36.CDプレーヤーの検討と購入

 SL−1200を購入した事によって、アナログオーディオ再開前から使っているコンポは、CDプレーヤー、パナソニックのSL-PS840だけになった。当時の推奨コンポだったと思うが、詳しい事は憶えていないし、当時すでにオーディオへの興味が薄れていたので、あまり検討せずに購入したものだ。で、どんな音と評価されていたのか、知らない。

しかし、“B級オーディオ・ファン”のサイトを見てある程度見当がついた。

また、このサイトでの各機種の音質評価は、自分で使った機器の評価なので信用できそうな印象を受けた。

 それによると、松下系のCDプレーヤーは“柔らかい音”で、ものにもよるだろうが、現行の普及機種にも負けない音質を持っているようだ。

 確かに重量だって6.3Kgあるから、今どきの入門機より重いしな。

 しかし、SACDは再生できない。1992年製だからね・・・。

 とはいえ、今後、LPレコードをそうは購入できないだろう。場所をとるし。

 今もっているLPは各ジャンルあわせて100枚くらいだから、今後、クラシック名曲と付き合っていくうえでは、やっぱりCDが主力になるだろう。

これから聴くのにこだわりたい曲は、SACDで聴くという選択肢もある。

 そうなると、10万円オーバークラスの、今より上級のCDプレーヤーが欲しい気はするのだ。

 ちなみに、LPで持っていなくて、気になる曲の中には、以下のようなポピュラー名曲がまだまだある。

 メン・チャイ・ヴァイオリン協奏曲、グリーク,シューマン・ピアノ協奏曲、アランフェス協奏曲、スペイン交響曲、チャイコ交響曲第4番、フランス山人の歌による交響曲などだが、特にチャイコのヴァイオリン協奏曲だ。発表会でピアノを伴奏にした演奏(第一楽章)をステージ近くで聴いて、はまってしまった。

 あれは、特別よい音で聴きたい・・・。

CDプレーヤーはデジタルだから、新しいほど良いのだろうと思っていたのだが、そのCDプレーヤーでさえも、「古い時代の製品の方が良いかもしれない」という人がいるし、改めていろいろ調べてみると、CDプレーヤーは高いものを買ってもあまり効果が無いという説、90年代までは物量を投入していたが、それ以後は売れないのでCPはどんどん落ちている、という説もある。

“B級オーディオ・ファン”によると「80年代末〜90年代初めのCDプレーヤーでは「398」のモデルでも2重底が当たり前。6万円クラスではシャーシを補強するビームや、メカと回路を隔てるシールド板が設置されていましたが、それもありません。CDプレーヤーが売れない時代では、定価9万円といってもこれが現実です。もちろん○○○のプレーヤーだけが悪いのではなく他のメーカーも似たりよったりです。」との事だ。他のサイトでも似たような事はいっぱい書かれている。

さらに情報を集めると、長岡鉄男の愛用機種はTEACのVRDSメカのもので、これはCDの回転の正確性と不要振動の抑制でデジタル補正をなるべく減らす、というものらしい。

で、その長岡鉄男の「わけのわかるオーディオ」、千葉憲明の「オーディオ常識のウソ・マコト」正・続を入手してデジタル,CDについて読んでみた。それぞれ3回ぐらい読んで、ようやくいくらかわかってきた。

CDは、定速回転でなく、回転数は外周に向かって連続的に変化する。読み込んだデータを一旦ためておいてから出力するので、回転ムラは無視できる。

同様に、データのエラーなどがあってもデジタルで補正するので、きれいな音を出せるらしい。

CDには、やはりアナログ−デジタル変換時の歪み、よく見かける波形がギザギザの階段状になるという奴だ、これがある。これと同じものなのか、まだよくわからなかったが、サンプリング周波数の整数倍のノイズが発生する。「わけのわかるオーディオ」の図によると、ノイズのレベルは元の信号と同じくらいに見える。これをカットするためにハイカット・フィルターを使うのだ。

ノイズやひずみはこれだけではなく、他にもいろいろあるらしいし、集積回路からは外部に強烈なノイズが発生するらしいし、そうだとするとアナログディスクに比べて圧倒的な低歪、といえるのかどうか。

それと、「続オーディオ常識のウソ・ホント」の実験では、正弦波の周波数特性をテストしたら10KHz以上では波形の乱れ・歪が生じてしまうが、サンプリング周波数を高くすると歪みも高い方に移動するので、サンプリング周波数は高い方が良い。CD標準の44.1KHzでは足りない、ということのようだ。

 階段状のギザギザを“なめらかにする”ための技術は各社工夫してあるが、読めば読むほど、それらの“工夫”“技術”は原音に近づくのではなく、遠ざかるような気がする。だって、いずれの方式も、読み取った信号をなんらかの基準により“修正”するわけなのでね。

 結局、アナログとデジタルはずいぶん違うというわけだ。アナログの場合、LPレコードに入っている音が100で、今使っている装置の能力が50とすると、パーツをグレードアップすれば50が55や60になって、原音に近づいて行くかもしれないが、デジタル(CD)の場合はサンプリング周波数で“最高音質”が決まっていて、あとはそれをどれだけ劣化または変化させないかというだけの事だな。

