身尺逆の母子合体
榊神代&東操
まろやか&ダークネス編


-奈落の底の鎮魂記-
第一章〜愛ゆる話〜
第四話・捕らわれし者@

愛の魔法は地獄の甘さ
マリン

「今回は愛について、それじゃあ早速、操ママさんの恋愛体験をきこー!」
「…ついに議論すら、しなくなってしまいましたね。」
「小娘2人の会話より、大人の体験談の方が、どれだけ役にたつか…それが前回の結論だったはずだよ?」
「しんしょうなこと言ってらぁ。興味本位のくせに。」
「自分のママの過去を他人が聞くからって、やさぐれないの!それじゃあ、ママさんどうぞ!」
「分かりました、では失礼して…
…コホン。」
「わくわく。」
「私と主人…つまり彼と、いわゆる恋人同士でいたのは大学に入ってから…そうですね。約1年半ぐらいの間です。」
「あれ?意外と短いね。恋人から結婚って、そんなもんなの?」
「私と彼は、高校時代から何年も一緒にいましたから、付き合い自体は長いといえますね。 もっとも、集団交際…という類のにもならない、気の合う仲間の一人、という程度ですが。」
「恋人同士の時って、何て呼び合っていたの?ハニ〜とか?」
「ハニーとは…そういう呼び方は私は苦手でしたので、彼のことは名前で呼んでました。私は、恋人同士…というよりも、仲間内では『カミュ』と呼ばれていましたね。」
「カミュ?」
「本名のカミヨとは発音しにくかったんでしょう。基本的に知り合いは、全員そう呼んでいました。もちろん、彼もそうです。」
「ふ〜ん、そうなんだ。じゃあ次に、どうやって恋愛関係になったのか聞いていい?」
「…そう…ですね。
私が彼を気になる存在として認識したのは、隣街の図書館へ行った帰りでした。」
「図書館の帰り?」
「…ああ、話を急ぎすぎましたね。
私は読書が趣味で、よく図書館へ通っていたんですが、そのさいに一緒にいてくれたのが彼だったんです。」
「えーと、読書仲間ってこと?」
「ええ、簡単に言えばそうですね。知り合いの中にも本を読むのが好きな人は沢山いらしたのですが、図書館にまで行かれる方は少なかったんです。」
「それで、さそってラブラブって感じに…」
「さそって…というわけでもないんですが…大学に入って何気なくあいさつをしているうちに…そうです…ね。時間合わせて、といいますか。一緒に本を読むようになりました。」
「自然にぃ、怪しいなぁ〜実は狙っていたんでしょ。」
「そういう発想は、少なくとも私には無かったですね。」
「そ、速攻で否定!?」
「あえて、あの時の私達の関係を言葉にするのなら『同じ趣味を共有する、同好の士』でしょう。」
「じゃあ、どうやって恋人同士に…」
「それをこれから話すんじゃないか。あんまりガツガツするとママに嫌われちゃうぞ。」
「むぅ〜」
「ええ…と、図書館へ一緒に行く所まで話ましたね…一緒に図書館へ行く様になってしばらくすると、今度は共に本の散策にでかけるようになりました。」
「散策って?」
「地元の図書館や本屋に無い本を探しに、街を歩く…といったところでしょうか。」
「え?でも図書館の本は少しぐらい遠くでも予約できるし、本屋なら本を無料で取り寄せることもできるよ?」
「マリンさん。良く知ってますね。」
「あたしゃ、これでも魔女だよ?魔法を極めるために、年がら年中、本を読んで勉強しているんだよ。もちろん師匠の家にない本を探しに図書館にも本屋さんにも行くし。」
「そうですね。特定の本があればそれで十分なのですが、関連性のある本を探したり、漠然としたテーマだけあって本自体決めてなったり、私一人では入りずらい古本屋さんにも…一緒にいると入りやすい、というのもありましたね。」
「テーマがあった場合か、それは分かるなぁ。私も知りたい魔法の本を探すのに、丸々二日もかかったもん。二人もいれば効率よくさがせるね。」
「そこの本屋の人探してくれなかったんですか?」
「探してくれたけど、彼氏さんがいれば、その分多く探せるでしょ?二人より三人の方が良いよね。」
「ええ、そうですね。実際、彼がいてくれると大変助かりました。それで…知らず知らずのうちに甘えてしまい…何かあると、彼に一緒に来てくれるようにお願いしていました。」
