5. 異質ラバーに対する戦術

5.1 ラバーの性質と基本戦術

私の主観であるが、おおむね対戦相手の60%は裏ラバーを両面に付けており、30%が両面か片面に表ラバーか粒高ラバーを付けおり、10%が片面に表ラバーとか粒高ラバーを付けている。圧倒的に裏面ラバーと対戦することが多いので裏ラバーの相手を基準として考えることに慣れてしまっており異質のラバーとの対戦では後手に回ることが多い。

ここではラバーの性能から、軌道、角運動量から基本戦術を概観している。

5.1.1 各種ラバーの性能ポジション

各種ラバー性能図を示した。裏テンション、裏粘着、裏高弾性、表、粒高、アンチを、性能図に配置すると以下の通りとなる。 楕円の中心は平均値であり、楕円は標準偏差としラバーの種類によるバラツキで示した。 ザックリと扱う為に平均値で話をする。なお、このラバーの性能はBUTTERFLY社の製品群の平均である。

異質ラバーの飛びと回転の性能

もどる

5.1.2 ラバー種別と球の軌道

図は上記の性能ポジション表を基に、同じ角度と同じ力加減で打った時のラバー種別による軌道を示した。

異質ラバーの軌道

この図から分かることは、裏テンションに比べて、

  1. アンチや表一枚ラバーは飛距離が出ない。普通に打ったのではネットを越えない。
  2. 粒高は軌道が高くなり飛距離が出ずにプレゼントボールになる。 実際には、ネットを越える高さを調整してくることになるので、飛距離がもっと短くなる。
  3. 表ラバーは飛び反力が大きいので、弾道が低く飛距離が出ることが分かる。
  4. 裏粘着は上回転が大きくなり飛距離は小さく見えるが、実際には対戦相手の球に回転力があれば、その反発力で球の飛距離は出ることになる。

もどる

5.1.3 各種ラバーと角運動量

ここで注目する点は摩擦だ。回転している球は停止しているラケットに当たると摩擦によって「回転の運動量」が「飛びの運動量」に変換されることを思い出して出して欲しい。
対戦相手の打球点の回転軸に対する角度によって君へ戻ってくる回転の強さ角運動量を推量しておこう。次のグラフは、各種ラバーの角運動量は各ラバーと裏ラバーとの摩擦係数係数に比例するもとして描かれている。

ラバーの種類と角運動量

君が裏ラバー球の赤道で与えた回転軸に対する角運動量を1.0とする時、

対戦相手が裏ラバー角度90°でラケットに当たる時は1.0は飛びに変換し消費し回転としては残らない。角度45°では0.5の角運動量が飛びに変換し消費し、0.5が回転として残り戻ってくる。

対戦相手が表ラバーの時、角度90°でラケットに当たる時は0.65は飛びに変換し消費し0.35が回転として残る。角度45°では0.3の角運動量が飛びに変換し消費し、0.7が回転として残り戻ってくる。

対戦相手が粒高ラバー角度90°でラケットに当たる時は0.35が飛びに変換し消費し0.65が回転として残る。角度45°では大よそ0.2の角運動量が飛びに変換し消費し、0.8が回転として残り戻ってくる。

もどる

5.1.4 ラバーの特徴から見える基本戦術

(A) 粒高ラバーに対する基本戦術

自分が裏ラバーで粒高ラバーとの対戦では、

  1. 粒高ラバーは飛びも摩擦も小さいことから、レシーブでは飛距離が伸びないので、君がナックルで相手ミドルへサービスを送るとネットに引っ掛ける確率が高くなる。
  2. 粒高ラバーがサーブで送り出す球は、摩擦が裏ラバーの1/3程度と小さいので、君が打つ球の飛距離が短くなりネットに引っ掛からかる確率が高くなる。裏ラバーの時の1.5倍程度を接触時間を多く取って返す必要がある。
  3. 粒高ラバーがレシーブで送り出す球は、摩擦が裏ラバーの1/3程度と小さくなるので、君が送った回転の2/3以上はそのままの回転を維持して戻ってくることから、自分の回転を頼りに作戦を立てる必要がある。

(B) 表ラバーに対する基本戦術

自分が裏ラバーで表ラバーとの対戦では、

  1. 表ラバーは飛びが大きく摩擦が小さいことから、レシーブでは飛距離が伸びるので、君が横回転の速いサービスをバック側深くに送ると、相手が飛距離のコントロールが 難しくテーブルアウトの確率が高くなる。
  2. 表ラバーがサービで送り出す球は、摩擦が裏ラバーの2/3程度と小さいので、君が打つ球の飛距離が短くなりネットに引っ掛からかる確率が高くなる。裏ラバーの時の1.3倍程度を接触時間を多く取って返す必要がある。
  3. 表ラバーがレシーブで送り出す球は、摩擦が裏ラバーの2/3程度と小さくなるので、君が送った回転の1/3以上はそのままの回転を維持して戻ってくることから、自分の回転も考慮して作戦を立てる必要がある。

(C) 粘着系裏ラバーに対する基本戦術

自分が裏ラバーでラバー反力の大きい粘着系の裏ラバーとの対戦では、

  1. 粘着ラバーは摩擦が大きいことから、君の送った回転が速ければその影響が大きくなるので、相手がブロックする時はテーブルアウトやネットに引っ掛ける確率が高くなる。
  2. 君が粘着ラバーの上回転を受ける時は、前方の飛距離を減らす為にHコーク回転やFコーク回転を加えて飛び方向に角度をつけてエンドラインまでの距離を長くしテーブルアウトすることを避ける。
  3. 君が粘着ラバーの下回転を受ける時は、ネットに引っ掛からない様にするために、球がネットを越える様にラケット前方を少し上向きに傾けHコーク回転やFコーク回転を加える。

もどる