星アラカルトその1〜宇宙と人間のつながり

宇宙は今から140億年前に誕生しました。

 最初は、水素原子やヘリウムなどが生まれました。一個陽子の周りを一個の電子が廻っている最も基本的な元素です。最初宇宙には水素やヘリウムしかなかった訳です。宇宙空間にはその様な軽いガスが漂っていた訳です。一様に広がっていたわけでなくムラがあり、ガスが濃い部分もあれば薄い部分もありました。水素ガスの濃い部分は、そこに質量があるわけですから、重力で周りからガスが引き寄せられてきます。引き寄せられるとその部分は更に濃くなり、重力が強くなりどんどん周りからガスを集めます。宇宙のそこかしこでガスの塊ができ、またガスの塊同士が重力で引きつけ合い更に大きなガスの塊となり…といった事を繰り返すうちに、ガスの塊はどんどん重力が大きくなり中心に向かい圧縮が進みます。そして内部の温度は圧縮によりどんどん上昇し、その中心温度が1000万度に達した時、ギュウギュウに圧縮された水素原子同士で驚くべき連鎖的反応が始まります。水素原子4つが1つになりヘリウム原子が生まれます。その際質量のホンの一部が消滅し、熱や光のエネルギーが放出されます。これが核融合反応です。中心部で核融合反応の燃料である水素原子同士の核融合反応が進むにつれ、中心部にはヘリウムがたまり芯ができます。太陽より小さい星では、ヘリウムの芯が出来た時点でエネルギー源を失い収縮し白色矮星という小さくて重い星が残りますが、太陽の8倍以上の大きな質量を持つ星では、水素が燃え尽きてヘリウムの芯ができると一旦中心からのエネルギーが途絶え収縮しますが、その収縮により中心部が更に高温になり、2億度に成ったところで、ヘリウムの原子同士が核融合反応を起こし、He原子同士の核融合反応で炭素Cができ、並行してHe原子とC原子の核融合反応で酸素原子がうまれます。太陽よりずっと大きな星では、さらに圧縮され三度目の核融合反応である炭素同士の核融合反応が始まります。炭素の次は、ネオン、ネオンの核融合反応でマグネシウムさらには、珪素とカルシウムなど順番に重い元素が星々の中心部の核融合反応で形成されていくわけです。そうして最後にFe(鉄)の原子ができます。中心部に鉄が貯まってくると、鉄の芯は圧縮され、とうとう内部の温度は50億度に達します。50億度を超えると鉄はエネルギーを放出せずに吸収して、ヘリウムと中性子に分解し、中心の温度は急に下がって行き、星自身が崩壊し、大爆発が起こります。その瞬間で太陽100億個分に相当する光が解き放たれる程の大爆発、この時のエネルギーで、鉄より重い元素が一気に生成され宇宙空間に解き放たれる訳です。錬金術みたいですね。

最初は、宇宙には水素やヘリウムなどの軽い元素しかなかった訳ですが、我々が呼吸に使っている酸素も、我々の肉体を構成する色々な元素、骨にはカルシウムが成分として含まれていたりするわけですが、みんな元を正せば星の中心部で起こる連鎖的な核融合で作り出された訳です。我々が存在するのも星の中心で作られたそうした元素のおかげなんですね。そうあなたの結婚指輪プラチナですね。それも大質量星の最後の大爆発である超新星爆発で生まれたプラチナ原子の産物です。水素原子だけでは、人間の体は出来ませんから…。あなたの前にあるおいしそうなケーキも、原子に分解すればC,H,O,Nなどから構成されているわけですし、望遠鏡もアルミニウムや鉄などから、出来ていますがそれらの物質を構成する原子は、すべてを辿れば星に行き着いてしまうのです。

こうして考えてみると、我々は夜空に輝く星から産まれたとも言えますね。最初に私がこの事実を知った時、衝撃を受けると同時に、星を見る目が変わりました。なんか星って身近なんだなぁ。と思った訳です。