02.「魏を囲って趙を救う」の計
『元をたたいて遠くを助ける』
この計略は、かつて趙という国が敵に襲われた時、趙を救いに行くのではなく、趙を攻めている最中の魏の本拠を突くことで、趙を救った逸話からとられた計略です。つまりは「臭い匂いの元を断つ」という発想転換の計略です。Aを助けるために、Aを攻撃しているBと戦うのではなく、Bの泣き所である、本拠を攻めて結果的にAを助けるという理論です。外交戦略などで応用が効く計略です。
呉と蜀の関係
単独ではとても大国 魏にかなわない呉と蜀は、互いに連携して魏と戦い、その救援に成功している。蜀の孔明がピンチになった時は呉の陸遜が魏の別の方面(魏蜀戦線にとっては背後にあたる。)を攻撃し、蜀のピンチを救ったのである。
この計略は、大局的に物事を見ることの出来る人でないと解りづらいかもしれません。普通だったら迷わず趙を救いにいってしまうでしょう。将棋でいう「先の先」を読まないと解らない計略です。しかし外交の達人はこれをよく使い、いくつもの局面を乗り越えています。中国を支援することで、日本の侵攻をさせないようにした第二次大戦のアメリカや、ロシア革命を支援することで、ロシアから国土を救った日露戦争の日本などがこの応用例です。しかしこの計略は、助け合う両国が強い絆で結ばれていないと成功は難しいのが欠点といえば欠点です。