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love00 焼肉(2)



「あきらさん、マジでなんでも食っていーの?」

兄者に案内された席は、座敷席でちょっとした個室のようになっていた。
焼き肉屋にもこんな席があるのかと感心していると、兄者が水とおしぼりを持ってきてくれる。

「黒神さんの奢りなんですか?」

俺の言葉を聞いた兄者が、へえと問う。

「まあな」
「俺成長期真っ盛りだし、財布の中身は覚悟しといてくださいよ」

にまっと笑って、俺はそう宣言する。
ちなみに、この時のために昼は軽めにしておいた。
やっぱ、こーゆうことは計画的にしねーとなv

「わーってるよ。今日は甘えておけ」
「あざーすv」

そして、焼き肉食べ放題とゆう楽園的な時間が早速スタートしたのだった。



「あきらさん、あきらさん!タン食いました?ちょーうまいっすよ」

ひさびさの焼き肉に興奮しながら、俺はいい具合に焼けた大好物のタンを箸に取り、言った。

「タン好きなのか」

ビールをお供に、あきらさん。
まったく、ビールが似合いすぎるね、この色男さんは。

「肉ん中で一番すき!あの口に入った瞬間がたまんねーの。あと、あの食感もいーっすよね」

箸に取ったタンを口に放り込む。
俺の言葉を聞いたあきらさんは、なぜか含み笑い。
…俺、また変なこと言ったか?

「へえ。…お前、タンがどの部分の肉か知ってんの」

そういって、ビールを勢いよく飲み干す。
そして、俺はどれだけバカだと思われてるのか…。

「あきらさんも俺のこと、バカだと思ってる口だろ?それくらい知ってるっての。答えは、舌!はい、正解っ」

ビッとあきらさんの目の前に人差し指をつきだして、自信満々の一声を放つ。
コレを間違えたら、高校二年生の名が廃りますよ。

「…じゃあ、俺も遠慮なく食わせてもらうぜ・・タンをさ、」

つきだしたままの俺の腕をぐいっと引っ張って、近すぎる顔の距離でいったあきらさんの真相やいかに。
(しかも、何気シカトされてるかわいそうな俺)
引っ張られた当の本人である俺は、若干火の温度が熱くて困った。そんくらい。

「あ…、の?」

謎な行動のあきらさんに、そろそろ俺が呼びかけてみると、さらに顔が近づいてきて、額同士がぶつかり合った。

「いッ〜…」
「据え膳、頂くぜ」

え、は?とかワケわからん反応をした挙げ句、いつのまにやらあきらさんに唇を奪われていた。
……まぢワケわかりません。

「んっ、む…」

俺の口の中は、ビールとタバコの苦い味ミックス。
そして、貪るあきらさんの舌。
その舌の動きがエロスで、だんだん腰の辺りがむず痒くなってくる。
…し、た?・・舌?
……タン?
ふと、さっきあきらさんが言葉にしたことを思い出す。

『…じゃあ、俺も遠慮なく食わせてもらうぜ・・タンをさ、』
・・・・俺のタン、もしかしなくても食われてる?

「…っちょ、」

わりと首の辺りが開いたユーネックのロンティー。
そんな服をセレクトしちゃったのが、運のつき。
俺の首筋から鎖骨付近を撫でていたあきらさんの指が、そのまま空いた襟をぬって中に侵入してきた。
襟が伸びるとかそんなことよりも、まず…こんなのってアリ?
なんで俺ってば、襲われかけちゃってるわけ?

「酔っ払ってるんすかっ」
「酔っ払ってねえよ」

じゃあ、なんなんだと問いたい男心。

「ぁ、きらさ…」

そんな俺の気持ちなんて知りもせず、侵入してきた指は俺の胸元を掠め、そのままその先端部を摘んできた。
ぞわっとした感覚に、思わず背筋がびりびりする。

「…タンの良さ、身を持って味わわせて貰おうじゃねえか」

反抗しようとすると、また簡単に唇を塞がれた。
抵抗したくても、テーブル越しではうまく力が入らず、あえなく玉砕。

「っ、…」

それにしても、あきらさんってば・・・・悔しいことに、だいぶのテクニシャンだ。
キスも気持ちいし(ここだけの話)、…愛撫もお上手。
やっぱり、この辺は経験の差というやつなのでしょうか。
だんだん思考も曖昧になってくるし。
抵抗するのも無駄な足掻きって感じだし、…もうその場の雰囲気に流されそうだ。
・・すでに、流されてる気もするけど。

――――さあ、どーする?どーするよ、俺・・。










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