03.「借刀殺人」の計


『嫌な仕事は他人にやらせろ』
 読んで字の如く、人の刀で殺しをする。「人のふんどしで相撲をとる」計略です。自分の手は汚さず、汚い仕事は他人にやらせてしまおうというものです。親しい人間関係で使えば、恨まれること間違いなしの陰湿な計略ですが、勝負の世界や、外交などでは必須の戦い方とされ、いわゆる「漁夫の利」をえるために使われることもあります。

呂布と曹操

 三国志の前半のライバル 呂布と曹操は互いに計略を出しあい、様々な騙し合いをした。頭のきれる曹操は超人的武勇をもつが頭の単純なこの呂布という男を、この計略を使って利用しつくしたのである。他の群雄たちがもてあました呂布も、曹操にはいい刀に映ったのであろう。呂布に褒美をちらつかせて、自分の敵勢力を呂布に攻めさせたのである。袁術や劉備はこの計略により、呂布に攻めこまれて力を失った。その間に曹操は漁夫の利をつかんだのである。結局は曹操意外どの勢力もとも倒れとなり、曹操は袁紹と戦うだけの力を蓄えることができたのである。


 嫌な仕事は部下にやらせる。キツイ仕事はバイトにやらせる。という使い方もありますが、こんな使い方をしては自分が下から恨まれるだけなのでやめましょう。どうせだったら自分より上の力を利用する借刀殺人を心がけたいものです。明るいところでは戦争の賠償金を長州でなく幕府に払わせた高杉晋作の痛快伝などがありますが、暗いところではテロ組織を裏で操る資本家などがこの計略を使っています。かくいうわが国も、世界大戦のころは「アジアの刀」として利用された過去がありました。使いようによっては本当に恐ろしい計略です。