MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

食う・食われない・子を残すC

 逃げたり攻撃するのではなく、Cみんなで防御する戦略もあります。これは1匹1匹で暮らすのではなく皆で群れを作り捕食の機会を減らす戦略です。群れる事で大きく見せ、また群れの周囲側の多くの仲間が回りを警戒するため早期警戒ができます。捕食者を見つけると、群れとして捕食者から遠ざかり、捕食者が近づくと群れを分裂させます。この方式は特に小型の鳥類やイワシなどの小型魚類、また動物性プランクトンなどで採用されている戦略です。皆で群れる事により捕食者の照準を合わせづらくし、捕食者の狩りの成功率を下げる戦略です。この戦略は、捕食者が1匹で狩りをする場合には有効ですが、捕食者が集団で狩りをしたり、クジラのように身体が大きくて大量に海水を飲み込み濾過して捕食するようなタイプの捕食者には効果が低い方法です。
 他方、自分は毒をもち危険、または不味い事を体色で積極的にアピールするD広告戦略をとる動物もいます。これを警告色といいますが、先ほどのテントウムシはその例です。
 このような戦略では身体の色や模様を鮮やかにし、この色や模様を捕食者に目だたせる位置に身体をもってきたり、ゆっくりと動いてわざと目につくように行動する事が行われます。
 また、この戦略では音も使われています。ご存じのようにコウモリは
20KHz以上の超音波を出し、反射音により捕食活動を行っていますが、蛾の仲間の有毒ヒトリガ(アルカロイド系の毒を持つ)は発声器を持ち、クリック状の超音波を出して、コウモリに対して警告します。
 さらに相手をびっくりさせる、E脅かし戦略、他者になりきる、F擬態戦略やだまし戦略も採用されています。チョウでは目玉模様が翅にあります。閉じていた翅を急に開き、翅の目玉模様を急に見せる事で捕食者をおどろかせ、その間に逃げます。この目玉模様は、被捕食者のチョウの目の模様ではなく、捕食者が驚く、眼の模様になっている事がポイントで、あるガの仲間では、肉食のフクロウなどの鳥の目とそっくりになっています。またサンゴ礁に棲む魚では尾側に目玉模様をもち、捕食者から頭部を傷付けられないようにしている魚がいます。チョウ類でも翅の尾部が触覚に似せて伸び、翅を閉じて静止した時に頭尾が逆に見えるようにしている種があります。一方、ナナフシのように、色や模様ではなく、木の小枝そっくりな形をしてカモフラージュしている場合もあります。


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