29.「樹の上に花を咲かす」の計
『敵に嘘の優勢を見せつける』
ないものをあると見せかけ、敵を欺く計略です。自軍をあたかも巨大勢力にみせつけることで、敵を萎縮させることを目的としています。
孔明のカマド戦略
蜀の孔明が北伐を中止して退却する時のこと、追撃してくる相手は魏の司馬懿でありなかなかの人物。孔明は何とかこの追撃を振り切ろうと策をめぐらせた。そこで使ったのがこの計略である。退却する陣地には普通野営した証拠であるカマドが残る。このカマドで敵は兵力を予想するのである。孔明は軍の退却していく陣地のカマドの数だけを日に日に増やしていった。兵士数は退却中なのでもちろん減っているのに、カマドだけを偽装で増やしていったのである。これによって敵の司馬懿に、援軍が合流したと思いこませたのである。
はたして敏感な司馬懿はこのカマドの数を警戒し、孔明への追撃を中止したのであった。孔明退却後、司馬懿が住民に援軍が来たかと尋ねると、援軍など来ておらず、兵は一兵たりとも増えてはいなかったという話であった。司馬懿は孔明に一杯食わされたのであった。
自軍をあたかも強大にみせかけて敵を警戒させるこの計略は、退却戦で効果を発揮することでしょう。「無の中に有を生ず」の計略と似たようなものでありますが、こちらはより戦術的な計略であるといえます。三国志では他に董卓が、自軍を毎晩城から出したり入れたりして、援軍がどんどんやってきているようにみせて、敵に数万の兵力が駐屯しているように見せかけました。企業が会社の宣伝のために嘘の利益をアピールするのもこの計略の応用ですが、極端な誇張はばれると犯罪となるので気をつけたいものです。そういえば朝鮮半島の例の国も、必要以上の軍事力を持っていることをしきりに宣伝映像でアピールしていますね。最も、あの国の場合はすでに隣国にバレてしまっているのですが・・・