NPO(NonProfit Organization)とは、社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称です。したがって、収益を目的とする事業を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益は、様々な社会貢献活動に充てることになります。このうち「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人です。しかし、法人格の有無を問わず、様々な分野(福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待されています。
NPO法人になるには、次のような要件を満たすことが必要です。
特定非営利活動(注)を行うことを主たる目的とすること |
営利を目的としないものであること |
社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと |
役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること |
宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと |
特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと |
暴力団又は暴力団若しくはその構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと |
10人以上の社員を有するものであること |
※特定非営利活動とは
- 次に該当する活動であること
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものであること
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○設立に必要な書類
(1)設立認証申請書 |
(2)定款 |
(3)役員名簿 |
(4)就任承諾及び誓約書の謄本 |
(5)社員のうち10人以上の者の名簿 |
(6)確認書 |
(7)設立趣旨書 |
(8)設立について意思の決定を証する議事録の謄本 |
(9)設立当初の事業年度の事業計画書 |
(10)翌事業年度の事業計画書 |
(11)設立当初の事業年度の収支予算書 |
(12)翌事業年度の収支予算書 |
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○設立登記完了(法人成立)後に提出する書類 |
(1)設立登記完了届出書 |
(2)設立の時の財産目録 |
○NPO法人の長所
- 団体名で様々な契約ができる
団体名で不動産の賃借、物品の購入、口座の開設などが可能になります。
- 団体が資産を持てる
車両、事業用不動産といった活動に必要な資産を取得することが可能となります。
- 代表者の交代が円滑になる
代表者の死亡や交代の度に各資産の名義変更をする必要がなく、円滑に代表者を交代させることが可能となります。
- 資金調達が容易になる
国や各地方公共団体、公的金融機関等の各種助成金、補助金等の融資を受けやすくなっております。また、NPO法人への寄付金に対して税制上の優遇措置があるため、資産家からの寄付が受けやすくなっております。
- 公共事業への参加が容易になる
国や地方公共団体は、主に福祉関係の仕事を中心に、事業をNPOに発注するケースが増加してきております。入札参加申請を行うことにより、国や地方の発注を受けて公共事業に参加することが可能となります。
- 節税が可能
法人の場合、法人税は年間800万円以下の部分について22%、それ以上の部分について30%です。NPO法人の場合、収益事業をしない団体は、まったく税金がかかりませんので、節税対策が可能です。
- 従業員を雇える
NPO法人は、必要な職員を雇用することができます。例えば、本部で事務を行う職員、介護活動を行う介護士、各種教室で指導にあたる教官などを雇い、きちんとした給料や報酬を払うことができますもちろん、厚生年金や健康保険、雇用保険にも加入することができます。そのため、ボランティアの方だけに頼らない組織的な活動ができるようになる他、雇用の受け皿としての社会的役目を務めることもできます。
- 社会的信用が高まる
法人設立により、権利・義務の主体が明確になるため、各種取引における信用が高まるのはもちろんのこと、政府の認証を受けたNPO法人ということで、国家のお墨付きということとなり、組織内容や活動内容においても高い信用を得ることができます。
○NPO法人の端緒
- 活動内容に制約がある
NPO法人化により、総会又は理事会での合意が必要になり、機敏な活動はできなくなります。また、事業内容は定款の制約を受け、事業内容を変更しようとすると定款の変更が必要になります。
- 厳正な事務処理が必要
経理は、正規の簿記の原則に基づいて処理を行う必要があります。また、法人としての種種の届出、手続きも必要ですし、当然変更するときは何ヵ所にも足を運ぶことになります。
- 税務申告義務がある
当然のことながら、法人として税務申告義務が生ずることになります。ただし、収益事業をしない団体は法人税の対象ではないため、税務申告はもちろん、税務署への届出も必要ありません。しかし、税務署が税法上の収益事業と判断した非営利事業は、法人税の対象となります。また、法人住民税(約7万円)はすべての法人にかかってきますが、収益事業をしない団体は免除されることがあります。そのためには毎年4月に減免のための手続きをする必要があります。
- 設立に時間が掛かる
会社法人と比べて設立するのに時間がかかります。(NPO法人は最低4ヶ月、通常6ヶ月ほどかかります)
- 情報開示が必要
毎年、事業報告書や収支計算書などの資料の備え付けと、その資料の情報公開が義務づけられ、今までは表に出さなかった書類も万人に閲覧されることになります。
- 財産の名義変更に問題がある
今まで任意団体が所有してきた様々な財産についても、名義を変更しなければなりません。例えば、不動産の場合、名義を変えるためにはいくつかの税金がかかります。その他、自動車や事務所、さらに借入金なども、名義を変更する際にはそれぞれ手続きが必要です。
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