23.「遠交近攻」の計
『遠くと結び、近くを攻めろ』
計略というよりも、外交の基本方針です。外交は、遠くの自分の利害とは離れた相手と結ぶのが最もよいとされています。それは、領土が離れていれば戦争状態にならないからで、逆に、近い相手はすぐに戦争状態になるので、そうした相手とは結ばずに攻撃してしまおうというものです。結んだ相手と自分の国で、近くの攻撃目標の国を挟み撃ちすることができれば、さらに効果絶大です。これは現代の時代でも大いに通用する計略です。
袁紹と劉表、袁術と公孫賛
後漢末期。董卓亡き後の天下は、袁家の二大勢力にわけられた。袁紹と袁術である。この二大勢力はお互いに遠交近攻の計略を使い、中国大陸を二分する争いを繰り広げた。袁紹が劉表を使い袁術を挟み撃ちにしようとすると袁術は孫堅に劉表を挟み撃ちするように要請する。袁術が公孫賛と結び袁紹を倒そうとすると、袁紹は曹操を使い袁術にあたらせる。そこにさらに台風の目である呂布がからみ、中国大陸は外交合戦の混戦状態となったのである。
上にあげた時代は、三国志中最も外交が複雑にからんだ時期で、今だに混乱する程複雑なものです。全員が遠交近攻を使うものだから、混乱に混乱を極めてしまったわけですね。(この中を生き延びた劉備軍はやはり凄いとしかいいとようがありません。)第二次世界大戦も、こうした外交合戦から発展して戦火が拡大していったことを考えると、各国のエゴが剥き出しになる外交とは、恐ろしいものであると改めて考えます。商売の世界でも、近すぎる同業者よりも他業者と業務提携するほうが、利点が多いことがあります。これも立派な遠交近攻ですね。