MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

2.植物の色

花色−白色・黄色

 それでは具体的に花色と色素の対応を見てみましょう。

植物には4大色素といわれるものがあります。1)クロロフィル、2)カロテノイド、3)フラボノイド、4)ベタレインの4つです。1)と2)は脂溶性で色素体に、3)と4)は水溶性で液胞に存在しています。それでは花の色がどのようにこれら色素で出ているのか見てみましょう。

白色:人間の眼で白色に見える花には“白い色素”はありません。石鹸の泡が白く見えるように、前述の海綿状層にある、多数の隙間(気泡)で光を乱反射させる事で白く見えています。但し、白く見える花にも通常、花弁にフラボンやフラボノールというフラボノイド系色素が存在し、紫外光を吸収しています(主に340〜370nmを吸収。またフラボンなどの化合物は花に限らず葉、茎、根などあらゆる部位に存在して紫外線を防止しています)。
 白い色を表現するためには色素を貯め過ぎない事も重要です。白い花では貯まったフラボノイド色素を分解するのではなく、色素を合成するプロセスを途中で停止する事でこれを実現する例が知られています。ヤマホロシという植物では、咲いた直後の青い花がしばらくして白い花に変化しますが、これはアントシアニンが分解されるためである事が分かっています。一方、キクの白い花びらでは黄色の花びら同様にカロテノイド色素が作られているのですが、これを分解する酵素がありカロテノイド色素が貯まらないようになっています。
 なお人間は紫外光を見る事はできませんが、ミツバチは紫外光と青と告Fの区別が可能です(但し赤色は見えず、中間色も認識できません)。従って人間にとって白い花は、ミツバチにとっては青告Fに近い色として認識されているはずです。また、昆虫の中でもコガネムシなどの甲虫類は特に白い花を好むようです(甲虫類にとっては、白は紫外線が少なく安全な色としての意味をもつのかもしれません。他に“ガ”も白い花を好むようです)。

黄色:植物界の黄色い色はほとんどカロテノイド系色素に由来します。他に黄色を出す色素としては、アルカロイド系(トリカブトの毒やモルヒネなど)の仲間であるベタレイン系のベタキサンチンやフラボノイド系のカルコンやオーロンと言われる色素(いずれも液胞に存在)があります。
 例えば、黄色のバラやキク、パンジーはカロテノイド系色素、黄色のボタンはカルコン、黄色のダリアはカルコンとオーロン色素によります。カーネーションやシクラメンの黄色もこれらの色素によります。ナデシコ目に属するケイトウやマツバボタンなどはベタレインにより発色しています。
 これらの色素は青色を吸収し、黄色を発現しています。黄色を好む動物としては、ミツバチ、甲虫、蝶や鳥類がいます。従って黄色は昆虫の種類によらず見分けられるようです。 一方、白や黄色の花が多く出てくるようになると、各々の植物間の見分けができない可能性が高くなりました。花蜜の成分を昆虫等に合わせる事も植物は行っていますが、より目立つ色として赤色や青色の花が出現してきます。これは、より色彩能力の高い動物との共生に絞り込んだ植物の戦略といえるでしょう。



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