸裂な俺だった。