第2節 補助食品
統合失調症の発症を抑えてくれるかもしれない補助食品を紹介します。これらは、著者が統合失調症について調べていく中で、「疾患予防の可能性があるのでは」と思えた対象食品群(サプリ)です。
ただし、単一の栄養素だけですべての問題がクリアできるという視野狭窄に陥ることは避け、「当たれば儲けもの」程度で考えてください。あくまでメインは受診することです。
(ω3)
「友達以上、恋人未満」という表現がぴったりなのが、「ω3の統合失調症発症抑制効果」です。多くの
医師・研究機関が効果ありとする一方で、これまた多くの臨床試験で効果が否定されています。否定するサイドからは統計上の問題もさることながら、「なぜω3が有用なのかの神経化学的レベル
での解明がなされていない」ということがウィークポイントなんだろうと思います。ただし、
ここでは願いを込めた肯定的立場で、ω3をサプリで使用する上での注意すべき事項を記します。
1 (オメガ 3 系脂肪酸による精神疾患へのアプローチ 日本生物学的精神医学会誌 27(4):182─ 187, 2016)
統合失調症に関しては,1.2
グラムのオメガ 3
系脂肪酸を 12
週間投与することで,1
年間にわた
って ultra─
high risk 群の発症が予防されること ,さ らに 6.7
年(中央値)まで追跡期間を延
ばしてもその効果は持続していることが 、ランダム比較試験によって示されている。
2-1(オメガ 3 系脂肪酸による精神疾患へのアプローチ 日本生物学的精神医学会誌 27(4):182─ 187, 2016)
オメガ 3
系脂肪酸と,アラキドン酸(AA)やリノー
ル酸に代表されるオメガ 6 系脂肪酸とは
代謝酵素 が拮抗する。
2-2 (NHK健康チャンネルで確かな医療・健康情報を)
では、どうすれば良いのか?世界中の様々な疫学調査から、オメガ3とオメガ6をどのくらいの
バランスで摂れば良いのかが明らかになってきました。例えば、大規模疫学調査が長年続けられ
ている福岡県・久山町の研究によれば、血液中のオメガ3(EPA):オメガ6(アラキドン
酸)のバランスが、1:2くらいまでは心臓病での死亡リスクが低く抑えられていますが、それ
を超えてオメガ6の方が多くなると、急激に死亡リスクが高まることが示唆されています。
※1 統合失調症に対するω3多価不飽和脂肪酸の影響~メタ解析 CareNet
(NAC ・ スルフォラファン)
NAC はサプリメントとして世界中で市販され ている安全な化合物で、スルフォラファンは、アブラナ科の植物(ブロッコリー、カリフラワー、ケール、芽キャベツ)などに含まれる健康成分です。両成分とも抗炎症、抗酸化作用から統合失調症の発症を防ぐ可能性があるとされています。
(各種ビタミン 特にビタミンB6)
ビタミンとは、生体の代謝に必要な微量有機化合物で、体内で必要量を合成できないものを指します。著者は統合失調症についての多くの文献から、ビタミン類の不足がこの疾患の発症に少なからず関連しているとの感触を持ちました。
特に、
※1 ビタミン B6 が統合失調症の病態に関与する可能性
を示す論文はこれまでに複数報告されています。※1
また、ビタミンを合成できない腸内細菌と、宿主(ヒト)がビタミン獲得において競合することが
分かっていて、大腸内に供給されるビタミン量が低下すれば、それに依存する腸内細菌叢の構成にも多大な影響を及ぼします。
※1 ビタミンB6欠乏はノルアドレナリン神経系の機能亢進を生じ、統合失調症様行動異常を惹起する
日本医療研究開発機構
(乳酸菌)
睡眠改善とストレス低減効果があるとされるヤクルト1000、統合失調症の陽性症状に効果があるとされる森永BB536など、ヨーグルト類と健康(精神面を含む)との関係が注目されています。とり過ぎに注意すれば毎日続けられる味覚面の優位性もあります。
(ベタイン)
東京都医学総合研究所は、「思春期に砂糖を取りすぎると統合失調症などの精神疾患を発症するリスクの一つになる可能性がある」と発表しました。 つまり、思春期で無理のきく年代であっても、ジュースやお菓子の食べ過ぎは控えましょうとのことです。
我が家はそれに上乗せし、調理用白砂糖はやめて甜菜糖に切り替えています。価格は倍ですが、以下のタイトルから値段の問題ではないと思っています。
・統合失調症の新しい治療薬候補の発見―天然代謝産物ベタインの可能性 理化学研究所
※ベタインは甜菜糖の成分です
・ベタインは解毒作用 のあるグルタチオンの産生を増加させる 帯広畜産大学
※ 上記NACはグルタチオンを生成するために必要な成分です