21.「金蝉脱殻」の計
『ハッタリをかまして逃げろ』
名前は、「金の蝉が殻を脱出する」との意味で、窮地からの脱出を目的とした計略です。敵に囲まれたときや追われて絶体絶命の時、慌てずに落ち着いてこの計略を使いましょう。危機を脱出できるはずです。
長坂坡の張飛
曹操軍が怒涛の如く攻めてきた長坂坡の戦いで、劉備軍の張飛がこの計略を使って危機を脱している。曹操の大軍を正攻法ではとても押さえられないとみた張飛は、計略をしかける。橋の上に唯一人で待ち伏せし、橋の後ろの森に数人の兵を潜ませて、ホコリをたてさせたのである。それを見た曹操の大軍は、橋の向こうに伏兵が潜んでいるのではないかと疑い、追撃をやめたのである。このスキに、劉備軍は目的地まで逃げることができたのであった。
この計略を使う時は、自分が窮地に陥っている時でしょう。窮地に陥った時こそ、あわてずに落着いて対処方法を考えることが、うまくそこから逃げる方法でもあります。撤退戦は戦争においてもっとも難しい戦術であるとされています。よって、この計略を成功させるには名指揮官のような人材でなくてはなりません。太平洋戦争で有名な日本軍のキスカ島撤退作戦は、まさにこの計略の醍醐味を実戦した名采配だということができましょう。胆力、決断力、沈着力が備わっていなければ成功することはない難易度の高い計略ですね。そういえば三国志の孔明はいつも逃げるのがうまかったですね、逃げるための計略のほうが名計略が多いです。やはりそれだけ名将であったということでしょう。