33.「反間」の計


『スパイを利用しろ』
 「間」とは間者、つまりスパイのことです。敵の送りこんできたスパイを逆にこちらで利用してやろうというのがこの計略です。スパイをもし発見したら、追い出さずにその人物を泳がせておくのも一流の策士には必要ですね。

赤壁の戦いの蒋幹

 赤壁の戦いで、曹操は呉をかく乱させるため、蒋幹というスパイを送りこんだ。しかし頭のきれる呉の周瑜はこれを見破り、逆に自身の計略に利用したのである。周瑜は蒋幹の前で数々の計略と芝居をうち、蒋幹の口から曹操にそれを報告させたのである。蒋幹の報告を信じた曹操はまんまと周瑜の計略にはまり、自軍を周瑜の都合のいいように操られ、赤壁で呉に逆転勝利されてしまったのであった。


 三国志では他にも五丈原の対陣における逸話があります。孔明が敵情視察に司馬懿の陣に送りこんだ使者を、司馬懿は逆に利用して、孔明のもう長くはない病状を、その使者の口から聞き出すことに成功したのです。孔明が病死すれば自分の勝ちだということを誰よりも理解している司馬懿は、これを知ると守りに徹する作戦にでたのです。これが結局は、二人の勝敗を決める、決定打となるのでした。
 このようにスパイは、使い用によっては味方以上に利用価値があるのです。蒋幹の場合は極端にマヌケが過ぎますが、多少頭のきれるスパイでも、巧妙に芝居をうてば、騙せないこともありません。まずはスパイを見破るだけの力量が必要ですが・・・