「ふ〜ん。」
「ママの甘えん坊♪」
「そうして二人で散策していたある日のことです。彼が電車の中で…私に向かって、こう言いました。」
「なんて!」
「その…二人でいるとデートみたいだね…って。」
「うひょ〜言っちゃたんだね、彼氏さん!それで、それで!?」
「え?あ、ああ…一瞬、何のことか分かりませんでした…というか混乱しちゃって…」
「どういう事?」
「さ、さあ…なんでしょう。とにかく…その…こういうことには、あまり馴染みが無かったものですから…」
「今でも、思い出すと混乱しちゃうの?」
「ええ、まぁ…そうですね…」
「…ふ〜ん。」
「…や、やっぱり止めませんか?こんな恥ずかしい話、役に立ちませんよ、きっと。」
「えーダメ!聞くー!」
「…わ、わかりました。エッヘン…その時、私は彼に言ったんです。」
「…なんて?」
「そういう混乱させるようなことは言わないで下さい!…と。」
「…そうとう混乱してるよね。」
「今、考えるとそうですね。混乱の極致ですよね。」
「それで、どうなったの?」
「…そ…その後にですね…疲労が溜まっていたせいか、不覚にも…彼に寄りかかって寝てしまいました。」
「ほー、よりかかって。」
「…マリンさん。目がエロいよ。」
「今考えると、凄い不覚です…男の人の体に…寄り添って寝てしまうなんて。これでは、まるでデートだというのを肯定しているようなものじゃありませんか。」
「てか、デートやね。」
「デ、デートではありません!その…彼のことを信じていましたから安心して身を任せてしまったためで…いえ、違うんですよ!」
「まーまーそれでそれで?」
「その…次の日、来週の日程を決めるために合う予定もありましたので、ついでに誤解を解こうと彼の元に行きました。そうしたら…」
「そうしたら!」
「君のことが好きだ…と言われてしまいまして…」
「おお、やったね!」
「ずるいと思いませんか!人が否定しに行ったというのに、告白するなんて、こんなことを言われてしまったら「昨日のことは違います」なんて言えなくなってしまうじゃありませんか!」
「えー言っている意味が良く分からんのですが。結局、告白されて何と答えたんですか?」
「…そ、その「また、混乱するようなことを言わないで下さい」と。」
「なんなんですか、それは…」
「…し、しりません!とにかくそういうことなんです!」
「そういうことですか。」
「そういうことです。」
「ぷぷ…ママ可愛い!」
「それで…次の目的地を動物園に決めて、行く事になりました。」
「とりあえずデートをしようと考えたわけだね。」
「デ、デートではありません。目的はあくまでも周辺の本屋さんや図書館です。」
「なんつーか、混乱しすぎじゃない?ママさん。」
「…とにかく、動物園に行ったんです。」
「彼氏に手を握られて?」
「な、なぜ、手をひかれていたのを知っているんですか?」
「…良く感が鋭いといわれるよ。はぁ…でキスをそこで?」
「キ、キスなんてしません。デートじゃないんですから!」
「えーと、さっきから内容と表現が、あってない気がするよ。」
「…大人の世界ではよくあることです。」
「この場合は全くちがうと思うんだけどなぁ」
「何にしても動物園での話は、ここで終わりです。手は引いてもらいましたが、それだけのことです。ただ…予想してないことが起きてしまいました。」
「予想しないこと…って何だったの?」
「本屋へ行かなかったんです。」
「…はぁ?」
「散策が中心だと言うからついていったのですが、動物園の中を見るだけでで終わってしまったんです。ひどいと思いませんか?」
「ま、まぁ…約束を破るのはわるいよね。」
「ええ。これではデートをしに行った様な者です。幾ら楽しくても、嘘をついて不意打ちするなんて卑怯ですし、いけないことです。」
「不意打ちですか…不意打ち…ねぇ…」
「ですから、私も帰りの列車に乗り込んだ時は…嘘をついてまで彼は私とデートしたかったのかと思うと、何ともいえない気持ちで…少しピリピリしてました。」
「…ママさんって、何か少し変じゃない?(ボソ」
「…ママは潔癖症なんですよ。約束を守らないと怖いんですから(ボソ」
