MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.植物の色

魚による種子散布

 さて、主に3つの種子散布の仕方を紹介しましたが、少し変わった種子散布の仕方がありますので追加して紹介いたします。それは魚による種子散布です。

 実は、果実や堅い殻につつまれた種子を好んで食べる魚がいます。これらの魚は熱帯地方の淡水に棲むカラシン・ナマズ・コイの仲間で、主に南米のブラジル(アマゾン河流域)やアフリカなどに棲んでいます。前述した@〜Bは陸上動物によるものですが、植物種子の散布に最初に寄与したのは魚ではないかという説もあるようで、古生代・石炭紀の地層から出土するコルダボク(スギの仲間で絶滅種)の種子化石分布について、魚による種子散布の可能性が指摘されています。
 熱帯雨林では雨期には森林に水が入り込みますが、この時、一緒に入り込んだ魚が果実や種子を食べる事により洪水水域全体や川の上流側に種子を散布する事で植物の分布域が広がる、というのがこの散布の特徴です。水中や水面に落下した果実だけでなく果実が実った木々の下にカラシンがあつまり、果実めがけて飛びつく姿もみられるとの事です。 しかしこの散布方法では、食べた魚が種子を排出するまでの時間が短い、つまり消化の影響で発芽に影響が出ない事が重要になります。一応、消化の影響はあるものの、排出された種子に発芽能力はそれなりに残っているようです。調査結果ではカラシンに食べられたイチジクの仲間の種子のうち約70%が発芽したとの事で、種子は排出されるまでに18〜36時間もカラシンの体内に居たとされています。但しカラシンは果実だけを選んで食べている訳ではなく、通常の淡水魚のように、若魚では昆虫を摂食したり甲殻類、藻類、植物の葉なども食べている事が分かっています。


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