5000年前を生きた人間のミイラが、アルプス山中で発掘された。
最新のCTスキャンによって、アイスマンと名付けられたそのミイラの
死因が明らかになった。アイスマンの背中には矢じりが残っており、
この周辺の動脈壁の損傷と血腫の存在から、矢で撃たれた箇所からの
多量出血による失血死であると断定された。
「よぉやるよなー、そんな鑑定。」
居間のソファで今日の新聞の記事を見ながら、普段だったら
およそ口にしないようなことを服部は言った。
「まぁ、ミイラの保存状態がよかったんだろ？保存状態が良いなら、
あとはいつもの死体の鑑定とかわらねーんじゃねーの。
勝手は違うかもしんねーけど」
そう言葉を返したら、そりゃそーやな、と気の無い返事をしてきた。
「何だよ、そりゃミイラの死因を特定しようなんて普通考えつかねーけど、
俺らだって推理する時は遺体を見て鑑定するじゃねーか。
そんときと大して変わンねーだろ。」
服部の言いたいことがわからず、とりあえずフォローともなんとも付かないことを言う。
だけどX線CTで内部の大量出血の痕跡が観察できたってのは、どういうことだ？
傷ついた血管や周辺組織が腐らないうちにそのまま氷漬けになって、
それを撮影できたのか？それともうまく化石化してたか・・・骨の透過像だけで
判断できたのかな。あとで原文読んでみっか。
「おい、その雪男の記事、もとはイギリスか？」
「いま、ミイラにそんなことしても、」
服部が、いやに真顔で口を開いた。
「遅すぎるんちゃうか。」
遅い？
なにが、と問おうとする前に服部は言葉を続ける。
「今、そいつの死因がわかったとしてな。
科学の進歩やとか浮かれたとしてな。
それでええんかなって、な。」
「俺やったら、そんなん今更わかったかて遅い思うわ。」
矢で撃たれた理由がまずわからんけど、もしそいつが誰かに殺されたんなら、
殺した奴をあばかなあかんやろ。家族とかおったら、帰ってこおへんお父を
ずっと心配したやろなとか。恋人なんかおったらそりゃもうそのコ大変やろし。
それともコイツめっちゃワルで、誰かの恨み買って殺されたんかなとか。
その時代におらな、いくら失血死だとわかってやれても、あとは何も出来へん。
矢で撃たれた理由がまずわからんけど、もしそいつが誰かに殺されたんなら、
殺した奴をあばかなあかんやろ。家族とかおったら、帰ってこおへんお父を
ずっと心配したやろなとか。恋人なんかおったらそりゃもうそのコ大変やろし。
それともコイツめっちゃワルで、誰かの恨み買って殺されたんかなとか。
その時代におらな、いくら失血死だとわかってやれても、あとは何も出来へん。
「それなのに今更、ミイラを、死体を、あばくのは、遅すぎちゃうかと思うんや。
ま、・・・そんなん言うたかて、しゃあないんやけどな。
そう言って、一つ伸びをした服部はソファに沈んだ。
服部が、そんなことを思っていたなんて、俺は考えもしなかった。
お前は。
いつかコナンだった頃、血の気が多い奴だと、
服部にふざけて言ってやったことがある。
ある殺人事件の被害者を助けるため、自分が怪我をすることも怖れず、
扉や窓をぶち破って事件現場に飛び込んでいったからだ。
あぁ、そういや銃弾が向けられ手足のどこかを撃たれても、
真っ直ぐに犯人に向かっていって捕まえようとしてたこともあったっけ。
血の気が多いにもほどがあるってもんだ。
けどそれは、本当は別の言葉で言ってやっても良かったんだ。
…優しいんだよ、お前は。
自分が傷ついても犯人を捕まえて被害者を助けようとして。
被害者も、犯人をも、命を救い、さらに犯人を生かして
被害者に対して罪を償わせようとして。
それができないのなら、真実を突き止めたとて、遅すぎるのだと。
