10.「笑裏蔵刀」の計


『笑顔で敵を油断させろ』
 敵を油断させるには何が効果的か?それは自分を弱く見せること、自分に悪意がないと見せることでありましょう。この計略は、笑いの裏に刀を隠す、つまり、「笑顔で相手を油断させて裏に隠した刀で相手を斬る」というものです。古今東西、笑顔は男も女も最大の武器、騙すための笑顔も戦いの中では必要です。知らずのうちに誰もが使っているもっともポピュラーかつ効果の高い計略かもしれません。サービス業、営業職の基本ですね。怒りっぽい人はこの計略が使えませんが・・・

陸遜と関羽

 三国志最強の武将 関羽。彼を敵として戦わねばならなかった呉は、関羽対策として陸遜という男を登用した。陸遜が関羽を倒すために使ったのが、関羽の心理的弱点をついたこの計略であった。陸遜はとことん関羽にへりくだり、自分が弱い書生であるというイメージを関羽に植え付けた。関羽はすっかりこの計略に油断し、陸遜への警戒を解いたのである。

 それを陸遜は待っていた。関羽の油断をついて関羽の領土を攻めたのである。いままでのへりくだりが計略だと見ぬけなかった関羽は、陸遜の豹変ぶりが信じられなかったに違いない。呉はまたたくまに関羽の領土を奪い取り、結果的に関羽は死に追い詰められたのである。


 「笑顔こそ最大の武器」で、あることをこの話は物語っています。戦国最後の勝者 徳川家康も豊臣秀吉の前ではこの計略を使い、秀吉が死ぬまでへりくだったし、織田信長も上杉謙信が死ぬまで彼にへりくだっています。この計略は相手が傲慢な場合、成功しやすく、自分の演技力がさらに成功を左右します。くれぐれも自分がこの計略にかかることはないようにしたいものです。