17世紀スペインの軍艦「ラ・カンデラリア」 |
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カンデラリア号
(臼砲を持つ軍艦)
17世紀頃のスペイン海軍の軍艦「ラ・カンデラリア」号です。片舷6門の、軍艦としては小型艦ですが前部に臼砲が装備されている珍しいものです。外見からすると本来は前、中央、後ろにあった三本マストの内、前部マストを撤去して臼砲2門を装備するために改造したと思われます。臼砲自体はかなり重いため艦の重心を少しでも下げるため床を下げてあるのが見えます。一度途中まで製作しましたが僅かに前後の狂いが生じたため全部廃棄して図面から材料を切り出して製作し直したものです。台座の板は桜材の皮目付の一枚板です。途中の休止期間を含めると着工から10年以上経ちました。
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船首部分です。
船首部分には船首像、バウスブリッドの周りの固定ロープ類、錨などが見えます。
帆船はほとんど木材とロープからできています。ロープを解けば解体して修理することができます。
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船首部分の拡大写真です。艦から突き出たハウスブリッドに繋がる帆はすべて前甲板上から引っ張って操作できるようにロープの先が甲板の方向に集約されています。
大抵は前部に船員用の海中投下式トイレがあり後ろにある艦尾楼には高級幹部の居室があったようです。一般の船員は船底に近い狭い所でハンモックで寝たそうです。
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前部甲板にある2門の臼砲です。この臼砲の口径は200ミリで、近くにある艦載砲の砲丸の大きさを比較するとその規模がよくわかります。口径に比較して砲身が極端に短いため「うす」に似ていることからこう呼ばれています。
臼砲は18世紀になるとその重い砲丸の中に爆薬が入れられ、導火線が付けられました。この砲丸は高い上空に向けて発射され放物線を描いて敵の艦船や要塞のほとんど真上から落下、爆発させて破壊します。
これは航空機による爆撃同様の威力があったと思われます。命中率はわかりませんが通常の戦艦を真上から直撃した場合は船底を破り、一発で沈没することでしょう。
おそらく敵陣地や艦隊を攻撃するために他の大型戦列艦に伴う特殊な任務のための艦と思われます。
臼砲(きゅうほう): 別模型あり。 | |
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メインマスト上の見張り台兼作業台です。 メインマストの前上部には船の中で一番太いロープが一本、船首まで張られており、これがマストを前方に引っ張り、ラットラインのある数多くの静索がマストを後方に引っ張る力に耐えています。これらのロープはそれぞれ二個の滑車で締め付けられています。嵐に遭遇するときは上部のマストや帆を全部取り外して強風に備えます。
マストの先から両舷に向かって張られた数本のマスト固定用ロープがあり、操船では使用しないためこれらのロープは静索と言われています。この静索に交差するように縄梯子状に張られた細めのロープがあり操帆員はこれを登って見張り台まで上ります。このラットラインと呼ばれるロープ張りは中世の海賊映画でも多く見ることができます。
これはまた帆船の象徴でもあります。
見張り台のすぐ下に見える大きなメインヤード(帆桁)はもちろん大横帆を張るためのものですが、停泊時の積荷の扱い時には、滑車を組み合わせてクレーンとしての役割もあります。
また船底の清掃や塗装時にはメインマストを思い切り陸に引き寄せて船をほぼ真横に近くまで傾けて船底の作業を行います・
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メインマストの甲板近くの様子です。マストは強靭性が要求されるため数本以上の「寄木」を束ねた構造になっています。これらの「寄木」は要所毎にロープで結束されています。
重いメインヤードを昇降させるために滑車が組み合わされています。
順風、逆風の時も風の方向や強さによって帆を頻繁に調整しなくてはなりません。特に逆風の場合は進路を左右に振って前進するため頻繁に帆の操作を繰り返します。これら全ての帆の操作は甲板上からロープでおこなうため、ロープの端はそれぞれのマストや近くの舷側に繋ぎとめます。
左下に明り採りの格子組みが見えます。
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後部甲板です。 船体の中で一番高所にあるため艦長や操帆長はこの上から号令を出します。
艦にとって一番危険な時間は夜明けです。空が白み始めた時、偶然すぐ近くに敵艦がいて、いきなり砲撃されたら甚大な被害を受けます。そのため毎朝、日の出の30分前に砲撃準備等の戦闘体制に入り奇襲に備えます。明るくなってマスト上の見張員が「灰色の雁が飛んでいます。」(何も見えない)という言葉で解除し、1日が始まります
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艦尾は帆船で最も美しい部分です。 港に停泊している時も灯りや旗、紋章などで飾り、美しさを競いました。ここには船長の居室などがありました。 |
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銘板にあるように1993年完成の作品です。
銅板を塩化第二鉄の「イオン化傾向」を利用して腐食しました。
模型の縮尺は1/65、全長は85cmです。 | |
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