33.SL−1200MK3を購入した(2013.3)
友人から譲り受けたDP−50Mは、昨年の秋より、一時的に回転が遅れる現象がひどくなってきていたのだ。
つねに遅れるとか回転ムラが生じるのではなく、ほぼ一瞬なのだが、LP1枚聞く間に1〜2回出るようになっていた。
それでも半年近く買い替えしなかったのは、カートリッジが同じなら音は同じだろうと思い、お金をかける必要は少ない、次に購入したいのはSACDプレーヤーだ、だからなるべくDP−50Mを長く使おう、と思っていたからだ。
しかし、肝心なところで遅れると、うあーっとなるし、普段の再生音も万全ではなくなっているかもしれない。ハイファイ堂で安く出たので購入したのだ。
MK3にしたのは、MK4あたりはDJ用途が鮮明になってきて、私にとって必須のフリーストップ式ダストカバーが装備されていないからだ。MK3の方が、安いしね。
で、そのSL−1200に変えてみたら、音自体が変わった。激変だ。
短時間のヒアリングなのだが、クリアで見通しの良い音になった。音の出ている場所がはっきりした。音の出ていない場所、もよくわかる。
しかし、音色は鋭い、メタリックな感じもする。これはエージングで変わる・・?あまり変わらないだろうな。既に中古品なのだから。
テーブルシートは、DP−50Mのものに交換して使っている。昔の話だが、DENONのシートがバランスが良くて、単品で購入して使っていたが、それと似ていてディスクとの接触面積がテクニクスのより大きいように見えるからだ。音の違いは?聴き比べてないな。好みの問題だ。Mk3のターンテーブルは裏側をダンプしてあるから、シートの違いは大きく出ないかもしれない。聴き比べはいつでもできるけど、今は聴き比べより、ディスクを大事に使う(一枚のディスクを同じ日に何度もかけない)方に重点が向いている。
今朝は、ヘッドホンでオーケストラを聴いたが、非常に安定・すっきり・明確な音だ。まるでCDみたい。
ヘッドホンのせいか、メタリック感は、あまり感じなかった。
それにしても、同じカートリッジなのに、プレーヤーによってこんなに音が違うとはな。考えてみると、レコードプレーヤーの聴き比べというのは、やったことがない。
オーディオを始めて最初に購入したプレーヤーは無印SL−1200だった。それ以後、CDに取って代わられるまで、SL−1200しか使わなかった。やっぱり長持ちしたし。
DP−50Mにしたときには、SL−1200の音を最後に聞いてから30年以上経っていたのだ。聞き比べにならない。
前機種の音は柔らかさがあってあいまいさもあった。こういう柔らかい音の方が良いという人もいるだろう。また、前機種が新品に近かったら違うかもしれない。とにかく、音の違いには驚いた。
SL−1200MK3の不満点はダストカバーだけだ。カバーの厚さは問題ないが範囲だが、ヒンジの可動範囲が初代SL−1200より狭い。ヒンジの力が強すぎでカバーを閉めても本体から浮いて、隙間が出来てしまうのだ。当時はダストカバーを使わないのが主流の使い方になっていたようだからしかたがない。それにこの弱点は、聴くときにカバーの上にダンプ用の雑誌を載せれば解決する。これは初代SL−1200でも、DP−50Mでも普段からやっている事だ。つまり、実際上は問題ないってこと。
翌々週、ようやくまとまった時間が取れたのでLPをじっくり聴いた。
アンセルメ・SROのシェエラザードを最初に聞いたが、花粉症のクスリのせいか、寝てしまった。しかし、生々しい音になったのは、わかった。
ジュリーニ・ロスフィルのラヴェル、マ・メール・ロワを聞いたが、金管は少しメタリックな感じがした。
バーナード・ハーマンのタクシー・ドライバーを聞いたら音がはっきりしていて驚いた。楽器の質感が良く出る。
人の声はどうかと思って中山ラビ「もうすぐ」の1面を聞いたが、あまり変わってない感じ。細かい音はよく聞き取れた。
赤い鳥の「美しい星」から3曲聴いたら、音色は以前と変わらず、質が上がった感じがした。
ストップボタンの電子プレーキが素晴らしく効く上に、回転の立ち上がりがすごく早いので、聴き比べには便利だ・・・。
クレンペラー・NP0のブラームス3番を聴いたら、なんとなくわかった。
いままでに比べるとベールを1枚(または数枚)剥がしたように鮮明なのだ。
音が。聴きなれたNPOの高弦は,メタリックでも硬質でもなかった。むしろ今までよりなめらかだ。これはFE168EΣからFE163EN-Sに変えたせいかもしれないけれど。
ようするに、硬質な音は硬質に、なめらかな音はなめらかに再生しているようだ。質が上がったのだ。
目の前で演奏しているような感覚が増したので、とまどいや緊張感がある。
以前の音に比べたら、ブーレーズ・クリーブランドの「レントゲン写真」みたいにくっきり聴こえる。
これがSL−1200の高音質なのだろう。
・・・
今週は、ベートーヴェンのミサ曲ハ長調・A面とフランクの交響曲ニ短調第1楽章(ジュリーニ・PO)を聴いた。
時間が無かったから。
しかーし、SL−1200は、いーい音だった!
