藤蔓と策


作成2008年4月12日

このページの最終更新日は2010/04/13です。

日本の鷹道具U日本の鷹道具T

主題「日本の鷹道具」

 策(ブチ:漢字ではサクと読みますが鷹狩用語ではブチと読みます。流派によっては鞭(ムチ)の字を当てる場合も有ります。)に関する問い合わせが多いので、ご質問に答える形で新しいページを追加しました。テーマは「藤蔓と策」です。このページでは材料の藤蔓の準備から、策の作り方をご紹介します。

1.藤蔓と策(ブチ)



 藤蔓の四、五年目の物で、真っ直ぐな物を採って来て作ります。上の写真のVの字に見える右側が使える太さに成長した藤蔓で、左はこれから太くなる蔓です。 実際は絡んで成長の邪魔になる他の蔓を切ったりしてまっすぐ成長するように保護してやります。山が荒れて来て最近は簡単に手に入る様になりましたが、太くなってしまった蔓はからまれた木の為にも切って、新しい芽が出るようにしてあげます。昔は山菜取りに行くと藤蔓が絡んだ木を見つけると、他人の山でも切る習慣が有りましたが、今ではそれも無くなってしまい、 山芋堀のブームで他人の山でも勝手に掘り起こし、そのまま放置された穴が目立ちます。最低限のルールは守ってもらいたい物です。これで骨折する人も居 るそうですからから。



 左から右へ出来上がっていく過程です。そのまま続けて仕上げる事も有りますが、一度に沢山収穫した時は左から二番目の状態で乾燥して保存して置きます。必要に応じ、水で戻して房に仕上げます。これは採取時期が限られる為です。そして水で戻してから片方を叩いたり、噛んだり、裂いたりして房に仕上げます。その後 タコ糸で縛り乾燥させ、使う時になって始めてタコ糸を外し、仕上げに絹のボタン穴糸を巻いて出来上がりです。但し、短い策には糸は巻きません。



 反対は尖らせて有り、腰に差します。策にも流派による違いが有り、ハレとケの使い分けが有ります。左は正規(ハレ)のサイズのオオタカの弟(ダイ:メスの意)用、右は普段(ケ)使いの物です。これが、ベルトに差しているうちにどこかに落としてしまい、すぐになくしてしまいます。しかし、大事な道具なのでいつも持ち歩く様にしています。用途は羽根を整えたり、一番は口の回りの汚れを洗い落とすのに使います。 但し、最上位の物は藤蔓の意外な部分を使います。腰に差した写真は「日本の鷹狩」の一番最後の写真を参照下さい。

2.策(ムチ)の井

 JR新宿駅西口前の広場に面してエルタワーと言うビルが有りますが、このビルの裏に都旧跡「策(ムチ)の井」の記念碑が建っています。この辺に有ったとしか今では分かりませんが、そこに書かれている内容は下記になります。



「都旧跡 策の井

所在 新宿区西新宿一丁目六番地

指定 昭和十六年十一月

 当敷地内に在した「策の井」は江戸時代より名井として知られ、天和年間(一六八一〜一六八三)に出版された戸田茂睡の紫の一木(むらさきのひともと)に「策の井は四谷伊賀の先にあり、いま尾張摂津下屋敷内にあり、東照公鷹野にならせられし時、ここに名水あるよしにきこし召し、おたづねなされ、水を召し上がられ、御鷹の策のよごれをお洗われたる故、この名ありという」と書かれている。この地は尾張摂津下屋敷であった所であり、また、享保年間(一七一六〜一七三五)に出版された「江戸砂子」(えどすなご)という本にも同趣旨の文章が見られ「策之井」が名水とうたわれた。

平成元年六月     建設

                    東京都教育委員会」

 以上が記念碑に記載された全文ですが、新宿に行く事が有ったらついでに見に行ってはどうでしょうか。それ程時間は掛かりません。所用時間30分程度です。

 

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