07.「無の中に有を生ず」の計


『虚勢を張って敵を脅せ』
 無いものを有ると見せかける計略です。ハッタリ、偽装、ダミーなどを使って敵をはぐらかし、さも有るように見せかけて勝利をおさめるというものです。この計略に必要なものは、なによりもハッタリを信じこませる演技力と、平気で嘘をつく豪胆な精神力です。小心者には出来ない計略です。

徐盛の防衛戦

 魏が呉を侵攻してきた時、呉は臨戦体制が間に合っておらず、呉の陣営は大混乱であった。中には降伏の声もあった。この難局をまかされた呉の武将 徐盛は、陣の近くの森に兵のいない偽の旗をさし、空の陣を作り、張りぼてで砦をつくって、さも大軍が布陣しているように見せかけたのである。それを見た魏軍は、かなわじと見て撤退。徐盛は呉を国難から救い、一躍勇名を馳せたのであった。並の武将には出来ない、豪胆な徐盛ならではの奇策であった。


 シークレットシューズやカツラで、恋人をだますのも、化粧で男を騙すのも、この計略の応用なのかもしれません。でも一番使われるのは、貧乏人が金持ちを装って何かたくらむ時であるかもしれません。無いものを有ると見せかけるだけなので、いずれはバレてしまい、ハッタリが長続きせずに失敗して自分の首を締めることもあると注意するべきです。消費者金融や銀行、面接官といった対人のプロにこの計略を使うのは、徐盛並の度胸が必要で、臆病な小心者はすぐにハッタリを見破られてしまいます。そのためこの計略は、緊急避難的に使うのが最も利用価値が高いと思われます。間違っても学歴 経歴詐称などして犯罪に至らないようにしましょう。