草木の体が緑色なのは、葉緑体のクロロフィルによるものです。クロロフィルは赤色や青色を吸収し、緑色は比較的吸収しません。このため葉からの反射光や透過光には緑色の成分や遠赤外光が多くなりますが、遠赤外光は人間の眼ではみえず、緑色のみが感受されるために草木の体や葉は緑色となります。ちなみにクロロフィルという言葉は、ギリシャ語の「クロロス:緑色」と「フィロン:葉」とを結合した言葉でフランス人によって命名されました。
次に花の色をみてみましょう。花の色の基になる色素はどこにあるのでしょうか? 花びらは上側に釣り鐘や円錐形をした表皮があり、その下に四角形の細胞が1,2列柵状に並んだ層をもちます。さらにその下に細胞が不規則につながって無数の隙間をもつ海綿(スポンジ)状の層があり、一番下に、四角形をした細胞が整列した裏側の表皮細胞へとつながる構造をしています。葉の構造を思い出してください。花は葉から進化してできたのです。
花の色素は主に表側(開花後、太陽光を受ける側)の釣り鐘型をした表皮細胞にふくまれています。但し裏側の表皮や、色の濃い花では柵状層の細胞にも含まれる場合があります。表の表皮細胞では液胞が非常に大きくなりここに水溶性の色素(アントシアニンなどのフラボノイド系色素、ベタレイン系色素等)が、また不溶のカロテノイド系の色素が色素体(プラスチド)に存在しています。また1つの細胞で、液胞と色素体に同時に色素を持つ場合もありますが、野生植物にはアントシアニンとカロテノイドの両方の色素を花弁に蓄積するものはありません。
また花弁の表面で、表皮細胞のクチクラが変形し、突起や溝・スジを形成している場合があります。これは突起の密度や高さを制御する事で、入射した光をできるだけ花弁内に反射させ、細胞内で色素に吸収させる機会を増加させるための工夫です。
一般に、花の色は白や黄色が多く、次に紫・青系と赤系統の色が続くようです。最近は青いバラも開発されていますが、3大切り花である、バラや菊、カーネーションでは青い色がなく稀少価値である事が開発の背景にあります。
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