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宮城谷昌光という歴史小説家の小説のひとつに、こんなことが書いてある。

〜昔々あるところに
正直者のおじいさんが暮らしていました
おじいさんはポチという犬を連れて畑に行くと
いつになくポチが騒ぐので
その場所を掘ったところ
大判小判がざくざくでてきました

それを聞きつけた隣のいじわるなおじいさんは
ポチを借りて自分の畑を掘ったところ
がらくたばかりがでてきました〜

だが私は、犬が探り出したものは、同じものであると思っている。
人によってそれが財宝となり、ガラクタにもなる。
人生の宝を探し当てる目を持つことが出来るかどうか。
(略)ただしそれがわかる人は、数万人にひとりしかいない。


平次は最初、新一に勝負を挑んで、負けた。『外交官殺人事件」の時だった。
そして、『ホームズフリーク』の時、コナンを新一だと見抜いた。


何故なんだろう。
外交官』の時負けたからって、そのあとちょくちょく東に来ないで、
西に身を潜めるという選択肢もあったんじゃないか。
東には工藤っちゅう頭の切れる探偵がおるみたいやから、俺がそっちに出向くこと無いな、
とか。


なのに、
「工藤に会えるかと思て〜云々」
と言って、平次は新一を捜し求めた。そして見つけた。
コナンに身をやつしている、新一を。


これは、平次にとって、新一という人間が財宝に見えたということではないか。
財っていうのは、ちょっとちがうかもしれないけれど。

平次が、新一を追い求めたからこそ、その後の二人の付き合いがあるように思う。


「宝」はもともと「寶」と書いた。
廟(びょう、祖先を祭る建物もしくは王宮の正殿をさす)に、
玉や貝(いずれも宝)や缶(土器、入れ物)が供えてある様をあらわす。
もとは祖先に捧げる大切で貴重なものを「寶」といい、
転じて財宝をあらわすようになった。

単なるお金ではない、大切な、貴重なもの。



で、ですよ。
大問題は、いつ二人が両思いになったのかという。
だって今は疑うことなく恋人同士だからさぁー。

『びくに島(そして人魚は〜)』かなー。
『ハロウィン(満月の夜の二元ミステリ)』ではないなー、あれはすでに両思い。
天晴れすぎる。「ハートでOKメール」がね…


2010年5月17日 改
(2007年5月26日 日珪記より)


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