MARKの部屋視覚や色と 動物の行動を話題にします

3.動物の体色・斑紋

体色とコミュニケーション

ヘ)クモ
 クモは網で餌を捕食しますが、夜行性のクモ(もともとクモは夜行性として進化)では糸は紫外線領域に反射のピークをもっています。このため昼間は昆虫などに見つかり易い事になり、昼行性のクモの糸は紫外線をあまり反射しないように変化しています。但し、昼行性のクモの網の中心部には、渦巻きや帯状をした“隠れ帯”といわれる装飾がたびたび見られ、この部分は紫外光を強く反射します。餌をおびき寄せる働きをここでしているのではないか、という説があります。
 ハエトリグモは視覚が優れているので有名ですが、この種の仲間で紫外線で雌雄を識別するものがいます。雄では頭部と腹部に紫外線を反射する部分があり、雌では触肢が紫外線で緑の蛍光を発します。互いにこれらの特徴で同種の雌雄を識別して求愛行動をしています。またカニグモは、腹部に紫外線を反射し、ヒナギクのネクターガイドに擬態し、ミツバチをおびき寄せています。
ト)頭足類
 頭足類は体の色や形を様々に変化させるボディーパターンによって種内でコミュニケーションをとっています。タコは隠れようとするときや興奮したときに体色を変化させます。色だけでなく質感も変えたりします。またコウイカの身体中を流れる色も非常に神秘的です。
 イカやタコはこのように瞬間的に体色を変化させることで、
コミュニケーションや生理的興奮を伝えることができますが、それを可能にしているのは、既に述べた、筋肉による色素胞の収縮拡大です。イカの雄は求愛にこの体色変化を使います。アメリカヤリイカなどは、全身を黒っぽくしておいて外から精巣の見える所だけを透けるようにし強力なセックスアピールを発しています。但し、頭足類は基本的に色盲です。従って体色の、特に色変化については仲間よりも、捕食者の視覚に対してカモフラージュする事が最大の目的となります。

 


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