34.スピーカーの外側補強(2013.5)
F−56MK3は、キャビネット上部に全ユニットが配置されている。そのため内部の補強も上部を重点に設計した。
上部の補強方法は、長岡鉄男流の、直角に補強板を配置する方式だ。これは構造的にも響的(?)にも効果が高い。
しかし、上部に比べてキャビネットの下半分はあまり補強していない。
特に側板は控えめだ。響棒を一本配置しただけ。響棒の場合は、補強とか防振というより、音の響きを整える効果だから、キャビネットの上下で補強の考え方も違うという事になってしまった。
そこで、側板に外から補強を行うことにした。
方法は、側板の下半分に厚さ3ミリの合板を貼り付けようというものだ。部分的に板厚を18mmに増やすという事。
どこかのキャビネット工房で見かけたが、キャビネットに斜めカットの板を張り付けたり、彫刻したりして、「響きが良くなる構造」というのがあった。
ピアノの響板と同じ考えだ。
それも参考にして、どうせなら斜めカットよりもピアノの響板そのもののデザインにしようと思った。
ピアノやっている子供に響板の絵を描かせてそれを型紙にし、知り合いの木型屋さんにカットしてもらおうという計画だ。
まず、実物大の紙に響板の絵を描かせた。すこし丸い気がしたが、これでいい。
木型屋さんに持っていったら「個人的使用なら材料費だけでいいよ」と言われ、4枚4000円(3mmシナ合板)にしてくれた。
仕上がったのを見たが、元の型紙を再度図面にしてからカットしたようだった。
なにしろ、木型は精密加工だ。普通のDIYはおろか、キャビネット専門業より高度な技術と思われた。
5月の連休にようやく貼りつけ作業を終えた。もはやクギを打てないから、ひたすら重しによってボンドで貼りつけたのだ。
エポキシやその他の接着剤も考えたが、響の上では木工用ボンドが良さそうだし、手持ちが余っているのでもったいない。しかし、実際にやってみたら、とても足りなくて買い増しが必要だった。面積が広いからねえ。
十分乾燥させて、先月の休みに片チャンネルだけ塗装をした。
塗装をした仕上がりは、なかなか立派だ。キャビネット下半分はズドーンとしていて「作っただけ」という感じだったが、曲線のある側板のおかげで「作りこんだもの、職人芸の入ったもの、」という感じになった。私が手掛けた部分(大部分だが)は、確かに作っただけだが、曲線カットの部分は実際、職人芸だからな。
それに、シナ合板は仕上がりにも高級感がある。全体をシナ合板にすればよかったか・・・。
ところで、その木型屋さんだが、70歳になるクラシックファンである。
メンデルスゾーンのバイオリンコンチェルトを聴いて、「こんなに美しい曲があるのか」と思ってクラシックファンになったそうだ。
しかし、今回、改めてお話ししてみると、聴くレパートリーは広い。
グールドのバッハ・ゴールドベルク変奏曲、LP初期の25cm版のトスカニーニの未完成、マーラーやブルックナー、モーツァルトのいろいろな曲。
「マーラーの5番は聴かないの?」と聞かれたときの目つきは鋭かったっけ。
彼はモーツァルトが好みだそうだ。
CDもLPも演奏できる環境をお持ちのようだ。
ただ、一曲一演奏家で聴かれる傾向があるようで、演奏家による違いにはあまり関心がないようだった。
35.塗装も終わった。(2013年7月)
ようやくキャビネットの塗装が左右共に終わった。細部の仕上げ、修正はまだ必要かもしれない。
これで、裏板と底板を除き、全面を艶ありの水性塗料で仕上げたわけだ。これなら気密性が高まり、板の響も、たぶん良くなるだろう。
ただし、買い足したはずの「黒」が行方不明になったため、片側スピーカーは右側面(外側)と左側面の響板部分は焦げ茶になってしまった。
しかし、まあ、これも良いと思う。手作りならではのサプライズだ。
塗装は、ピアノ教室待合室兼リスニングルームで行ったが、当然ニオイがすると家内との関係が悪くなるので、留守の間に手早く仕上げた。乾燥させる間は、サーキュレーターで空気を窓から逃がしたので、ニオイはほとんど残らなかった。
これで、本当にスピーカーはほぼ完成。あとはやるとしても微調整に属するものだけだ。
先日、子供の通う教室の発表会に行った。会場は「白寿ホール」で、7FロビーにB&Wのフロア型が置いてあった。アナウンスや演奏をロビーに流していた。一台100万円以上するのではなかろうか。
発表会では、声楽の先生や生徒の親の弦楽奏者も参加していろんな曲をやってくれる。
なかなか楽しめた。特にチャイコのVnコンチェルト(伴奏はピアノ)は楽しめた。第一楽章だけだが、バイオリンの響を堪能できて良かった。ステージ近くで聞いたので、特に。
翌日、CDとヘッドホンで同じ曲を聴いたが、バイオリンの音はスムーズだがあの生々しさにはかなわなかったなあ。
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