5.印刷・表示技術
印刷の色・階調表現
印刷と動物の体色表現は違います。
網点による階調表現 |
モアレ防止:角度の変更
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印刷では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)と黒(K)の4つの色を基本として数多くの色を表現しています。例えば、YとMが重なる事で赤(R)、YとCが重なる事で緑(G)が、さらにMとCが重なる事で青(B)が得られます。重なり具合を制御する事で、これらの中間の色が表現される事になります。
伝統的に印刷では網点の大きさを変化させる事で各色の階調を再現します。網点が小さければ、紙の白地により明るい画像が得られ、逆に、網点の大きくしてゆくと最後には隣接する網がつながり”黒べた”の画像になってしまいます。またこの時、一定面積中に何個の網点を入れるかという事で、再現できる画像の解像度合いが決まります。多くの網点が入れば細かい部分も再現できますが、少ない網点では粗い画像しか再現できません。この度合いを印刷では線数(lpi)という単位で表現します。線数は1インチ当たりに網点で構成される線が幾つはいるか、という事を表した指標になっているのです。
通常のカラー印刷では175線が良く使われ、新聞では80線程度、書籍でも150線程度までが多く、これらは印刷の紙質(表面の凹凸性)などにより制約を受けています。またカラー画像を印刷する場合にはY,M,C,Kと複数の網を使用する事になりますが、網同士を重ねると不要なパターン(これをモアレ、またはロゼッタパターンといいます)が生じます。これを極力防止するために、各色の網の角度を変える事が歴史的に行われてきました。一般的には15度ずつ傾けています。しかしそれでもモアレのを押さえる事はできず、網点を使わない方式が現在では普及しています。これをFMスクリーン法と業界内では称していますが、基本的にはプリンター等で開発されたディザ法が応用されています。
以上から分かるようにカラー印刷機では、4つの色を紙に印刷する4つの部位と紙を供給、排出する部分から構成されている事になります。また使用する紙の供給形態により印刷機の名称が異なり、紙のシートを1枚毎に供給する機械を”枚葉機”、ロール状に巻き取った紙を供給する機械を”輪転機”と呼んでいます。大量の印刷を行う場合には輪転機が主に使われますが、市場では枚葉機の方が多く使われています。