BLUE DWARF を探して 鍼灸治療について 藤枝松庵
『BLUE DWARF を探して』は、鍼灸の古典からヒントを得ているが、医療関係者の参考になればと思い、当方の鍼灸治療について、触れておきたい。
私は、素晴らしい師匠によって鍼灸治療の基礎を教えこまれたのだが、年月を経て現在は、独自に開発した体系によって、治療効果を高めてきている。
それは、病気には、明確な原因があるという考えから、原因を探り、それを患者の協力によって排除しながら、脈診による本治法と、局所を治療する標治法という従来の経絡治療に、オリジナルの刺法を加えて治療するというものである。
例えば、現代医学では、腰痛の原因は、15%位しかわからないということだが、当方は、患者の正確な情報が得られれば、80%以上原因を割り出している(この話そしてこれ以後の話は、勿論、治療の優劣ではなく,西洋医学と東洋医学の病気に対するアプローチの違いと理解してもらいたい)。
10年間、腰と膝が痛くて、海外旅行に行けなかった70才代の女性患者を、原因を探り出し、それを排除しながら、10ヵ月で、10時間、飛行機に乗って、スリランカに行き、千二百段の階段のある宮殿に上って帰ってきて、どこも異常がなかったという程、治したこともある。
また、当方の治療を理解している整形外科医が、1年間、脚痛と腰痛で悩んでいた患者を紹介してきて、3回で治したこともある。
鍼灸師は、東洋医学の先人達の教えを、現代医学と結びつけて考える必要があるので、現代医学の医師の病気に対するアプローチの仕方を記述した、アメリカの医師用辞典である『メルク・マニュアル』は、非常に役立っている。
システム手帳で、自分用の東洋医学のマニュアルをつくったのが、トップの写真である。
マニュアルをつくることによって、自分の治療法を整理して、独自の刺法を生み出すきっかけになった。
現在、私が行なっている治療で、一番画期的なのは、脈診によって、癌を発見できるというものである(月1回、脈診すれば、癌そして認知症は、確実に予防が可能である)。
脈診で癌を確認して、当方の指導を無視した場合、3ヶ月後には、癌を発症するということになる(実例に基づく)。
癌の治療は、現代医療を受診する前に発見した場合は、今まですべて6回以内に完治させている。
例えば、スキルス性胃癌と思える患者を、2回で治したこともある。
なぜ、スキルス性胃癌と思えるかというと、治療の数日後、飲食店で、腰痛で整形外科に通院していた主婦が、治らないので大病院で検査したところ、スキルス性胃癌と診断され、その後1ヶ月で亡くなったという話を聞いたからである。
当方が治した患者も主婦で、同じく腰痛で来院し、夜間痛と自発痛により内臓性腰痛と診断して、尚且つ、癌性脈(胃)があったので、本人に確認したところ、当方の指摘する癌の原因に思いあたるところがあったので、腰痛プラス癌の治療によって2回で完治した。
スキルス性胃癌は、胃壁の深部に発生するので、鍼灸で治療はできないと思えるかもしれないが、急性期なら治療は可能である。
患者が現代医学で癌治療をしている場合、当方の治療は、必ず並行するようにしている。それは、血液検査値やCT等の患部状態を客観的に確認しながら、鍼灸を行なうためである。
肺癌の手術後、1年経って、肝臓に転移し、余命3ヵ月と診断された、40才代の患者を、現代医療と並行して治療し、仕事をしながら、3年以上生存させたこともある。来院時、腫瘍マーカーは異常値だったのだが、2回の治療で正常になり、その後、1年間は正常のままであり、抗癌剤も、毎日から3日毎に飲むように医師の判断で変更している。
末期癌の患者を数人治療した例は、鍼灸による癌治療の可能性を感じ取ってもらえると思うので、ここに述べておく。
70才代の女性で、乳癌の手術後に、胸骨に癌が転移した患者は、15回の鍼灸治療後、CT検査で完全に癌の消失を確認している。このケースでは、医師に頼んで、抗癌剤を徐々に弱いものに切り替えてもらっている。
抗癌剤の投与は、体に与えるリスクを少なくするため、鍼灸によって、体の免疫細胞を増加させることにより、徐々に弱いものにするか、または減らしてもらうようにしている。