これに比べたら、前の機種の音は、曇りガラスを通して見る景色のようなものだった!・・・。SL−1200の音質は、素晴らしい。
今日、3/31は昼頃から鈍い頭痛に悩まされ始めた。
朝方はなんとも無かったが、遅めの昼食後に風邪薬をのんだが治らない。
やはり、昨日、極寒の野球観戦が負担になったのだろう。
午後も疲労感が増してきて、夕方にも頭痛薬を飲んで、20:30頃になるとようやく頭痛はおさまり、Beミサ曲ハ長調、フランク交響曲第1楽章・ジュリーニ/POをきれいで臨場感のある音で聞いた。
きれいで臨場感のある音、これがSL−1200の特徴だろうか。むかし、初代SL−1200+205CMk3+AU−707+UP−203S・2Wayバスレフで聴いていたときも臨場感があったっけ。
今週は、ようやくSL−1200を落ち着いて使えた。
ジュリーニ・POのフランク交響曲と、アンセルメ/SROのシェエラザード、ジュリーニ・LPOのドヴォルザーク交響曲第7番だ。
やはり、音がいい。
底力のある音、くもりの無い、遠くまでよく見える(聴こえる?)音だ。
安定した音でもある。回転に不安が無いので、まったく安心して聴ける。
DP−50Mとは構造上の違いがいろいろある。DP−50Mは裏蓋を開けてみた事があるが、しっかりしたつくりで補強など必要ないと思った。しかし、SL−1200の方がさらにしっかりしている。剛体だ。しかもアームコードはRCAケーブルに直接配線され接点が無い。DP−50M等の5Pinコネクターは接点が貧弱だったよ。差し込んであるだけで、引っ張れば取れちゃうんだから。アーム自体もベースの穴に差し込んであるだけ。持ち上げるだけで、取り外せてしまう構造だ。いわば、載せてあるだけ。SL−1200のアームは、がっちり固定されている。動くのは回転部分だけ。
そうなると、構造上は、音が悪くなる要素が少ない。接点が1つ少ない、ケーブルもはっきり短い。アームが固定されている、ボディの剛性と密度が高い。
205Cmk3などのカンチレバーは支点を明確にするためにワイヤーでつないである。それを支えるカートリッジ〜シェル〜アーム〜キャビネットまでの剛性が高いので支点がより明確化され、音の見通しが良くなるのだろう。
剛性や固定度の低い機種に比べると、ミクロのレベルでのガタや振動が少ないはずだ。
アームは、恐らく高性能であろう。EPA―100との違いは、チタニウムパイプ→アルミかステンレスのパイプと、ルビー軸受け→ボールベアリング、ダイナミックダンピング→無し、の3点なんだろうな。ずいぶんコストダウンできるはずだ。基本設計は同じようだから、基本性能は良さそうだ。(長岡鉄男は感度が良い、タフである、と言っている)
音は長岡鉄男の記事から類推すれば、「パワフルで繊細、10〜20万円のプレイヤーに匹敵するパフォーマンス」という。
確かにパワフル。力強くなった。推進力を感じる。こんなに違うとはねえ。
長岡鉄男は、たぶんDD派だろう。
彼の「高性能重量級糸ドライブ」に対する考えは「信じる人は信じただろうが、信じない人は信じなかったに違いない」だった。名前を出して製品の価値を否定する表現は避ける人だったからな・・・。
SL−1200派(?)の人は長岡鉄男の他に桝谷英哉さんという人がいたっけ。
アンプの設計者だけあって、DDモーターはノイズ洩れの心配の無いDCモーター、という主義のようだ。人類が月に行ける時代にターンテーブルを定速回転させるのは難しい技術ではない。十何Kgもあるターンテーブルが必要だとしたら、モーターに問題があるとしか思えない、と書いて、購入の相談ではテクニクスのマニアルDDプレーヤーを勧めていたな。
まあ、個人的には、十何Kgもあるターンテーブルを使えば、風力発電設備から出るような低周波系の音が微細に発生して演奏会場の暗騒音のような雰囲気を再現、音楽性のある音になるという仮説も立てられるのではないか?
そういう装置も「音がよい」という事はあると思う。
山口克己「LPレコード新発見」を読んだ。
凄い耳の持ち主のようだ。プレーヤーはLUX。モーターはSP−10系なので、DD派と言えるだろう。たぶん。
スピーカーはP-610ダブル+ツィーターの100Lバスレフだと!
わかる。凄い。俺のにも似てるじゃない。すごいなあ。でも、こういう鋭い耳の持ち主には合うシステムだろう。理にかなってると思うよ。
この人が言いたい「良い音のするレコードプレーヤー」の仮説は凄い。
カッティングマシンはダイレクト・ドライブ・モーターで駆動されているが、カッティングの際に摩擦抵抗でミクロの回転遅れが起こるはずだから、再生時の摩擦抵抗で起こるミクロの回転遅れがカッティングマシンに近い特性のものが音の良いレコードプレーヤーである、と言うことらしい。
だが、どのレコードプレーヤーがそれにあたるの?という事では、特定の製品名はおろか、メーカーも方式にも触れていない。考え方を述べた、ということだろう
そこまで考えて判断するとは、すごいねえ。しかし、続きを自分なりに考えると、やっぱり日本製のDDモーターで、テクニクスのものがそれに近い、「よい音の」ものではないのか?音を決める要因は他にもあるので、それだけでは決められないと思うけどね。
先輩ユーザーの1200の音評価だ。
まず音の抜けが違う。
その濃厚な音にすっかり惚れ込んでしまった。
(2013/5)
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