MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

隠蔽

ニ)両生類:カエル
 カエルの捕食者は肉食の小型哺乳類(ネズミ、イタチ、テン、コウモリ等)、ヘビなどの爬虫類や鳥類など多彩なメンバーです。従って、色彩で隠れるという事と、基本的に動かない待ちの姿勢で生活し、視覚を生かして周囲の動きを捕らえ、いざという時は後ろ足をいかしてジャンプし、素早く逃走します。
 カエルは樹上性の種(アマガエル等)では主に告F、地上性の種(トノサマガエル、ヒキガエル等)では褐色を基本にし、周囲から目立たない色になっています。アマガエルは場所により色を変えます。緑の葉にいる時は体色を黄緑に、木の枝や幹などにいる時は黒褐色に体色を変えます。また熱帯地方のカエルでは、背面がはっきりとした体色や斑紋をもつ反面、腹部が白く、はっきりとしたコントラストをしていますが、このことで全体の輪郭がつかめないようにしています。またカエルの多くの種では、体側に幅広い黒い帯模様をもっており、これも背側と腹部を分断して輪郭を消す効果をもっています。これを分断色といいます。日本の代表的なカエル、トノサマガエルには背面に白や黄色の帯模様がありますが、これも分断効果を果たしています。またヌマガエルの一部に出る背中線もこの例です。

ホ)魚類
 細長い魚では、背と腹の水平の縁が目立ちます。このために頭尾軸に平行な水平の紋様をつける事で全体形状を分断し、輪郭が識別されないようにしています。逆に、体高の高い魚では頭側と尾側の垂直な縁が目立つため、背腹に平行な筋紋様で輪郭を隠します。特にサンゴ礁は他の海と比較し、プランクトンも少なく透明度が非常に高い海です。視覚による識別が非常に発達しています。捕食者から見ると体紋で全体像が隠されても、目印になる部位、特に眼が目立っているとそれを狙って襲う事が可能になります。このような背景から眼も体紋で隠されるようになりました。
 このような体紋の他にも、スズメダイ、ベラ、エンゼルフィッシュなどさまざまな魚の体表面には黄と青の2色が散りばめられ、自然光の中で背景となるサンゴ礁の多彩な色の中にうまく溶け込み、カムフラージュとなっています。
 この他、魚類では水深により届く光が異なる事も考慮する必要があります。赤い光は水中ではすぐに吸収されてしまい、少し深い場所では高竦ツい光が主体となります。このような世界では黒や灰色の無彩色の色とともに赤い色は目立ちません。赤い色は水深の深い所では隠蔽色になっているのです。一方、海面近くの浅い海では太陽の光が反射散乱し、下から海面を見上げる、またこのような水深にいる魚には光輝く色が豊富に存在しています。このような背景で浅い海に住む魚や表層と中層を回遊する魚では、体側面から腹側は白くかつ光を反射する構造が多く採用されています。この場合、背側は海の色と同じく青や濃い色をしています。これを逆にしたのがサカサナマズです。この魚は腹を上にして泳ぎますが、腹側が背側より暗色になっています。また海底に住む魚貝類では体色を背景に合わせる種類もいます。これについては別途紹介します。


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