MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

1.太陽の恵みとリスク

陸上植物の出現
 陸上に最初に出現したのは、浅瀬に棲んでいた緑藻の仲間。

 今から、約46億年前、地球が誕生しました。原初の地球は灼熱地獄で、燃え盛る星でした。大気もなく宇宙線が直接地球に降り注ぎ、太陽の光が届いていましたが、太陽は現在と異なり、暗く、現在の7割程度の明るさであったと推定されています。暗い宇宙に浮いている灼熱地獄の星、これが原始地球のイメージです。

その後、地球は次第に冷えて、40億年ほど前には地殻や海が形成されましたが、30億年以上前の海水温は60〜120℃程度もあったと考えられています。このため最も古い生物は“熱耐性”で、酸素がないために“嫌気性”のバクテリアと考えられています。

最初に現れた生物は、前述のように細菌の1種です、最古の生物化石は約35億年前前後のものですが、単細胞の始原細菌は40億年前頃に誕生したともいわれています。この時期には地球磁場はまだなく、生物にとって危険な宇宙線や紫外線が直接地表に注いでいるため、生物はこれらから逃れられる環境(深海や地中など)で生息していたと思われます。このような中、わずかな光をもとに光合成をおこなう細菌(光合成細菌)が現れます。

 当初の光合成は緑色硫黄細菌や紅色細菌の活動によるもので、還元剤として有機物や硫化水素を用い、酸素を出さない光合成をしていました。しかし、やがてこの細菌の仲間であるシアノバクテリア(藍藻)の一種が、水と二酸化炭素から劇物ともいえる酸素を生みだす“酸素発生型光合成”を開始します。硫化水素や有機物ではなく、地球上のどこにでもある水と二酸化炭素で生息できることから、この新しい光合成を採用した生物は次第に主流となってゆきます。

やがて酸素濃度が急激に増加しはじめ、ついに大気中にオゾン層が形成されます。一方、暗かった太陽もおよそ10億年前ころには現在の9割程度の明るい光を発する星として進化します。

従って、およそ7〜10億年より以前は、生物圏は非常に暗い世界であり、6億年前頃以降から、ようやく明るい光の世界に変化したと思われます。従って、生物にとって太陽の恵みである多彩な光の世界はオゾン層形成以降であり、紫外線というリスクのある世界から太陽の恵みを受ける多様な色の世界へとこの時期に変化したと思われます。

 27億年前に現れ、酸素発生型光合成を創めたシアノバクテリア(藍藻)は藻類や陸上植物の祖先でもあります。真核生物にシアノバクテリアが共生する事で真核の光合成生物が生まれたと考えられています。浅い海中では多彩な光環境が実現していますが、海の植物である海藻類は、種類により光合成に利用している波長域が異なります。海藻には、緑藻(アオノリ等)、紅藻(アサクサノリ、テングサ等)、褐藻(コンブ、ヒジキ等)などがありますが、利用している太陽光の波長域が異なります。緑藻は青と赤領域の光を主に吸収します。紅藻は青、緑、赤の光を比較的バランス良く吸収しますが、褐藻は、紅藻と緑藻の中間で轟の吸収が若干低くなっています。従って、水中で最も深くまで届く、青〜轟の利用という観点では、紅藻>褐藻>国狽フ順に効率が良い事になります。従って、これらの藻類の繁殖可能な深さも異なり、緑藻→褐藻→紅藻の順に深い海中でも生息できることになります。このような違いは光合成でもちいられているクロロフィル等の光吸収色素の吸収領域の違いに由来しています。

 このように海水中では多彩な生物が多彩な機能を開発し次第に生態系が複雑化してゆきます。また4億4100万年〜4億3800万年前のオルドビス紀の絶滅等という生物にとっては非常に大きな苦しい時期を乗り越え、魚類も登場しました。ちなみにオルドビス紀末には地球が寒冷化し地表の半分以上を氷河が覆っていたと言われています。この時期に動物種の80%がこの時に絶滅したと言われています。

 約4億5000万年〜4億8000万年前(オルドビス紀)にまず植物が陸上に進出しました。乾燥と強光等に打ち勝ち、
最初に上陸したのは“香h藻の仲間(シャジク藻類の仲間)と考えられています(もし他の色の植物が上陸して支配権をにぎったとすれば現代は高ナはなく、褐色や紅色の世界になっていた可能性があります。逆に海は後述の2億5000 万年前の大絶滅で国狽フ世界から紅藻類から生まれた渦鞭毛藻やハプト藻、珪藻類を主とした紅色/褐色の世界に変化しました。なお渦鞭毛藻や珪藻類は赤潮を形成する藻として有名です)。この国狽フ仲間は浅い淡水に住み、浅い水域で降り注ぐ紫外線(UV)に対する防御策を発達させたようです。UV照射に対してはフェノール類やフラボノイドなどの太陽光遮断物質を、水分蒸発に対してはクチクラ層を生みだして防止し、体表面にこのような保護層が発達する事で微生物からの防御を行うとともに、身体に水分や栄養分を輸送しかつ身体を支える維管束を成立させる契機を作ったのです。
 
このように緑藻の仲間が上陸して繁栄した事で、陸上植物の色は緑色をしているのです。


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