5. 異質ラバーに対する戦術

5.2 粒高ラバーの攻略法

第2部 「ベクトルで考える基本戦術(基本)」の様々な戦術は裏ラバーに対する戦術ではあるが、当然、粒高ラバーの特徴を考慮することによって適用できる。前節 5.1.4 (B)「粒高ラバーに対する基本戦術」と併せて、粒高ラバーに対する攻略法を考えてみよう。

戦術を考える当たって、まず対戦相手である粒高ラバーはどう戦ってくくるのか、そのラバーの特徴から定まる合理的な戦術を「相手の基本戦略」とし最初に説明し、 その後に、粒高ラバーから繰り出される球種から定まる合理的な「基本の攻略法」ついて述べる。

本節では「基本の攻略法」までに話を留め、5.5節 「粒高ラバーに対するより洗練され戦術」の橋渡しとしている。

攻略法で述べる自分が使用するラバーは裏ラバーを想定している。
なお、ここでは粒高ラバーの説明としているが、表一枚ラバーやアンチラバーについては粒高ラバーに似た特性なので、同様の作戦が通用する。

5.2.1 相手の基本戦術

  1. 粒高ラバーは、摩擦が小さいばかりか、速度も小さいので、前陣で構えることになる。
  2. 粒高ラバーは、摩擦が小さいので相手の回転の影響を受けにくいのでブロックがし易い。
  3. 積極的に相手の回転を利用して裏ラバーを自滅させる戦法だ。粒高ラバーは摩擦が小さいことから、 粒高ラバーがレシーブで繰り出す回転は、裏ラバーが繰り出した回転の大半がそのままの回転を維持して戻っていく。すなわち、裏ラバーが送球したドライブはカットとして返球され、 カットはドライブとして返球される。
  4. 粒高ラバーでサーブは全てナックルとなるのでサーブでフェイクし易い。

(A) 自分が相手へドライブで送球をした時

粒高ラバーの戦略①

左図は自分がドライブで相手にサーブした場合である。

① Ⅰでドライブ(T)を出す。

② 粒高ラバーの相手はドライブモーションでナックル(K)で受けるので、自分へはⅡのΘカット(ΘB)で戻ってくる。

③ 粒高の特徴をシッカリと理解していないと、この事を勘違いし、Ⅱの回転をΘドライブ(ΘT)と考えラケットの打球面を下向きにしてドライブ(T)でブロックするために、下回転の反力を受けてナックル(K)となりⅢでネットに引っ掛かる。

(B) 自分が相手へカットで送球をした時

粒高ラバーの戦略②

左図は自分がカットで相手にサーブした場合である。

① Ⅰでカット(B)を出す。

② 粒高ラバーの相手は、カットモーションでナックル(K)で受けるので、自分へはΘドライブ(ΘT)で戻ってくる。

③ 粒高ラバーの特徴をシッカリと理解していないと、この事を勘違いし、Ⅱの回転をΘカット(ΘB)と考えてカット(B)で受けるために、 上回転の反力を受けてナックル(K)となり、Ⅲで相手へのプレゼントボールになる。

もどる

5.2.2 基本の攻略法

粒高とのラリー

5.5節 「粒高ラバーに対するより洗練され戦略」を理解してもらう為に、ドライブとカットだけを使った粒高とのラリーを説明しておこう。実際に試合では、この戦法を使う選手を多くみる。

粒高とのラリーを続けるには、自分の回転がそのまま戻ってくることから、先に与えた自分の回転を頼りに、次の打ち方を決める必要がある。 そうすればラリーは続けられて、チャンスを見つけてスマッシュで勝負を決めることが出来る。
この例では最初にドライブで開始しているが、カットで開始すれば、この例の逆となるだけだ。

粒高ラバーの攻略法⑤

左図は自分が最初にドライブで相手にサーブした場合である。

① 自分がドライブ(T)でサーブを出すとⅠのドライブで相手に向かう。

② 相手はⅠの回転を粒高ラバーによるナックル(K)で受けるので、自分へはⅡのΘカット(ΘB)で戻ってくる。

ⅡのΘカットに対して、カット(B)で返すと、相手コートへはⅢのナックル(K)で返る。

④ 相手はⅢの回転を粒高ラバーによるナックル(K)で受けるので、自分へはⅣのナックル(K)で①に戻る。

もどる