弱い抗癌剤で効果が持続すれば、抗癌剤が効かなくなる時期(多剤耐性)を、先延ばしすることができるということでもある。
以前、末期癌(40才代男性、肺から肝臓に転移)で、余命三か月と診断された患者(CEA14.3)を二回の治療で正常値(CEA4.5)に改善したが、一年(抗癌剤三日毎、CEA2.0台)後、当方の指導を無視され上昇(CEA6.7)、その後、一切抗癌剤が効かなくなり、鍼灸治療のみを、継続(五回)した結果、血液データが腫瘍マーカー(CEA515.4)以外オール・クリアーになった。医師が、腫瘍マーカー以外は、まったくの健康体と言う程の状態だが、ハード・ワークをしていたため、当方の治療だけでは、腫瘍マーカーの数値が下がらず、下げるために、当方の治療で、抗癌剤の効きをよくするので、効くか効かないかわからない位の弱い抗癌剤を投与してもらうように、患者から医師に伝えてもらったのだが、当方の真意が伝わらずに、強い抗癌剤(勿論、薬品名等はわかっているが、素人判断により誤解を与えると考慮した場合、以後、企業名等を伏せるため、★印を付ける)が投薬されたが、腫瘍マーカーは下がらず(直後CEA4187.7、その後7872.8)、その上、血栓症になってしまった。後に、弱い抗癌剤に切り替えたところ、数値は4804.8まで下がった。
腫瘍マーカーは癌が発生していなくてもストレスで上昇することがある。患者は、余命三か月と言われてから鍼灸治療を続け、三年間、毎月、東京から九州に行く位の距離、営業車に乗っていた、再度、強い抗癌剤を投与しなければ状況は変わっていたと思う。
以上の治療例は、抗癌剤が一切効かなくなった場合に、当方の刺法による鍼灸治療を行えば、効果を出すことも可能になるということである(抗癌剤を再度投与する場合、微弱のもの)。
癌の脈診では、5年振りに来院した男性が、腎臓癌で2年前に手術したが、最近、腰が痛くて治療に来たということなので、脈をみると癌性脈がはっきり出ていたので、癌のドアを開けて、足を踏み入れた状態だと話すと、1ヶ月前に、医師から癌は大丈夫だと言われたばかりということだが、病院で検査したところ、骨転移していたことがわかったケースもある。
また、脳の疾患では、体がフラフラするという80才後半の男性の脈診で、当初から、癌性脈だったのだが、処方薬の副作用に症状がピッタリだったので、頭部の治療を行い、病院でも診てもらったが、CT検査等もしなかったので、約4ヵ月間当方の治療を続け、最終的にCT検査で、脳幹部にまで達する癌を確認し、入院して2週間後に亡くなったのだが、最後まで、頭痛や嘔吐で苦しまずに、過ごしたそうである。
当院では、抗癌剤の副作用は、だいたい2回の治療で消しているが、患者の体力を落とさないようにすれば、ハード・ワークも可能になるということを実際に治療で経験している。
乳癌は、治療例がないが、病院で良性と診断された患者の胸のしこりを、一回で治したことがあるので、当方の治療法なら、手術せずに治癒は可能である。
鍼灸治療が、なぜ効果があるのか?と患者に尋ねられた時に、私は、それは体の誤解を利用しているのだと、答えている。
単純にいえば、鍼や灸で経穴等に微細なキズを与えることによって、体がそこに血液を余分に送って治そうとするので、血行が良くなるということである。
その後は、経絡という先人達が見付け出した現象を利用するのだが、その経絡は、人体をメビウスの環の如く巡っているという考えもある「経絡之相貫、如環無端(霊枢・邪気蔵府病形)」。
余談だが、五行の臓腑配列で興味深いのは、解剖では臓である心(赤)を肺(白)が囲っている訳だが、五行で繋がっている腑の小腸(赤)=心、大腸(白)=肺も、同じように小腸を大腸が囲っているということである。これは明らかに、解剖していなければわからないことであるし、風邪の治療に大腸が深く関わることもこの繋がりからわかる。
また、心と小腸は、共に癌の発生が少ないという関係にある。小腸のリンパ球の多さは、免疫に重要な意味があるのではないか?