「…う〜ん(潔癖とも違うような)」
「それで列車に乗り込みましたが、中はすし詰め状態で、座ることもできず。私達は立ちつくすしかありませんでした。 その時です…彼が…」
「彼が!」
「お、大きな声を出さないで下さい。ドキドキしてしまいます。」
「私も期待でドキドキしてるよ!」
「僕もドキドキだよ!」
「操さんまで同調しない!」
「いいから早く、早く!」
「…その、私達はお互い正面を向いて車内で立っていました。ですから、後から圧迫された時に…彼の胸の中に…押し込められてしまいました。」
「やったぁ!」
「彼は私の体に手を回すと…優しく抱きしめました。驚いて、彼を見上げる私に、彼は…『君は…小さいから、押しつぶされないように守ってあげようと』なんて…言い訳がましく…言ったんですよね。」
「それで、それで、何て返したの!」
「私は『体は小さいですが、気にかけてもらうほど弱くはありません』と反発しました…でも、彼の好意を無にするのも失礼かと思い…そのまま…」
「おお、ツンデレ!」
「…?何ですかそれは?」
「ツンツンしながら甘えてしまう事です、マザー!」
「…素直になれない…と言われても返答のしようがありません。父以外の男性に抱きしめられたのは初めてだったのですから。」
「でも、嬉しかったんでしょ?」
「…否定はしませんが、現実問題として彼から離れられる空間がありませんでした。」
「嫌じゃなかったくせに〜」
「くせに〜」
「もちろん。彼に安心して身をゆだねましたのは事実です。…あ、いえ、抱かれている内に安心したのが本当かもしれませんが。」
「ほほ、安心しましたか…それはさぞかしホホなどもゆるやかになれたことでしょうねぇ〜」
「…そんなに詮索ばかりしていると、嫌な子だと思われてしまいますよ?」
「真実を求めるものは常に嫌われるものなのだよ…」
「ゴシップ好きが、何言ってるんですか。」
「うるへ〜、で、その後はどうなったの?」
「…その後は、その…笑ってしまいました。」
「笑うって…なんで?」
「…乗客の方々がいつしかいなくなる中で…私は、抱きしめられている理由も無くなったのに…離れようとは考えませんでした。」
「パパにギュッと抱きしめられて気持ち良かったんだね!」
「…ええ。気持ち良くて…人目をはばからず…抱擁し合っていました。その時に、気がついたんです。ああ、私はこの人に好意をもっているんだと。」
「それで笑ったの?変なの〜」
「本当に…変ですよね。でも、その時はおかしかったんです。何でこんな簡単な事実に気がつかなかったんだろう…と。でも、その時からです。彼を…私の恋人と認識したのは。」
「…ふ〜ん。」
「列車から降りた後、彼は私を家まで送ると言い、手を引いてくれました。それで私の自宅の近くまで…来たのですが…」
「お、口ごもるってのは何かあるんだよね!」
「近くの社(やしろ)の前で…その…彼がは、私を突然振り向かせて…顔を近づけてきました。」
「彼氏とのファーストキスだね!」
「…と言いたい所なのですが、私はとっさに身構えてしまったばかりか…反射的に抵抗しようと頭突きを…」
「…へっ?」
「一応、口と口を当てたことは当てたのですが、思いっきり歯を強打してしまい…私達は二人して口中を血だらけにして、その場でもんどりうってしまいました。」
「…なんじゃそりゃ!」
「…その時の痛さといったら、少女漫画でキスするときは鼻がじゃまにならないかな?…という文章を見たことがありますが、一番気をつけなければならないのは、歯であると理解しました。」
「勉強になるよ!マリンさんも気をつけようね!」
「…勉強に…なるかなぁ」
「こうなってはキスどころの話ではありません。私達は血だらけになった口をおさえると、それぞれ家路につきました。私はすぐ近くだったので、問題ありませんが、彼はきっと大変な思いを味わったでしょう。」
「…パパさんの場合は、自業自得のような気もするけどなぁ。」
「家に帰ってきてからも、もう散々でした。血まみれの私をみた家族は、最初は何事が起きたかと大騒ぎし、次に内容をきくと呆れ、最後は笑いものにされてしまいました。」
「…そりゃ血まみれになって帰ってくりゃねぇ。」