いつもは明るく軽口を叩くこの男が、こんなふうなことをいとも簡単に口にする。
あのときこいつと出会えて本当によかったと思う。
探偵としても、人としても。
でも、やっぱり俺は面と向かってお前にそう言ってやるのは照れくさいから。
ソファで横たわる服部の唇に、その言葉を伝えるようにそっとくちづける。
服部はそれを甘く舌で受け止めた。わかったと、応えた気がした。
ま、・・・そんなん言うたかて、しゃあないんやけどな。
そう言って、一つ伸びをした服部はソファに沈んだ。
服部が、そんなことを思っていたなんて、俺は考えもしなかった。
お前は。
いつかコナンだった頃、血の気が多い奴だと、
服部にふざけて言ってやったことがある。
ある殺人事件の被害者を助けるため、自分が怪我をすることも怖れず、
扉や窓をぶち破って事件現場に飛び込んでいったからだ。
あぁ、そういや銃弾が向けられ手足のどこかを撃たれても、
真っ直ぐに犯人に向かっていって捕まえようとしてたこともあったっけ。
血の気が多いにもほどがあるってもんだ。
けどそれは、本当は別の言葉で言ってやっても良かったんだ。
…優しいんだよ、お前は。
自分が傷ついても犯人を捕まえて被害者を助けようとして。
被害者も、犯人をも、命を救い、さらに犯人を生かして
被害者に対して罪を償わせようとして。
それができないのなら、真実を突き止めたとて、遅すぎるのだと。
いつもは明るく軽口を叩くこの男が、こんなふうなことをいとも簡単に口にする。
あのときこいつと出会えて本当によかったと思う。
探偵としても、人としても。
でも、やっぱり俺は面と向かってお前にそう言ってやるのは照れくさいから。
ソファで横たわる服部の唇に、その言葉を伝えるようにそっとくちづける。
服部はそれを甘く舌で受け止めた。わかったと、応えた気がした。
3000ヒット、ありがとうございます。
日記でもまだ信じらないと書きましたが、今でも信じられません（＞＜；）
カウンタ数値をここまでのばしてくださった皆様に何かお礼をしたく、
頭をひねりました（ところが知恵熱も出た）。
…こんなめでたい席に、イラストを更新せずド下手小説を、
しかも続き物を更新するとは、何事かぁというお叱りの声が
いやというほど聞こえてますごめんなさいごめんなさい（平謝り）。
続きはたいした内容ではありませんが…、ひとつは平新と何の関係もない話。
もひとつは平新このあとの話。
後者は一応、実年齢と精神年齢が大人に達していないかたはご遠慮下さいませ;
たいそうなもんじゃないのですが、そういう内容なので上にはリンク張ってません。
url参考： にのつぎはさん
そういうのが苦手な方、本当にごめんなさいませ；
いやもうほんと、いろいろごめんなさい。
アイスマン（「上には」リンクはありませんよ）
日記でもまだ信じらないと書きましたが、今でも信じられません（＞＜；）
カウンタ数値をここまでのばしてくださった皆様に何かお礼をしたく、
頭をひねりました（ところが知恵熱も出た）。
…こんなめでたい席に、イラストを更新せずド下手小説を、
しかも続き物を更新するとは、何事かぁというお叱りの声が
いやというほど聞こえてますごめんなさいごめんなさい（平謝り）。
続きはたいした内容ではありませんが…、ひとつは平新と何の関係もない話。
もひとつは平新このあとの話。
後者は一応、実年齢と精神年齢が大人に達していないかたはご遠慮下さいませ;
たいそうなもんじゃないのですが、そういう内容なので上にはリンク張ってません。
url参考： にのつぎはさん
そういうのが苦手な方、本当にごめんなさいませ；
いやもうほんと、いろいろごめんなさい。
アイスマン（「上には」リンクはありませんよ）