末期癌のアメリカの記者が、病室でコメディ映画ばかり観ていたら、癌が治ったという話があるが、五行(P1)では、喜び(笑い)は心に通じ、そして小腸につながり、免疫力を増進することになる。
コメディは、癌を治すということである。
癌治療以外で自分の鍼灸治療のハイライトだと思えるのは、硬膜下血腫の患者を手術なし、薬なし、鍼灸のみで、15回2ヵ月で完治(CT確認)させたことである。
患者は、自転車で転倒し、頭を打ち、頭の左側に血の塊、右側に水が溜まっている状態で、血腫が小さくならないので、医師は開頭手術を勧めたが、本人がためらい、セカンド・オピニオンの医師も同様の意見だったので、私に相談が来た訳である。当方は勿論、硬膜下血腫の治療はしたことがなかったが、同じ様に、頭蓋骨の下に原因がある、認知症の患者は治したことがあったので、理屈では治せると話して、治療を引き受けたものである。
頭部に鍼を刺したりするのだが、1回目に治療した後、眼に異常を感じて、病院で診てもらったところ、異常はないが、一応頭部のCTを撮ったところ、血腫が小さくなっているのを確認した。
なぜ眼に異常が出たかというと、血腫があるところが後頭部だったので、治療により血液が患部に集まったことで、視神経野に送られる血流に変化がでて、眼の異常が一時的に出現したと考えられる。
その後、15回の治療をしたところで、CTを撮り、完全な血腫の消失を確認している。
この治療は、患者が当方を信頼し、協力してくれて、治療がスムーズに進行していった好例である。
認知症は、脈診によって予防することが可能であるが、腰痛の治療で来た患者が、認知症の脈になっていたので、並行して治療したところ、6回で腰痛と認知症を治したこともある。
また、年賀状12通の返事を、娘が代筆していた患者を、治療、一年後に、同数すべて自筆まで改善させたこともある(内容、意味不明無)。
硬膜下血腫や認知症の治療で考えられるのは、脳卒中の発症直後に鍼灸をすると、予後の改善が早まるのではないか?ということである。
但し、当方の刺法でないと、逆効果になる可能性があるので、施術は慎重に行う必要がある。
昨今、話題になる加齢黄斑変性症に関しては、90才の男性が、片目がまったく見えなくなった状態を、4回で明るさを取り戻し、その後の治療で少しモヤがかかっている程度でよく見えるように回復させたことがある。
この患者は、以前から通院している人であり、治療中、眼の症状が出ること事態ありえないので、原因を探ったところ、デジタル・テレビを観始めてから、加齢黄斑変性症になったことがわかった。
すなわち、テレビ画面を一番明るいポジションで観ていたということである。勿論、普通のポジションで観るようにさせたのだが、なぜ、一番明るいポジションになっていたかというと、テレビを設置する人が、普通の明るさにすると、客から暗いと文句を言われることが多いので、店の展示と同じ明るさにして帰っていったからだと思う。
実際、電気店で聞いてみたら、店内が明るいので、一番明るいポジションで展示しているとのことであった。
因みに、他の患者にデジタル・テレビの明るさを確認させたところ、100%一番明るいポジションで視聴していた。
テレビの明るさのように、一般人が気付いていないことを、治療の必要性から、企業に改善等のお願いの手紙を書いたりしているのだが、どの企業も真摯に対応し、改善すべきところは直してくれている(利よりも義そして利)。
数年前まで、練り歯磨きには、研磨剤として、アルミニウムの粉(水酸化アルミニウム)が入っていたことをご存じだろうか?
