法話 ウルトラの国
テレビでおなじみ、怪獣退治のヒーロー、ウルトラマンは長いこと地球上で闘っておられない。手からビームを発射するころになると、エネルギー不足を知らせる胸のボタンがピコピコと点滅する。急いでエネルギー補給のため生まれ星に帰らねばならない。 テレビではウルトラマンがどうやってエネルギーを補充してるのか分からないが、一種のお経のようなパワーをもらってくるのではないだろうか。
私の場合、仏像彫刻を彫るエネルギーはお経である。仕事の依頼が多く多忙な日が続くと、どうしても体の奥底から出てくる覇気のようなものが薄れてくる。お経の力が仏像彫刻に吸われてしまったのだろう、妙に弱気になったり、世間のことに取り越し苦労したりする。 すると、不思議なもので観音様からご神託が下る。「お経をあげよ」毎日、お経はあげているが、真から読経せよとのことである。私は全身全霊をこめて聖観音像に法味言上(お経をあげること)することになる。かの国、仏の国から光(功徳 清浄な光で誰でもこの光を浴びると苦悩は消え力が出る)を頂くのだ。あらっ、不思議。自分の顔の色が違ってくる。心臓が大きくなったような気がしてくる。創作意欲が出てくるとともに、またまた仕事がはいってくる。困ったとき、寂しいとき、悲しくてやりきれないときにはドラえもんじゃないよ、アンパンマンじゃないよ本当にこの世で助けてくださるのは。
「阿弥陀経」には「この国は、智慧の光と慈悲の雨の尽きることがない悟りの国」とあります。「無量寿経」には、「今、仏の浄土に入った仏の子らは、しばしの休息を終え、再び縁有る世界に戻り、仏の仕事に参加する」とあります。 大人げないお話ですが、ウルトラマンの古里ウルトラの国は、ここ、無量光如来(無限に十方世界を照らす量りしれない光をもつ如来)とも呼ばれる光の国の王、阿弥陀如来の極楽浄土だと信じています。なぜかというと、私が修業時代読経中に観音さまにお会いした体験がありますが、それはそれはまぶしい光の中から降臨されました。大日如来(十二支守り本尊微笑仏)は全ての如来の根源であります。このウルトラマンの故郷である天体ももちろん架空であろうとなかろうと大日如来から生まれるのです。
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