ここでは、寄せられたご質問のうち、よくある質問をご紹介いたします。
●医療費控除関係
Q.医療費控除の計算はどのように行うのですか?
A.自己又は自己と生活をひとつにする配偶者その他の親族に支払った場合、次の算式で控除計算することになります。
(年中に支払った医療費の総額-医療費を補填する医療保険の総額)-10万円
(所得金額が200万円未満の者は、所得金額の5%の金額となります。)=控除額
計算例は次のとおりです。
例1 年中の所得金額が200万円以上の場合
(105万円-35万円)-10万円=60万円⇒控除額
例2 年中の所得金額が140万円の場合
(105万円-35万円)- 7万円=63万円⇒控除額
Q.田舎で一人暮らしをしている母親の医療費を子が負担しました。その医療費は子の控除対象となりますか?
A.日常の生活を共にしていない子が①勤務、修学等の余暇には郷里の母親のもとで生活を共にすることを常としている、②母親との間で生活費や療養等の送金がされているなど、母親の年収が少額で子からの仕送りで生活しているという場合には、子が負担した医療費は控除の対象となります。
Q.父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子が支払った場合には、その子の医療費控除の対象となりますか?
A.母親と子が生活をひとつにしていれば、子が支払った母親の医療費は、子の医療費控除の対象となります。
Q.私の妻は妊娠中で定期的に健康診断を受けています。医師に支払う費用は医療費控除の対象となりますか。また通院費用はどうなりますか?
A.出産に係る健康診断の費用は医療費控除の対象となります。また、通院費用についても同様に控除対象となります。
※通院費用についても領収書が必要ですが、領収書のない場合には家計簿などに記録しておくことが必要です。
Q.私は歯の治療を受け金冠、ポーセレンや人工歯などを装てんし、保険以外にも多額の料金を支払いました。医療費控除の対象になるのでしょうか?
A.歯科医師による診療や治療の対価であっても、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超える部分の金額は、医療費の控除の対象にはなりません。
しかし、治療のために一般的に使用されている材料を使用するのであれば、その材料について健康保険の適用がないため治療費が高額となる場合であっても、その費用は医療費控除の対象となります。
Q.私の妻は交通事故で寝たきりとなり在宅療養中です。保健師や看護師以外の人に依頼して支払う費用は医療費控除の対象になるのでしょうか?
A.医師との連携の下に在宅療養サービス又は訪問入浴サービスを受けており在宅介護費用証明書が事業者から交付されている場合は、医療費控除の対象となります。
Q.通所介護や短期入所生活介護を受ける場合、特別養護老人ホームや老人福祉センターへ通うこととなります。この交通費は医療費の対象となりますか?
A.通所介護や短期入所生活介護が介護保険給付の対象となるもので、かつ自己負担分が通常必要なものに限り医療費控除の対象となります。
●雑損控除関係
Q.火災により居住用建物を全焼し、保険会社から1200万円の保険金を受取りました。この1200万円には税金がかかるのでしょうか? また、火災による損失は3500万円です。所得から控除することができるでしょうか?
A.保険会社から支払われた保険金は、非課税所得となり所得税はかかりません。
火災による損失で資産に損害を受けた場合には、所得税法による「雑損控除」の適用を受けることができます。
雑損控除として控除できる金額は、次の二つのうちいずれか多いほうの金額となります。
① 差引損失額-総所得金額等×10%
② 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
なお、差引損失額とは、損害金額に災害関連支出の金額を加えた額から保険会社から補填された金額を控除した金額となります。
この適用を受けるには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出の金額の領収書を添付しなければなりません。
給与所得の人は源泉徴収票(原本)も添付します。
Q.私はサラリーマンです。空き巣に入られ貴金属などを盗まれてしまいました。確定申告すれば税金が戻るのでしょうか?
A.盗難による損失につては所得税法による「雑損控除」の適用を受けることができますが、生活に通常必要なものでなく、かつ30万円を超えるものについては雑損控除の適用はありません。
この適用を受けるには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出の金額(盗難に関連する支出の金額を含む)。の領収を証明する書類の添付が必要です。給与所得の人は源泉徴収票(原本)も添付します。
●配偶者控除・扶養控除関係
Q.私の妻はパート収入82万円で配偶者控除の対象としていましたが、本年生命保険の満期金として60万円の収入が発生しました。本年は配偶者控除の適用が受けられないのでしょうか?
