ロ)鳥類
鳥類では雷鳥が有名です。鳥類は成体になると、繁殖期の後に全身の毛が抜け換羽します。しかし雷鳥の雄は3回換羽します。春先は繁殖様の美しい姿をし、繁殖後は地味な茶色に、その後、晩秋には白い冬姿になるのです。高山の雪の世界で雷鳥の白い冬姿はカモフラージュとして有名です。
ハ)爬虫類:ヘビ
ヘビ自体の色彩感覚は他の動物に比べ劣っています。これは土中生活をしていたためと考えられていますが、体表には実に豊富な縞模様や斑点をもっています(鱗の大きさや数、配列は種により、また身体の部位により異なります)。ヘビはじっとして獲物を待ち伏せますが、身体の細かい模様で背景の中に溶け込み、身体の立体感を消して獲物や鳥などの捕食者の視覚に目立たなくする事を目的としてこれらのパターンが発達したものと思われます。次に縞模様を考えてみましょう。
ヘビには縦や横の縞をもつ種があります。これは静止をやめ、移動するときのカモフラージュと考えられています。頭尾に並行な縞模様があると、この模様は眼には見えますが、動いていても連続線のために動きが見えません。またいなくなると縞模様が突然途切れ、目印がなくなってしまいます。代表例としては淡黄色の体に4本の黒い縞模様をもつシマヘビがいます。シマヘビはカエルやトカゲなどの両生類、他のヘビや小鳥を食べます。このような餌になる動物の大部分は動く物を検知して見ていますが、動かないものは見え無いのです。
一方、背腹の回りの帯状の色縞模様が断続的に並んでいる種もいます。動く事で色が交代して見え、明滅して見える事になります。また動きの方向もつかみにくくなり、明滅反応の鈍い動物にとっては色が混ざった別の色に見える事にもなります。更に動いていて突然静止すれば色の明滅がなくなり、手がかりが失われる事になります。
その他、環状や帯状またストライプのパターンは体の輪郭を隠す分断色としても機能していると考えられています。体の外郭を隠し、補食者が視点を特定部位に合わせ難くしているのです。また、不規則な帯や小班、ダイヤモンドやジグザグパターンなどのパターンも分断色や隠蔽色として働いていると思われます。さらに、一般にヘビ類には黒い個体も見られます。黒い体色は変温動物であるヘビにとって体温を高めるのにも役立っているようです。