18.スピーカーは一応完成した。

 家内からは黒のつや消し塗装はキタナイので、ニスを塗れと注文がついた。わたしとしても、つやあり塗料のほうがダンプ効果、気密効果がありそうなので、重ね塗りしたいところだ。

 前面フルレンジユニットは168E狽セが、フォステクスの現行16センチFEシリーズでは一番強力そうなので。長岡評価ではバックロードには非力との事。
 バスレフでは半端に強力なので使いにくいらしい。シングル・バスレフで使っていて、そのとおりだろうなと感じていた。
 天井ユニットは前述の通りFE−166Eだ。
 いずれもウレタンのスペーサーをはさんで木ねじ4本でバッフルに取り付けただけ。

 配線はフルレンジはスルーの並列、ツィーターは2.2μFのコンデンサーだけでフルレンジと正相でつないでいる。

FE-168EΣ使用



 中の吸音材は、正面ユニットの周り3面と、バスレフ板の上面だ。バスレフ板はキャビネットの中央を仕切っており、天板からの放射が上面に当たるはずなので配置した。
 材料は手持ちの素材を使った。あと、底の方にも少しウレタンを入れている。ハコの大きさに比べるとわずかな使用量だと思う。

 天板ユニットには最初、フォステクスのメタルカバーをつけたが、変な共鳴音がつくので、聴くときは外す事にして、上からのせるだけにした。
 前面のサランネットは前のものを流用し、これも取り外し式。

FE-168EΣとPT-150 完成してから気づいたが、リスニングポイントからは、上面ユニットは見えない。キャビネットの高さが110.5cmあるから。
 つまり、上面ユニットからの直接音は聞こえない。すべて間接音になる、と言うこと。
 すなわち、直接音に関しては、前面ユニットだけの点音源に近くなると考えてよいだろう。

 この結果、システム全体としては、前面ユニットは直接音、上面ユニットを間接音とした場合、直接音60%、間接音40%くらいの比率で放射される事になるだろう。
 168E狽ニ166Eの能率差、ツィーターの分を含めての見当だ。まあ、実際には前面ユニットから出た音も周りで反射して間接音を作るのだから、もっと間接音が多いかな


 前面ユニットの方は、取り付け位置の寸法を間違えた”ケガの功名”で、フルレンジとツィーターはこれ以上ないほどの接近配置になっている。これも点音源の実現には有利だ。
天板用はFE-166E ユニット同士が接触するのを防ぐため、ツィーターはバッフル版より5mm程度引っ込めざるを得なかった。これはボイスコイルの位置をそろえるという意味では望ましい配置とも言える。引っ込めた結果、空洞効果の対策が要るが、まだやっていない。
 いずれ、細かい手抜き部分は徐々に手を加えて行きたい。

 で、実際の音はどうなったか。

 狙いであった中低音域の増強。これは明らかに効果があった。中低音域の量が増え、オーケストラでもジャズでもベースが力強く響く。以前は“細かった”低音域が太さを増した。ボーカルも“ハイ上がり”の感じはなくなった。

フルレンジユニットから出る音の半分は上面ユニットから上方に放射されるので、高音域は指向性の関係でリスニングポイントに届かない(反射された間接音だけになる)。
 結果的にハイカットフィルターを入れたようなものだから、バランス上、中低音域の充実に寄与したはず。

 もうひとつの狙いの「天国的な音」つまり、音場感。
 奥行き、広がり共にはっきり出るようになった。音の密度というか、実在感トールボーイ・フロア型・ダブルウーファも増した。
 以前のシステムでは、立ち上がりはよいが、前方の音場に風穴というか、スキマというか、音が存在しない空間が混ざっている感じがしたが、それがほぼ、無くなった感じ。

 奥行きのほうは、ソースにもよるのだが、楽器との距離が良く分かる。
 今までは感じなかった遠近感を感じることができる。この威力はすごい。

 しかし、左右の指向性が広がったかどうかは、わからない。
 長岡鉄男の著書では、天板にフルレンジをつけたシステムについて、“360度無指向性に放射する”という表現をしているケースがある。
 そうも言えるんだろうけれど、上面ユニットも水平方向(左右)の「向き」は前面ユニットと同じくまっ正面なので、左右の指向性は変わらないとも考えられる。ただし、後方に関しては広がるはず。

同じツインドライブでも両ユニットを正面に縦に接近して取り付ければ、ユニットの干渉で左右の指向性は良くなるというが、このシステムでは上面ユニ ットと前面ユニットは取り付け角度が違い、干渉は少ないはず。
 左右指向性の拡大効果も少ないのではないか?


 一方、
前面フルレンジとツィーターが近接配置になったのは大正解で、つながりが良くなった感じ。
 音もキンキン、キラキラしない。システムとしての高域は、やや静かになった感じ。
 それを狙っていたにもかかわらず、なぜか前の音も良かったな、と思ってしまうのは、われながら浅ましい。

 家庭の事情で底板には“家具スベール”を4つずつ貼り付けてある。面積の大きくない、密度の高い素材のものを選んだ。それでも音量を上げると床に響く。

 その他 
 以前の“とりあえずキャビネット”とは異なり、合板できちんと作ったためか、余計な音はしなくなった感じ。中低音域の充実とあいまって、わずかに大人しくなったかも。大人向けの印象になった感じである。

 
 早く、シューベルトの「グレート」を聴きたいが、それには適切なタイミングというものがある。いつごろ聴こうかな。ワクワク。(2011年5月)
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容積・だいたい






































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