第1節 病院さがし
前章で統合失調症の前駆症状、そして高リスク状態のARMSについて説明しました。その中で日本にもARMSに特化した施設があることを紹介しましたが、それはあくまで少数施設であり、多くの患者さんは近隣の精神科医院に受診することになります。ARMSについての多くの臨床データから、精神病薬は第一選択にしないとのコンセンサスがありますが、これはあくまで理想論であり、実際は精神病薬中心の治療になっているものと推察されます。
そのため、個人は精神病薬を処方されたことに100%満足することなく、自ら改善できる方法を探していく必要があります。本章ではそのための行動として、病院探し・補助食品・生き方のリストラについて記します。
(病院探し)
「ゆっくり急げ」はヨーロッパで古くから用いられている格言です。この格言はそのまま、統合
失調症発症のリスク(前駆症状有)がある人々に当てはまります。まず、急がなければならない
理由は明白です。
※1 精神病未治療期間(顕在発症してから治療開始までの期間:DUP)が短いほど予後が良いことが
分かっていて、最近では、
※2 疾病未治療期間(前駆期の期間+DUP=DUI)の短い方が中長期的な予後がより改善されるとの
報告があります。
ですから、前駆症状があると感じたときは、もうすこし様子を見ようなどとせずに、なるべく早く受診を考えた方が良いです。
その一方で、ゆっくり(慌てず)事を運んだ方が結果的にうまくいくということもあります。これは多くの人が同意してくれると思いますが、内科・外科領域だと、どの医師が担当になってくれるかによって生死が分かれることがあります。同じように、精神科領域だと、医師の見立てと診療方針で、一生が決まることも十分にあり得るのです。そのためには、一刻も早く受診しようとする気持ちを抑えて、統合失調症に精通した精神科医(もしくは病院)を調べて受診に結びつけた方が中長期的に好ましい結果が得られるかもしれません。
さて、その良い精神科医(病院)の見つけ方ですが、参考になると思えるのが、「石束クリニック(東京喜多見)→動画→良い心療内科医・精神科医の見つけ方」です。ネットで検索できるので、特に情報源がない方にはお薦めです。
参考文献
※1 精神病未治療期間(DUP)【DUPが短いほど予後は良好で,治療開始の遅れが長期にわたり機能レベルに
影響を及ぼす】 日本医事新報社
※2 統合失調症の早期介入へ向けた包括的な研究の推進 日本生物学的精神医学会誌 22 巻 1 号