私達の身の回りには様々な色があふれています。朝や夕方には朝焼けや夕焼けが見られ、日中も晴れていれば青空が上空に広がります。また青空の中に白い雲が浮かんでいます。
眼を下に下ろしてくると、山々や緑の木々が眼にはいります。これらは季節に応じて様々な色に変化します。冬には山々の頂上付近には白い雪がかかり、春になれば木々が芽吹き全山黄緑の若葉で覆われます。その後、夏に向けて、木々の色は次第に濃くなり、秋になれば紅葉がみられるのです。またこれに応じて、春は動物達の恋の季節です。厳しい冬から解き放たれるように、動物が一斉に出てきます。また草花も美しい花をつけ、白、黄、赤、青など様々な色で眼を楽しませてくれます。また昆虫なども花を追いかけるかのように蜜を求めて飛び周りますがその身体には様々な色を持つものが数知れずいます。さらに、静かにしていると鳥類の囀る声が聞こえてきます。鳥達も身体に様々な模様を持っている種がいます。
このような、植物や動物の色は一体どのように作られているのでしょうか?またこのような色や模様はどのような意味を持っているのでしょうか?
ハーバード大学のマイヤさんは動物の行動を整理し、多くは、“食う、食われない、子孫を残す”、という3点に還元できるとされました。この視点は非常に示唆に富んでいるように思われます。本ホームページでは動物の視覚や生物の体色についてこの観点をベースに紹介し、“何故”に答えてゆきたいと思います。
本格的に紹介する前に、色や視覚の役割を整理・確認するため、まず、“食う”、“食われない”という世界について見てみましょう。視覚がその中で大きな役目を果たしている事が分かります。“食う”事は生存するために必要です。植物であれば、太陽の光で養分を産生できますが、動物は餌がないと生存できません。人間は植物を栽培し、また一部の動物を飼育・養殖する事で手に入れています。またアリや笠貝でもキノコや藻を栽培している例が知られていますが、通常は弱肉強食の世界で捕食、非捕食の複雑な食物連鎖が形成されています。
それでは具体的に餌はどうすれば手に入れる事ができるのでしょうか?動物で大きな役目をしているのは臭覚と視覚です。感覚としては他に触覚、味覚、聴覚がありますが、“食う”点についてはこの2つが代表的な感覚です。どのようにこれらが使われているのか概略を見てみましょう(以下、次に続く)。