MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

隠蔽

ヘ)軟体動物
 コウイカの仲間でカミナリイカ、別名モンゴウイカという大型のイカがいます。このイカは寿司ネタや天麩羅などでも良くお目にかかるイカですが、寿命は1年と短く、世代交代が速い動物です。このイカは春先に産卵時期を迎えますが、しっかりとした海草の根元を産卵場所として好みます。卵は白い色をしていますが、産卵後に海底の砂を卵にかける事で白い色を隠し、目立たなくする習性をもっています。

ト)頭足類
 ジョロウグモの雌は秋の女王ともいわれますが、夏から秋にかけて雄、雌ともに成体になります。クモが網を張る場合、まず網を吊す牽引糸をはり、そこに獲物を捕らえる横糸を張ります。牽引糸は非常に強度が高く、獲物を捕らえる横糸は粘着性があり伸延性が高いという特徴があります。通常、ジョロウグモの牽引糸は白色をしていますが、身体の大きな雌は秋に身体の黄色をより目立たせるとともに、黄色の牽引糸を出します。生まれてから8月頃までは雌は白い牽引糸を出していますが、9月、10月となるにつれ糸の黄色味が増してゆくのです。体色の変化は木々の紅葉に伴う保護色として、また牽引糸の黄色化も目立たない事で飛来する獲物に警戒心を与えない役割をしていると考えられています。
 さて今まで隠蔽カモフラージュについて紹介してきましたが、次回からは、より積極的に自らの素性を隠すとともに、他の生物に似せる事で捕食者から逃げる・捕食される機会を減らす工夫をしている例を記します。それは擬態といわれるものです。


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