難  聴

目・耳鼻科系疾患  耳鳴り  鍼灸治療 


難聴とは
聴覚伝導路のどこかに障害があるかによって伝音難聴と感音難聴に分けられる
1,伝音性難聴・・・・外耳疾患や中耳伝音系の遮断や耳小骨の固着、内耳窓の圧変化の異常などによって起こる。
多くが一過性か手術治療で対応可能な疾患である。補聴器による効果も期待できる。
2,感音性難聴〜難治性難聴が多い。

@内耳性難聴・・・蝸牛の障害による。感音性難聴の大部分を占める。

A後迷路性難聴・・・蝸牛神経より中枢の障害である。

B蝸牛神経性難聴・・・聴神経鞘腫が代表的である。
                    ↓
        治療はガンマナイフや手術がおこなわれる

C中枢性難聴・・・障害部位により脳幹性と皮質性に分類する。
   原因疾患・・・脳血管障害、脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷、脱髄疾患、頭蓋圧亢進症
難聴だけで発症する場合は少ない。
生命予後にかかわる場合もあるため早期診断、治療が重要。
3,機能性難聴(心因性難聴)
聴覚伝導路に全く異常のないもの、思春期の女児に多い。近年は成人にもみることが増えてきた。原因となるストレスがあればその原因の解消とともに回復する。
4,治療について
@急性期・・・抗生剤、ビタミン製剤、循環改善剤、ステロイド剤などの薬物療法
A慢性期・・・手術が中心となる。
難聴が固定する時期〜補聴器が有用な手段となる。
両側高度難聴例〜補聴器の効果が乏しい重症例 人工内耳埋め込み術の施行

伝音性難聴と感音性難聴とは病態はまったく異なるものであるため、各疾患の治療は、その病態に応じたものを適切な時期に実施することが基本となる。
難聴は耳鳴りよりも原因の追求が重要となる。
5,疾患別の原因と治療
(1)遺伝性難聴・・・小児難聴の原因の半数以上が遺伝性といわれている。現在は遺伝子レベルの原因解明が進み、先天性のもので30〜40%で遺伝子診断が可能である。聴性脳幹反応や耳音響放射のスクリーナーにより新生児難聴も早期発見されるようになった。言語発達の見地から早期からの補聴器壮用を始め、人工内耳の適応も考えた聴能訓練の実施が必要である。
(2)突発性難聴・・・急性感音難聴で頻度が最も高い、原因は不明、突発的に発症する。他の難聴疾患がすべて否定された時のみ本疾患と診断される。眩暈が合併することもある。早期診断、発症2週間以内のステロイド投与で回復が期待できることが重要である。
(3)メニエール病・・・原因は蝸牛内のリンパ水腫といわれている。ストレスなどが発作の誘因と考えられている。典型的な発作として前駆症状に難聴、耳鳴りの出現後、回転性の眩暈が現れる。利尿剤(インバイド)の投与にて発作の回数抑制がみられる。難治例には内リンパ嚢開放術などの手術適応となる。
(4)外リンパ漏・・・内耳窓に漏孔が生じて外リンパが流出ことで、眩暈や難聴が進行するもの。早期診断で内耳窓閉鎖術を実施すれば聴力の回復する可能性がたかい。確定診断は試験的鼓室開放術を行うことにより、外リンパの流出の確認が必要なため診断が難しい例もある。
(5)内耳炎・・・炎症が内耳に波及する経路によって髄膜炎、中耳炎、血行性がある。中耳炎からの内耳炎では抗炎症・抗菌治療で回復することが多い。ウィルスの血行性感染による内耳炎では有効な治療法はなく(ムンプス難聴が代表的)高度難聴となる場合がほとんどで、両側例の場合は人工内耳の適応となる。
(6)薬剤性難聴・・・アミノグリシド系抗生物質やシスプラチンなどの抗癌剤が内耳障害を起こす薬剤としては有名である。一旦障害が固定してしまうと回復が困難で薬剤使用中の聴力モニタリングが必要である。
(7)騒音性難聴
音響外傷・・・短時間に大きな騒音に曝露されることにより起こる。突発性難聴に準じた治療で改善する例が見られる。

騒音性難聴・・・騒音職場など長時間にわたって騒音に曝露され続けられることにより発症する。回復は困難であり、予防のため遮断が重要である。
(8)老人性難聴・・・加齢によって内耳だけでなく、聴覚路全般に老化現象が起こる。高音部から進行して語音弁別能が低下することにより、純音が聴取できていても言葉の聞き取りは低下する。補聴器にて対応する。