MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

4.動物の眼・視覚

動物の聴覚

 人間の耳は鼓膜があり、この鼓膜の振動を増幅する小さな耳小骨(ツチ、キヌタ、アブミ骨)が振動を内耳に伝え、内耳では振動をリンパ液の動きに変えて電気信号として脳に伝えています。ブログの方でも若干触れましたが、他の動物について紹介したいと思います。
 爬虫類であるワニでは耳小骨のうちアブミ骨はありますがツチ・キヌタ骨はもっていません。実は爬虫類ではツチ骨・キヌタ骨は顎の骨の一部です。ワニなどの頭は地面に近い位置にあります。頭を地面に置く事で、地面を通して伝わる振動を直接頭部に伝える事で“聴いて”いるのです。但し鼓膜をもち、空気の振動も聴くことができます。
 一方、哺乳類では頭が地面から離れています。四肢の作りを変え、樹上生活する種も多くなります。このために地面からの震動ではなく、空気を伝わる音をより増幅して知る必要があります。この為、哺乳類は爬虫類では顎の骨であったツチ骨やキヌタ骨を耳の増幅装置として転用しているのです。従って逆に、爬虫類と哺乳類では顎を構成する骨のパーツが異なる事になります。
 他方、それではそもそもアブミ骨(舌顎軟骨と言います)はどうやってできて来たのでしょうか?実はこのアブミ骨は鰓から進化して来たと考えられています。脊椎動物の耳の進化は鰓や頭骨(顎)の進化なのです。

 魚類では内耳は側線系の特殊化したもので、もっぱら平衡感覚器として機能し、そこに聴覚器官としての機能ができつつある状態ですが、浮き袋の振動が肋骨経由で内耳に伝わります。音は水中では空気よりも速く(空気中:330m/秒、水中:1,500m/秒)伝わりますが、周波数が高い音は吸収され、低周波の音が遠くまで伝わります。また魚類が生活している中で発生する音は数百Hz付近の周波数が多く含まれ、更に鰭や泳ぐ時の身体の屈曲でさらに低い音が発生しています。内耳はこれらと対応して、数百Hz程度の周波数の音に最大感度をもっています。また、側線器は、内部の側線管の中に水の移動を知覚する部位(クプラ)があり主に100Hz以下の周波数の音の受容に役立っているようです。

鼓膜はいつ出現したはっきりとはしていませんが、陸上では水中と異なり、微妙な空気の振動を感ずる必要があります。このため、魚類から進化した両性類で、皮膚の一部から鼓膜が出現したと考えられます。両性類は内耳と比較的大きなアブミ骨をもつ事から低周波の震動は分かるようです。一方、爬虫類に至り、アブミ骨も小さくなり、伝達できる周波数帯も広くなります。鳥類も爬虫類とほとんど同じ内耳構造をもっています。鳥類はその多彩な鳴き声から、可聴範囲が広いイメージがありますが、鳥類の可聴周波数範囲は哺乳類よりも特に広くはありません。また、爬虫類の中で、例外としてヘビは鼓膜をもっていません。空気の振動ではなく、地面からの震動を感じています。地中生活をする事で聴覚が退化したと考えられています。


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