3.動物の体色・斑紋
4.目玉模様
次には多くの動物種で採用されている目玉模様について見てみましょう。これは眼自体を真似た模様ですが、動物ではさまざまな目玉模様が知られています。ヤマネコの閉じたまぶた、クジャクの目玉模様、チョウチョウウオやフエヤッコダイなど熱帯魚の目玉模様、メダマガエル、チョウやガの幼虫の頭部の目玉(通常、この下部に本当の眼、小さな側頭眼があります)、タテハチョウ科やシジミチョウ科、ジャノメチョウ科などの成虫のチョウやガの翅の目玉模様等々、非常に多くの例が報告されています。このような目玉模様は何故あるのでしょうか?実は以下の様な目的でこの模様が使われていると考えられています。
1.自分を捕食者にみせかける(実は被捕食者であるが)
2.目玉模様で、捕食者をびっくりさせ、捕食者を回避する。
3.目玉模様で頭部の位置を捕食者から隠す
4.仲間同士のコミュニケーション、特に配偶行動でのシグナル
捕食者のあるものは獲物の向きを判断する目印として眼を利用し、頭の方からかみつく傾向があります。また目玉の模様自体でも虹彩の有無により“誰”に向けられた信号かがわかります。無脊椎動物の目玉模様は捕食者である脊椎動物に対するシグナルのようです。これらの目玉模様に虹彩がある事がその理由です。また魚類の目玉模様は黒い斑点で虹彩がありません。魚類の目玉模様は、同じ魚類に対するシグナルになっていると思われます。以下、具体例を記します。
イ)捕食者に見せかける戦略
タテハチョウ科のクジャクチョウやタテハモドキは前翅と後翅に大きな目玉模様をもっています。これは、鳥の天敵であるネコ類やフクロウを真似、鳥にそれを連想させていると考えられています。 また魚では眼の近くに目玉模様をもっている魚がいます。本来の眼と、この目玉模様間の距離が捕食魚の眼の距離と一致しており、自分をあたかも捕食魚であるように見せかけているという報告があります。例えばサンゴ礁に棲むカンムリベラ幼魚(背びれ)やモンススキベラ(背びれと腹びれ)の約半数では目玉の直径や目玉間の間隔が典型的な漁食魚のものと一致しているとの事です。またコバンハゼでは本物の眼と並ぶようにエラブタの上に目玉模様があり、本物の眼との間隔が魚食魚の目の間隔と一致します。