哺乳類と異なり、鳥類は4色の色覚を持っています。このため、赤や黄色、緑などカラフルな羽毛に彩られています。羽根の機能には、
・皮膚の保護:光、乾燥、外圧(摩擦)などから
・飛行機能
・体温調節
・外観の表現
などがありますが、この中では“外観の表現”が体色と大きな関係をもっています。
鳥の羽は正羽と綿羽に大別され、皮膚に深く入り込んでいる羽芽が成長して形成されます(従って、羽は先端部ほど“古い”)。綿羽は羽軸がなくふわふわしており、生まれたヒナはこの綿羽を身につけていますが成長するに従い正羽が出てきます。綿羽はダウンともいわれ(防寒衣のダウンコートのダウンです)、正羽の下にあって体温を保ちます。正羽はフェザーとよばれますが、ニワトリの羽はほとんどフェザーが主体です。ちなみに羽毛のある恐竜が中国で見つかっていますが、この羽毛は飛ぶためではなく保温のために生まれたのではないかと推定され、卵を暖めていた恐竜の化石も見つかっています。
正羽は、羽芽の最下部に後に羽枝や小羽枝となる乳頭が形成され、これが成長しますが、羽芽の細胞群では色素細胞が羽枝細胞に変化します。羽芽の成長に伴いメラニンの形成が行われ、小羽枝細胞にメラニン顆粒が入り込みます。そして後に細胞が角質化する際に、ケラチンの中にメラニンが様々な密度や形状で閉じ込められる事になります。このケラチンは鳥類や爬虫類に特有のもので(β−ケラチン)、繊維上のタンパク質です。
メラニン色素は哺乳類同様ユーメラニンとフェオメラニンの2種があります。上述のように、羽枝は表皮層に囲まれた中に、メラニンやケラチンからなる軸部があり、メラニン顆粒は、棒状、管状(空気層を含む)、板状、空気を含む小胞状など様々な形をしています。このためケラチン層、空気層、メラニン層の3つの層の構造により光の干渉を起こし、虹色を発現する場合があります。ハトやクジャクの虹色は棒状タイプのメラニン層で、キジや七面鳥は管状の、ハチドリやケツアールは小胞状のメラニン顆粒による発色によるものです。
また白い羽の色は、角質層に閉じ込められた、細かい気泡による散乱で発現しています。この気泡のサイズ(直径)が700nm以上になると、入射光が等しく反射散乱し白く見えるのです。白い色の鳥は多くいませんが、水面域で生活する鳥に多い色で、カモメ、ペリカンなどがいます。なお哺乳類の白い毛も同じ理由で発現しています、
フラミンゴはピンク色の羽を持っていますが、これはカロチノイド色素によるものです。動物園で飼われているフラミンゴはカロチノイド色素を含む餌を与えないと羽の色が次第に色が褪せて来ます。フラミンゴの羽の色は自然界では水中の青国狽ノより出ています。同じくカナリアの餌にカロチノイド色素が含まれないと黄色い羽が白くなります。パプリカを与えると赤い羽毛になるとの事で、これはパプリカのカプサンチンが影響しているとの事です。
一方、ケラチン層を表皮層が取り囲み、この表皮層に黄色や赤の色素が沈着する事で角質層からの青い反射光と表皮層での黄色や赤の反射光が混合し、高竡などの色が出ている場合があります。セキセイインコの告Fの羽やブッポウソウやアカショウビンの紫色はこのようにして発現しています。なおセキセイインコの嘴の根元にも青い色が認められますがこれもチンダル散乱によります。
大部分の鳥では年1回、繁殖期の後に羽根が生え替わります(換羽)。なかには一度に生え変わる慌て者もいますが、通常は、生え変わる順番が種により決まっています。