アルミニウムと認知症との関連は、『メルク・マニュアル』に記載があるのだが、このことに気付いて、チラシをつくり患者に渡したところ、これを読んだTV局がニュースでとりあげ、それ以後、昨今は、ほとんど混入するメーカーをみなくなっている。
認知症の主たる原因は、治療経験から他にある(★)ので、練り歯磨きの影響はゼロに等しいが、スティーブンス・ジョンソン症候群は、アルミに対する金属アレルギーが原因と考えられないだろうか?
耳のピアスの穴あけは、医療機関で行うべきだが、その際、抗生物質が投薬されている期間は、耳かき等を控えさせる方がよいでしょう。
なぜなら、外耳に傷をつけると、菌交代症によって、真菌(カビ)が繁殖しやすくなり、外耳の常態的な病巣に、治そうとして血液を送るため、内耳の血流が不足し、耳鳴りが発生するからです。
治療は、真菌を抑えることが、有効だと思います。
耳鳴りは、真菌感染等がない、単純な血行不良の場合、当院では6回位で治している。
私は、うつ病の患者を10回で治しているのだが、自殺予防の参考にここに記しておく。
この主婦は、10月頃治療を始めて、うつ病薬(★)と睡眠薬を飲んでいたのだが、6回の治療で睡眠薬が効きすぎるようになったので、医師に相談したところ、服用しなくてもよいとなったが、うつ病薬は続けるように言われ、その後、10回でうつ病薬も飲まなくて済むようになった。しかし、翌年の4月まで、気圧差が広がることがあるので、月1回、通院させて、その間、悪化することがなかったので、治療を終えた。
当院では、精神疾患の患者には、気圧差に注意を払うように、指導している。
具体的には、気象庁のデータにあたるか、カシオのPROTREKという登山用の腕時計に表示される24Hの気圧のグラフを確認してもらっている。
気圧差は、12H毎の差を基準にしている(気圧差以外でも、気温、湿度の急激な変化には注意)。
すなわち、12Hで8hPa以上、高低差が開いた時に、体は自律神経を働かせるため、神経に栄養を送るのに血液を多く使うので、慢性的に血行不良があると、脳の血流が不足してくる。それにライフスタイルの無理が重なると、あたかも高速道路を高スピードで走っている状態になるので、視野が狭くなり、発作的に自殺などに走りやすくなるということである。
自殺を予防するには、まず、自分の行動や悩み事を客観的にノートに記録して、自分の視野を狭くしている原因を探り、スピード・ダウンする必要がある。
自分を最終的な行動に追いやるものが、眼に見えないことによっても動かされているということは、知っておく必要がある。
スピード・ダウンし、視野が広がれば、自分を悩ませているものの解決法は、必ず見付かるということである(当院では、必要な患者に、スマホの頭痛アプリの気圧差グラフを勧めている)。
勿論、以上のことは、犯罪の予防にも繋がるので、参考にしていただきたい。
気圧計を英語で、Barometerというが、まさに健康のバロメーターということである。
不妊症は、治療の後、冬だったので、事が終わった直後、30分位、こたつに入っているように指導したところ、1回で妊娠したことがある。夏は、熱中症に注意しながら、クーラーで部屋を冷やしすぎないようにしてみるとよい(こたつなしの場合、腰を、ユニクロのヒートテック毛布とホカロンミニ、ヤケドに注意、で温めるを応用するとよい)。鳥が卵を孵す時に、必ず温めるように、人間も体が冷えていては、妊娠することはないという理屈である。
妊婦の腰痛等は、大体1回で治しているが、原因を探るなかで、最近、どの妊婦も摂取しているもの(★)は気になる。欧米の肉食文化圏で、奇形児を生まないように始めたことらしいのだが、日本の女性で、肉食に偏っていないケースでは、疑問である。
また、本年(2012)わかったことであるが、小児にアレルギー疾患が増加している原因は、風寒は腸胃に宿る「風寒客於腸胃之中(霊枢・寿天剛柔)」という古医書の言葉、風寒すなわち、感染様疾患は、腸と胃に原因があるという考えを、アレルギー疾患に結び付けると、原因と思われるもの(★)が、今年、話題になってわかった。