「血もしたたる良い女、ですよ!」
「…ホラーじゃないんだから」
「…あの時は本当に散々でした。母は笑い転げてましたし、父は『加減も知らないような奴とは別れろ』といきり立っていましたし…おまけに、思ったよりも口内に損傷があり、2..3日は流動食で我慢しなければなりませんでした。」
「あれ?つき合っているのを親に報告してたの?」
「驚くようなことでは無いと思いますが?私達は健全なお付き合いをしていましたし、そもそも、彼は父も母も知っている私の交友関係の一人でしたから。」
「他の人って、自分の友達の事とかパパやママに言わないのかな?私も前に驚かれたことがあるよ。」
「操さんと私もそうですが、家族とは良く話をしますね。父はともかく、母などは、私と彼がちょくちょく、他の街へ出かけていたので、『てっきり、キスぐらいはしていると思ったけど』と笑っていました。」 < /tr>
「仲良し親子だねぇ。」
「自分の交友関係は、小まめに話した方が良いぞ。さもないとワシの知り合いのように、突然死んだ時に誰にも連絡できん、なんて自体もおきるからのぉ。」
「ええい!女の会話にヤローがでしゃばるな!(ドガ
「げぶら!」
「…マ、マリンさん!?」
「気にしないで、正月のオモチを蹴飛ばしたダケだから。で、その後は?」
「…その後、ですか?」
「まだ、ファーストキスしてないよね〜」
「…気づきましたか。やはり、言わないとダメですか?」
「もちろん!キース!キース!」
「…あの後、二週間ぐらいして彼の部屋に訪れました。」
「おお、積極的〜」
「何を考えているかは想像つきますが、それが目的で彼の家へと赴いたわけではありません。」
「まぁまぁ…でで?」
「私が…そうですね…彼の部屋の本棚から、本を探してきた時「手伝うよ」と後から、声をかけてきました。私が身構えるまでもなく、彼は私の後ろに回りこむと、肩に手をかけてきました。」
「ドキドキドキ。」
「さすがの私も、彼が何をしようとするか理解できました。来る…と身構えるのと、ほぼ同時に彼は勢いよく私に…キスをしました。」
「今度は大成功だ!」
「いえ、実はそんなに成功はしては無くて、やはり前歯を思いっきりぶつけてしまいました。」
「ダメじゃん!興奮しすぎだよ!」
「ええ、でも歯医者に通わなくてはならないほどのものではありませんでしたし。キスはちゃんとできましたよ。」
「…そうなの?ふーん。」
「…どうかされましたか?」
「…いや、さっきまで、混乱したり口ごもったりしながら話してたのに、随分スラスラ〜ってしゃべるなぁ、って思っただけ。」
「…気持ちが落ち着いてきたからでしょう。別にキスぐらいどうというものでもありませんし。」
「じゃあさ、キスの味を教えてよ。」
「…キ、キスの味…ですか?」
「そう、キスの味。彼氏さんとのファーストキスはどんな味?」
「味、と言われましても…その…何といいますか…血のような味だっと思います。」
「血、出てるやん!」
「いえ…正直にいうと、私も頭が真っ白になってしまい。良く覚えていないんです。彼と…夢中で…キスしていたものですから…」
「夢中ですと!具体的にはどういうことですか!?」
「…具体的には…その唇とか…」
「唇とか!?」
「舌とか…」
「舌とか!?」
「…ああ…なんで私…こんな恥ずかしいことを…もう…顔から火が出そうです…」
「後学のため!後学のためなのだ!(ハァハァ
「息を荒くして何を言っているんですか!ママをイジメると僕が許さないぞ!!」
「うう…仕方がないねん。他の人の恋愛に興味しんしんなのねん。そーゆーお年頃なのねん。」
「年頃のせいにするな!僕より年寄りなのに分別もないんだから!」
「と…年寄りだと!?その言葉、宣戦布告と判断する!」
「…と、様々あり、私は彼と正式に恋人として付き合うことになりました。」
「ち、しまった。マトメられたか!…ふふ、でもねぇ。まだ、まだ、終わらないよ!最後の段階が残っているしね!…ひぃーひひ。」
「…君、一体何なんですか?」

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