MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

警告色による擬態

 この擬態にはいくつかの種類が知られています。1つはベーツ擬態といわれ、無毒の動物が有毒の動物のようにみせかける擬態です。もう1つは有毒の動物が他の有毒の動物にみせかけるミューラー擬態と言われるものです。また赤と黒、黒と黄色のくみあわせ は、両生類や爬虫類、昆虫で有毒または味の悪いものに良くみられる配色で、一部の鳥ではこれらの色を本能的に避ける傾向にあります。逆に、このような色彩パターンを有する事でいかにも有毒の不味い動物であるかを目立たせ、警告する事が行われています。

イ)鳥類: モリモズ・・赤と黒
 ニューギニアのモリモズ類は鳥類で唯一毒(アルカロイド系の毒)をもっており、この毒をインディオが狩猟に用いています(羽、皮膚、筋肉に毒を有する)。モリモズ類は体色が赤や茶色と黒の組み合わせで互いに似ており、ミュラー型の擬態の例と考えられています。ニューギニアでは小鳥を専門にとるハイタカやハヤブサがおり、小型のタカ(アカクロオオタカ)も大型の猛禽類から身を守るためにモリモズ(ズグロモリモズ)に擬態しているといわれています。

ロ)爬虫類:ヘビ
 ヘビでは黄、赤、黒色などの環の組み合わせは警告色です。サンゴへビはこのような色環模様をもつ有毒ヘビですが、このパターンを真似ている種として無毒のキングヘビやミルクヘビがいます。この色彩パターンをミルクヘビなどが持つ事で、鳥類に捕食され難い事が確認されています。但し、捕食回避には色だけではなく、環の幅も関係しており、赤い環の幅よりも黒い環の幅が実際のサンゴヘビに似ている方が捕食され難いという報告があります。なおキングヘビは普段他のヘビを餌とし、ガラガラヘビやマムシなども平気で餌とします。 

ハ)両生類・・赤い色
 多くの陸生の有尾類は補食者にとって不味い化学物質を皮膚にある毒腺を中心として蓄えています。この不味さや毒性を宣伝するために目立つ色彩が採用されています。
 イボイモリは沖縄県の天然記念物ですが、鳥などの天敵にあうと尾を持ち上げて体側の肋骨やイボの赤い色を見せびらかして毒腺をもっている事を警告します(腹は赤くない)。  背中に毒腺をもつアカハライモリは腹が赤や黄色をしており、天敵が近づくと体を反らせて四肢をあげて腹の色を見せびらかし、毒をもつ事を警告します。この姿勢をスズガエル反射といいます。北米産のサメハダイモリもこの姿勢をとって赤色やオレンジ色の腹を見せます。また色彩を見せると同時に尾などを振り、防御行動をとる種もあります。

 毒をもつカエルは派手な色をしています。ヤドクガエルは中南米にいる小さなカエルですが黄、赤、緑色の地に黒や紫紺色の斑点や帯を持ち、最も美しい種といわれています。このカエルは神経毒をもち、これを先住民が吹き矢の先に塗って狩猟に使っていました。このカエルは昼間に開けた林床を堂々と歩き、体色を誇示して捕食者に有毒である事を警告しています。

ニ)魚類
 ミノカサゴは背びれ、シリビレなどのトゲに毒をもちます。また身体やヒレに目立つ縞模様があります。この縞模様は毒を持つ事を警告していると言われます。



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