現代医学でも、感冒の患者に胃腸薬を処方する医師もいるが、東洋医学の先人達は、そこに気付いていたという話でもある(花粉症も、原因ははっきりしている、★)。
また、『メルク・マニュアル』には、ビタミンCの摂取は実験の結果、風邪の予防にはならないという話が載っているが、風邪の初期には有効とあるので、熱冷ましには効果があるということだと思う。
昔、『がんばれベアーズ』という野球映画のなかで、風邪をひいた少女ピッチャーが、ベンチでオレンジ・ジュースを飲んでいたが、理にかなっているということである。
真夏、日焼けした時に、オレンジ・ジュース(500ml位)を飲むと、肌が赤く焼けたり、ヒリヒリするのを予防することができるが、皮膚癌の予防にもオレンジ・ジュースは有効だと思う。
2日後に、ゴルフのプロ・テストを受けるという男性の、肩の張りを治し、2位の成績だったという治療をしたことがあるが、スポーツ選手を治療して気になることは、高校生を治療した時に、年令では考えられない、足の冷たさがあったということである。
原因はわかったのだが(★)、ある生徒は、5年間それを続けた結果、足の指先から膝まで冷え切って、膝痛を起こして来院した。また、ある患者は、3ヵ月で、足首まで冷たくなり、足底部痛の治療をした。
足底部痛の方は、それをやめさせて、2回で完治したが、膝痛の患者は、家族の理解が得られず、治療の方向性が違ってしまった。
当院の治療は、患者の協力があれば、粗100%病気の原因がわかるので、その原因を患者が排除して治療すれば、速やかに効果が出てくるということになる。
『Dr.HOUSE』のなかで、ハウスが、患者は嘘をつく(Everybody lies)ということを言うが、原因を探る時に、嘘をつかれたら、治療は正確にできなくなる。
数年前、腰と膝が痛いということで2年間当方の治療を続けた患者がいたが、1年位経って、時々、ウソのように、一日中痛みを感じないことがある、と言い出したので、治療で痛みを感じなくなったら、痛みが再発することはありえないので、何か悪いことをやっていないかと何遍聞いても、否定するだけで、最後の最後に、当方が、治療当初にやめるように指導したこと(★)を2年間続けていたことがわかって、愕然としたことがあった。
私は、若い頃は、患者のためにという意識で治療を続けてきたのだが、原因が100%わかるようになってからは、患者のために治療するということは、やめている。
それは、患者のためにと思って、治療していて、患者が当方の意に反することをして治療効果がでなかった場合、患者を責めることになりかねないからである。
すなわち、現在は、患者のためにではない、違うモチベーションで治療をすることにしている(勿論、金のためにではなし、患者側に立てば、至極、ためになっている。)。
それは、治療を理解しない場合、例え治らなくても、患者の自己責任という話だが、原因を探る時に、知ったかぶりをしたりして、当方の治療の妨げになる場合、治療に責任を持つことはできないので、断ることもある。
癌治療では、喫煙者は、癌性脈が正確にでないので、治療を断っている(禁煙、3ヵ月位で脈診出来るようになる。喫煙者は、癌反応が鈍くなるので、気付いた時に、手遅れになりやすい)。東洋医学の先人も、悪於鍼石者。不與言至巧(素問・五蔵別論篇第十一)。という言葉で、治療を信じていない者には、拘わってはならないとしている。
若い鍼灸師には、この先人の言葉(巧)は、治療技術が高水準になるまで実感が持てないと思うので、それまでは、患者のためにと思って治療することをお勧めする。
ここまで、鍼灸治療とは、現在、治療に携わっている人や、学生諸君が感じている以上に、可能性があることを、実感してもらえれば、幸いである。
なぜ幸いかというと、鍼灸師が技術的にレベル・アップすることは、現在、私が治療するにあたって、患者を説得したりする(説得は治療ではない)手間が省けて、治療に専念できるからである。
鍼灸師にとって、レベル・アップするのに必要なのは、東洋医学の古医書、特に黄帝内経の先人達が一字一句に思いを込めた部分を、丁寧に読み解いていくことである。
