MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

4.動物の眼・視覚

視覚による生活

 基本的に生物は、最低限でも自分の体色に使われている色を認識することができます(例外はイカやタコ)。鳥も魚も、お互いの色彩とパターンで同族を認識し、繁殖相手を選ぶからです。またこの他にも視覚を用いて複雑な生活をしている例があります。事例を紹介しましょう。
イ)鳥類
 鳥類、とくに渡りをする種では体内時計、太陽コンパス、磁気コンパスで方位を総合的に判断するとともに、陸上の目印も飛行に利用されています。また夜間に渡りを行う種(ムシクイやルリノジコなど)では、星座の位置や北極星を中心とした星座の回転軸なども視覚で確認しているとの事です。ガンなどでは最初の渡りの時に地上に現れる多くの目印を記憶して渡り経路を経験的に学んでゆきます。まさに鳥類は視覚に大きく依存していると言っても良いでしょう、
 さらにツバメなど紫外線を感知できる鳥では、紫外線を反射する羽根をもっています。紫外線反射の有無で性を識別しているのです。人には雌雄同色に見えても、実は紫外色では雌雄で色に違いが出ているのです。ミネソタ大学で人間には雌雄同じ色に見える鳥139種について調査した結果、90%以上の種の羽毛について雌雄で紫外線反射率が異なるという結果が出ています。
 また熟した果実とベリー類は、紫外線により人と鳥では違う色に見えます。また多くの果実では果実表面のテカリが紫外線を良く反射する性質があるとも言われています。鳥はこれらを“見る”事で餌を見つけているのです。
 鳥の紫外線感知能力は、その飛行時にも使われます。日光の偏光によって、鳥はその光がどこからきたのかを感知し、この能力によって鳥は正しい方向に飛ぶことができるのです。ハトのねぐらへ帰る道の探索にこの紫外線感覚を使用しているのは有名です。
 さらに、この紫外線感知能力を用いて動物の探知を行う場合があります。草原に棲み、小さな耳という意味をもつハタネズミという草食のネズミがいます。このネズミは犬やネコのように尿や糞でマーキングを行い、仲間に匂いで自分のテリトリーを知らせますが、この尿や糞には紫外線を強く反射する物質が含まれています。このため、意図せず紫外線を見れる鳥類に存在場所を知らせる結果になってしまいます。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウはこれを利用して餌となるネズミを探索しているとの事です。
 また鳥同士のコミュニケーションも目で行われる事があります。身体的言語が使われているといえるかもしれません。例えば、くちばしを上に向ける動作はこれから“飛ぶ”という風に多くの鳥で解釈されています。また“とさか”などを下に動かす事は“警戒”や“危険”を意味する事が多いと言われています。但し多くの場合には音も並行して利用されています。
 またダーウィンにも研究されたアズマヤドリというオーストラリアに住む鳥がいます。この鳥はスズメの仲間でニワシドリとも呼ばれますが、雄は縄張り内に小枝を用いた平行な2列からなる“あずまや”を作りここにカタツムリの殻、貝殻や鳥の羽、またボタンやガラスなどの人工物までをかざり雌を誘います。雌はあずまやが左右対称でしっかりとした造りである事、また“貴重”なカタツムリの殻や鳥の青い羽根などが多く飾られている事をもとにして交尾する雄を選ぶとの事です。


 


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