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-中世時代で大逆転-


「金色の担い手編」

-インターローグ2-















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西暦14××年×月×日(×)第×××号裁判記録
法務部第三指定封書×××号-××
法王庁機密文書指定××号
「イザベラ王女及びエンリケ王子婚姻取消し裁判」

大聖堂・控えの間


ザワ…ザワ…ザワ…
「…はぁ、疲れた。」
「お疲れ様!はい、ジュース!」
「…ああ、ありが(ドヴァ!
こ、これワインじゃないか!」
「…あれ?うわっ、本当だ!」
「ははは、うちじゃあジュースとして飲んでいるんだよ。」
「あ…これは殿下。」
「やるじゃないか…ええ?噂にゃあ聞いていたが、あそこまで無茶なつっこみをするとは思わなかったぞ。」
「ええ!ドキドキでしたわ!ワクワクでしたわ!あれほどの暴挙を次々と繰り出していくだなんて!」
「あ、あはは(ほ…ほめられているんだよな?)」
「でも驚いたよ。よくカスティーリアとグラナダ間で交流があったなんて知っていたよね。それ、説明してなかったよね?」
「ああ、あれ?カマをかけたダケだよ。」
「そ、それってハッタリってこと?」
「カスティリアとグラナダは国境を接しているからね。少なからず交流があると思ったんだ。まさか、あそこまで追い込めるとは思わなかったけど。」
「凄いね。いつも思うけど、行き当たりバッタリで、よく相手を追い詰めるよね。感心するよ。」
「べ、別にいつも行き当たりばったりってわけじゃ(最初に無知を暴露したせいか、今回は不当に評価が低いよ…)」
「ははは、そんな顔をすんな。ハッタリが出来るのも、洞察力と観察眼があるからだろう。」
「しかし、それもポルトガル王が来ては…」
「…う、む。こいつわぁやっかいなことになりそうだ。」
「危険な相手なんですか?」
「…認めたくはねぇが、人間的にも一国の統率者としても、俺より一回り上だ。」
「過分にありますわ…戦(いくさ)や政(まつり)の能力も…」
「…やつが表に出てきたら、実にまずい。」
「そ、そんなに凄い相手なんですか?」
「こういっちゃ何だが、あいつに比べれば、エンリケなんて小者だな。」
「最近は「飛び出せ外洋!」と鼻息も荒いですし…ただいま花丸絶好中!ですわね。」
「改めて聞くのもなんですけど…そんな凄い人の婚姻を断っちゃうんですか?」
「ふふ、確かに人間的には一回り上ですけれど、彼には…フェルナンドには、アルフォンゾには無い、若さ溢れるパワーと私に対する愛があります。」
「いやぁ…改めて言われると、照れるぜハニィ!」
「さらにアラゴン王位継承権と、それに付帯する地中海域の支配権もありますし…そして何より私の意のままに動いてくれます。これは大きいですわ。」
「あ…あはは、は。」
「…え〜と、お二人は愛し合っているんですよね?」
「もちろんですわぁ。多少の人間性と実利を削っても、彼を選んだの何よりの証ですぅ!」
「………」
「あらあら、そんな顔しないの。フェルナンドなら10年もしないうちにアルフォンゾに追いつけ、追い越せますわ!人間的にも実利的にも!いえ、して下さいね!」
「はは…はぁ…たまにキツイんだよな。イザベラは…」
「そ、そうみたいですね。色々な意味で…」
「ふふ…私は王女様ですから、ワガママなんです。地位も、名誉も、富も、そして愛も、全て手に入れたいんです。…そして彼なら全てを満たしてくれると信じているんですよ。」
「…が、頑張るよ…はにぃ…」
「パ、パーフェクト超人だ!ここに完璧超人がいるよ!
…こういう人と付き合うのって物凄く大変そうだね(ボソ」
「…まぁ、王女様だからね(普通の人なら殴りたいところだけど)」
「盛り上がりのところ、失礼します。」
「わっ!びっくりした…」
「アルフォンゾの執事か…」
「何の御用ですか?」
「主様が、これをイザベラ王女様へと。」
「まぁ…美しいバラの花束…」
「うわぁ〜綺麗だね〜」
「バラ?この季節に?」
「主様が手に入れられないものなど、何もありません。人も、物も…」
「…ふん。」
「…おお、そういえば貴方!」
「…え?僕ですか?」
「噂はかねがね。本日の裁判も、最初から見させて頂きました。いやぁ〜無理やり無理やり〜」
「…はは(こういう言い方に慣れてきた自分が悲しい)」
「どうです?みどもの元へと参られませんか?」
「…は?」
「貴方ならば、南部副総監も夢ではございませんぞ!」
「は…はぁ…」
「こらこら、目の前で引き抜きは止めてもらおう。」
「おお、これは申し訳ありません。」
「…まぁ、俺の目から逃れて引き抜こうとしても無駄だがな。何せ俺とこいつは拳で語り合い、義兄弟の杯を交わした仲なのだから!」
「い…いや、そこまでは…(ど、どういう返事をしたらいいんだコレは?)」
「ほほほ…これは失礼をば。では、これにて…あ、弁護人。」
「なんでしょうか?」
「残りの公判は、主様が出られるそうです。」
「な、何だと!」
「アルフォンゾ陛下が?」
「王は絶対にして不可侵…慈悲を懇願する用意をお忘れなきように…」
「なにあれ!」
「…ぐむむ。」
「フェルナンド殿下?」
「まずい!…絶対にまずい!まさか直接出てくるとは!」
「大丈夫だよ。こっちは口先のプロだから!」
「…頼むから弁論のプロと言ってくれ。」
「そうじゃない!ヤツは弁論だけでどうにかなる相手じゃないんだ!」
「アルフォンゾ王は、深遠なる知謀と不動の精神はもちろん、豊富な戦歴を持つ老練な方…言葉の節々に二重三重の罠を仕掛けてくるでしょう。」
「エンリケのヤツとは違い、ヤツには揺さぶりや恫喝は通用しない。王位であることも最大限に利用してくるはずだ…爵位の無いお前さんでは圧倒的に不利だ!」
「………」
「……(ギュ」
「…代理人を立てず直接乗り込んでくるとはぁ予想だにしなかったぜ…」
「それだけこの裁判を重視しているということでしょうか…確実に勝利を得ようと思わない限り自ら出てくることはまずありません。」
「…ああ、逆に言えば確実に勝つ算段をしているハズだ…こうなったら、俺様がでるか。」
「…大丈夫です。行きますよ。」
「…だが。お前さんとアルフォンゾの親父の力が互角としても、爵位の無い分だけ…」
「告発相手が誰であろうと僕は弁護を辞めるつもりはありません。僕は…弁護士なのですから。」
「………」
「…ふぅ…しょうがねえな相棒、任せたぜ!」
ちりん♪ちりん♪
「そろそろ開廷します。こちらへどうぞ。」
「…さ、行こうか。」
「…頑張ってね。応援してるからね。」
「…ああ。」

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この物語はフィクションです。
実際の組織及び人物、歴史、事件などにはいっさい関係ありません。