私は、難経は全文をシステム手帳(自家製メルク・マニュアル)に写し取り、勉強している。
古医書を読み解く時の解説書は、江戸時代、近松門左衛門の弟である岡本一抱の書いたものがベストである。
岡本一抱は近松門左衛門に、解説書は、後世の治療家の眼を誤らせると言われて、筆を絶ったと伝わるが、兄は余計なことを言ったものである。
他の参考書は、参考程度にとどめて、古医書を自分の解釈で読み解くことを勧める。
私は、書いた論文が専門誌に数編載っているが、論文を書くことは、自分の治療の方向性を整理するのに、役立つ。
臨床に於いては、自分の思い通りに治療できなかった時には、チャンスだと考え、理由を徹底的に探り出すということを重ねていけば、必ず技術は向上する。
鍼灸師は、日本一ウマイと思わなければ、治療できない面もあるが、治療を終えたら日本一ヘタだと思って勉強することが大切である(坂東玉三郎の養父の言葉のもじり)。
学生諸君には、勉強する時間は多くあると思うので、私がやり残して現在まで至る研究を進めてくれたらと思う。
それは、黄帝内径の失われた篇を、太素経や甲乙経などで、語句を比べてみて、同一文以外の文章から、再現するという作業である。
復元するにあたって、篇の並びの意味付けには、天地人の三才によって推理するとよい。
難経を例にとると、三つの篇を一つの章として構成しているのがわかる。
私が卒業した、鍼灸学校の校長先生は、入学式の時に、当校は鍼灸師の資格をとる勉強だけしか教えられないので、卒業後の技術は在学中に各自が、講習会に顔を出したり、師匠を見つけて身に付けてほしいと言っていた。
私は、様々な講習会に出向き、最終的に師匠に巡り会えたのだが、現在も、学生諸君の状況があまり変わっていなかったら、同様のことをお勧めする。
因みに、私は『明鍼会』の出身者である。
7年振りに来院した患者の、血圧と脈を診た結果、当方で治療できる段階ではなく、治療せず土曜日の午後だったので、患者のかかりつけの病院に、鍼灸院だと名乗って診てくれるように頼んだことがあった。
入院して1週間後に亡くなってしまったのだが、その後、家族に聞いたら、敗血症であった。
鍼灸院からの患者ということで、敗血症の原因と疑われる可能性もある訳である。
鍼灸師は、このようなことが起きる可能性にも配慮して、鍼の管理は徹底して行なう必要がある。
因みに、当院では、使い捨て鍼(セイリン)を使用し、使い終えた鍼は患者の前で、ペンチで切って、後に医療廃棄物として業者に処分してもらっている。
また、初診の患者には、必ず処方薬を聞いている。
以前、ワーファリンがでていて、禁忌を意識していない患者を診たことがある。腰痛だったが、鍼を刺さずに灸だけで4回で治し、心疾患も改善され、医師の判断で薬を飲まなくて済むようになった。
当院の治療の詳細は追記の追記をご覧ください。○○鍼灸院○○○○ー○○ー○○○○。
私は、弟子は取りません。
あなたの近くの鍼灸師に、技術を向上してもらえばよいという話ですが、たとえ技術がまだ備わっていなくても、ここに書いたように、鍼灸の可能性を信じて治療を受けることをお勧めします。
勿論、技術が備わっていないからといって、鍼灸師の評価を下げることは、決してあってはならないことです。
鍼灸師で、今後、治療に脈診を取り入れようと思っている人は、『はじめての脈診』 岡田明三先生 監修・出演、入門DVD 医道の日本社 がお勧めである。
鍼灸師は、癌治療その他、非常に、未来に可能性を持つ仕事をしている訳である、温故知新。可能性を追求しないということは、もったいないという話である。
最後に、『BLUE DWARFを探して』は、現在に於いては、フィクションであるが、鍼灸治療について書いた部分は、治療回数、結果等すべて事実である。
2012.11.21 VAIO
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追記へ
天阨我以遇、吾亨吾道以通之。天且奈我何哉。