法話 理想を持て
ウオルト・ディズニ−の言葉に"If you can dream of it,you can do it"という有名な格言があります。夢を持っていればこそ、物事を実現できるということです。
オリンピックで優勝するような選手は競技前に自分が一位になって表彰されている姿を頭に思い描くと聞きます。永遠の名バッタ−元巨人軍監督は、打席で、自分がホ−ムランを打ってベ−スを一周している姿を想像していたということを聞いたことがあります。
お釈迦様(釈迦如来のこと)は「華厳経」で、この世のすべてのものは、心から起こるものであり、清らかな心でこの世界をみると悟りの世界が現れるが、この世の人々は、常に恐れ悲しみ悩んでいる迷いの心で見るから、迷いの世界が現れると説かれました。日蓮聖人はこのことを、「すべての業障界(苦しみ悩む世界)は、皆、妄想(無知・疑念・偏見)より起こると仰せられております。
前にもふれましたが、この世は、想念の世界です。ただ、肉体がそれに従ってるだけのこと。一方、阿弥陀如来のいらっしゃる極楽浄土、つまり死後の世界は、肉体のない想念だけの世界です。肉体があってこそ、人は勉学もできれば人生の体験から様々なことを悟れるわけですからまさにこの世界はもってこいの修行の場でもあります。
では、なぜ人は迷うのでしょう。それは、人が誰でも生まれたとき仏から頂いた清らかな心、仏性が過去世の因縁、不成仏の霊、此の世で取り込んだ煩悩などで汚れてしまっているからです。 だれでも、向上したいという夢を持っているのに、実現出来ないのは上記の汚れが原因です。理想を持つと、その反動として必ず試練が来ます。心を鏡のようにきれいに磨くことで、悪因を反射し、悟りの世界(理想)を写すのです。
私は恩師から「理想を持って生きるところに人間の価値がある」と教わりました。そして、40才の頃に新しい仏像を模索し始め、瑞雲仏というアート仏像微笑仏を新しく考案し仏像彫刻の新しい世界を切り開いている最中です。途中、壁に当たり、アート仏像の世界は無理かも知れないと思ったこともあります。しかし、時が解決してくれたのです。50才を過ぎて人間が枯れてきたのでしょうか、自然と体からわき出すようにアート仏像が彫れるようになったのです。
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