A.配偶者の所得は、合計所得金額が38万円以下となりますので配偶者控除の対象となり適用が受けられます。
合計所得額の計算は次のとおりです。
給与所得の金額=82万円収入金額-65万円給与所得控除額=17万円
保険満期金の金額=60万円-50万円特別控除額=10万円
合計所得金額=17万円給与所得の金額+10万円×1/2=22万円
配偶者の合計所得金額は22万円となり配偶者控除の適用が受けられます。
Q.私(サラリーマン)の妻はパート収入が110万円です。配偶者控除は受けていませんが配偶者特別控除は受けられますか?
A.本人の合計所得金額が1,000万円以下である場合には、配偶者控除の適用がない場合であっても適用が受けられます。
控除額の計算は次のとおりです。
給与所得の金額 =110万円給与収入金額-65万円給与所得控除額=45万円
配偶者特別控除額= 38万円 -(45万円給与所得の金額 - 38万円)= 31万円
配偶者で給与収入のみの場合の配偶者特別控除の控除額早見表
給与所得金額 | 控除額 |
---|---|
380,001円 ~ 399,999円 | 38万円 |
400,000円 ~ 449,999円 | 36万円 |
450,000円 ~ 499,999円 | 31万円 |
500,000円 ~ 549,999円 | 26万円 |
550,000円 ~ 599,999円 | 21万円 |
600,000円 ~ 649,999円 | 16万円 |
650,000円 ~ 699,999円 | 11万円 |
700,000円 ~ 749,999円 | 6万円 |
750,000円 ~ 759,999円 | 3万円 |
760,000円以上 | 0円 |
●所得税の納税地
Q.私は昨年まではA税務署に提出していましたが、昨年12月にB市(B税務署管轄)に転居しました。確定申告書はA税務署、B税務署のどちらに提出すればよいのでしょうか?
A.確定申告書は、その提出する時の住所地を所轄する税務署に対し提出することとされています。 したがって、あなたの場合は、B税務署に対して確定申告書を提出することになります。
Q.会社員ですが、会社からの報酬のほかに、配当、不動産賃貸料、講演料などの収入があります。会社所在地(勤務先)を納税地として確定申告書を税務署に提出することはできますか?
A.所得税の納税地は、その人の住所地とされていますので、会社所在地(勤務先)を納税地とすることはできません。
Q.私は、貸事務所を賃貸し不動産所得を得ています。この不動産所在地を納税地とすることはできますか?
A.不動産の貸付業が事業として行われている場合は、その事業所を納税地とすることができますが、貸事務所、アパートなど単に不動産所得の基因となる資産があるというだけではその所在地を納税地とすることはできません。 事業的規模とは、貸付資産が貸間、アパートについてはおおむね10室以上、独立(戸建など)家屋については5棟以上とされています。
●相続税について
Q.私は夫が本年6月に死亡しました。私達の夫婦には子供が2人います。相続税の申告は必要ですか?
A.遺産総額から葬式費用や夫の債務を控除した残額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要となります。
あなたと子供2人の場合の基礎控除額の計算は次のとおりです。
(相続人の人数=あなたと子供2人の合計人数)
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
したがって、基礎控除額4,800万円を超える場合には、相続税の申告が必要となります。
Q.相続財産のうち非課税財産とはどのような財産なのですか?
A.非課税財産の主なものは次のとおりです。
① 墓所、仏壇、祭具など
② 国や地方公共団体、特定の公益団体に寄付した財産
③ 生命保険金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
④ 死亡退職金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
Q.相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とはどのような制度ですか?
A.配偶者が遺産分割や遺贈により取得した正味の遺産額が1億6,000円までか、または配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかからないという制度です。 したがって、被相続人には、子も兄弟姉妹もなく、直系尊属も既に死亡しており、法定相続人が配偶者1人のみの場合には、配偶者の税額控除により納付税額は生じないこととなります。
Q.父が死亡しました。父の相続構成は、母親(B)長女(C)、長女の夫(E) 長女の子(F)、長女の子(G)、二女(D)の6人で、E、F,及びGは父と養子縁組をしております。 相続税法上の法定相続人に含まれる養子の数はどのようになりますか?
A.母親(B)、長女(C)、二女(D)及び養子(E,F,G)1名の合計4名が相続税法上の法定相続人の数となります。