MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

隠蔽:カモフラージュ

さて紋様について、そのでき方等について説明しましたが、このような模様はなぜ生ずるのでしょうか? 既に紹介してきましたが、生物が視覚により取り出す情報の中で、周囲の環境と対象物を分けて抽出する輪郭(明暗コントラスト)検出機能がもっとも早くから成立していたようです。輪郭を明確にする事で非捕食者を捕らえ、また逆に輪郭を目立たなくする事で捕食者から逃げるという事が既に実現されていたのかもしれません。したがって、視覚能力の優れた捕食者から自分自身の身体の輪郭を隠すためには、@周囲と同じ色に体色を合わせ、色の差(明暗の差)を無くす、A周囲と同じ色調で、ランダムな模様をつけて全体像が把握できないようにする、B身体の輪郭と異なる色の領域をつくりこれをわざと目立たせる事により、偽の情報を与える、等の戦略が有効になります。体紋はBの戦略に相当しますが、動物はどのようにこれらの戦略を応用しているのでしょうか?これをこれから見てゆく事にしましょう。まずは哺乳類からです。

イ)哺乳類
 北極の白い氷の世界では、白熊が白い色で、さらにアフリカの大地では動物か褐色の体色で姿をカモフラージュしています。またシマウマの縞は明るい所では目立ちますが、ライオンなどの捕食者が狩りをする夕方にはほとんど目立ちません。パンダなどの縞模様も白黒の斑模様で身体全体の輪郭を隠す役目をしています。この他に、全体の姿をくらます別の方法として、
背と腹側で濃淡を変える方策もとられています。太陽光が当たる背側の色を暗くし、光の影ができる腹側の色を白くする事で全体の濃淡を均一化して全体の形状把握を困難にするのです(ゼファー効果といいます)。捕食者であるライオンなど肉食動物では腹側が白くなっており、被捕食者からは見えにくくなっています。


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