従って、おなじCDソフトを再生するのであれば、根本的な音質(可能な最高の音質)はどのCDプレーヤーでも同じ。

 違いは“枝葉“の部分でデジタル補正の違いによる音(色)のちがいと、振動防止やらお金の掛かる細かい作りこみによる違い、この2つが違うだけという考え方もできる。

 同じ微小な違いでも、アナログの場合は原音に近づく可能性があるから面白いが、デジタルの場合は原音との差・距離は変わらないようなのが、面白くないところだ。

だから、CDプレーヤーは普及品で十分だ、CPは普及品が一番高いのだ、という考えもあるわけだ。

ところで、JEITAという法人のサイトにCDプレーヤー出荷台数の統計資料があった。2000年以後のものだ。

      総数              内、ポータブル機器

2000     2351              2190

2001     2650              2492

2002     2479              2350

2003     1838              1737

2004     1359              1311

2005     868              794

2006     740

 これによると、2000年には既に出荷のほとんどがポータブル機器になっていた、という事だ。これでは売れてる数が少なすぎる気もするが、恐らく輸入品はカウントされていないんだろう。

 別のデータだが、音楽CDの販売枚数のピークは1998年で、99年には減少に転じたそうだから、確かに90年代後半以後は、売れないものを作り続けている、という事なんだろうなあ。

 オーディオ技術のピークは1985年説、1995年説というのも、こういうデータからは、うなずけるものがあるなあ。

で、どうしましょうか?やはりSACDを聴ける環境を作りたいですか?

その後、さらに長岡鉄男の「わけのわかるオーディオ」、千葉憲明の「オーディオ常識のウソ・マコト」正・続を、もう一度読んでみた(通算4回)

すると、重要なことがわかった。

CDプレーヤーのサンプリング周波数は44.1KHzが基本だが、オーバーサンプリングとして88.2KHz、174.4KHzで処理しているものもある。これなら、44.1KHzで処理しているものより、たぶん、“素“の音がよいだろう。

あと、16bitより20bit,24bit,32bitの方がやはり有利なんだろうな。

そう思って各社のスペックを調べてみると、やっぱりDENONのは抜け目が無い。32bit、ハイサンプリングだ。しかしオレ様はデザインが嫌いなので対象外。

あと中古でよく出ているM社の場合、高級機でもCDのサンプリング周波数は44.1KHzだと。がっくり。

「ナチュラルサウンド」のYAMAHAにしようかと思ったが、“B級オーディオ・ファン”のレビューを見て却下。

そしたら、パイオニアのPD−D9mk2というのがハイファイ堂で出てきた。

これはよさそうだ。CD再生のサンプリング周波数が174.4KHzである。デザインはイマイチだが、重量も11kgある。

パイオニアというメーカーにはバブル崩壊時の大リストラで一時、悪い印象をもったのだが、その後の同業他社、大手企業各社のやったことを見ると、パイオニアだけが非難されることでは無いと感じた。
 しかし、社名のロゴやマークは昔の方がよかった。パイオニアといえば、“開拓者”という意味ですよ。昔の宇宙船パイオニア1号はNASAが打ち上げた最初の宇宙探査機です。

旧ロゴはそれを髣髴とさせる風格があったのに、何?いまのロゴは?パイオニアじゃなくって、ピオニアーになっちゃうじゃないの? 

まあ、PIM−16Aを作ったり、PT−150に長年お世話になりましたから、パイオニアが嫌いという事は無いので。

パイオニアといえば、PD−70というのもオーディオユニオンで出ている。これは現行機種で、新品でも5万円台で買えるらしい。32bit、ハイサンプリングのようだ。重量は8kgくらい。

なぜ、軽くなってきたのか?良く考えると、デジタル機器の処理速度は圧倒的に向上している。CDから読んだデータの補正なんか、年々ちょろいものになっているだろう。すると、回転系の工夫やその他お金の掛かることをしなくても良い音を出せるようになって来ているのではないか?

結果、重量も軽くなり、お値段も軽くなる・・はずだが、PD−70は10万切る価格なのに、DやMは安くならない。マーケティングで言う、「残り福」というわけか?まあ、メーカーも稼がねばならないからなあ。

そう考えるとPD−70の価格は立派なのかも知れん。しかし、某社10万円クラスのように細かい部品で手抜きをしているかも知れん。どっちなのかはわからない。

Maranz_sa-14そんなことを考えているうちに,ハイファイ堂のPD−D9mk2が値下げして6万円を切った。いかん、私の指が・・・[購入]ボタンを押して・・しまう・・・ああ、押してしまったあ。



 PD−D9Mk2は連休初日にやってきた。

 それに備えてSACD2枚をHMVで購入しておいた。

さっそく設置する。前機種と同じ場所、同じRCAケーブルでつなぐ。電源ケーブルはぶっといが、本体への接続はなんだかゆるい気がした。しかし、ケーブルに投資しすぎないオレ様は、どうせ松下電工の延長ケーブルに接続しているのだ。(電源ケーブル経由のアンプへのノイズ回り込み緩和策の意味もある、としておこう)

重量は11Kgもある。そんならSL−1200より重いじゃないか。

連休2日目は家内も子供も歌とピアノのレッスンでお出かけであるので、ゆっくりCDを聴くことが出来た。

メンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲 ミンツ・アバド

ロドリーゴ、アランフェス協奏曲 

月刊ステレオ付録のテストCD

シベリウス・ヴァイオリン協奏曲 ヒラリー・ハーン

チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲 ハイフェッツ・ライナー,SACD

スペインの庭、パニアグワ、SACD(1〜10)

これらを聴いてわかったのは、意外に中音域が充実しており、中音域でいままで聞こえなかった音が聞こえるようである。

弱音が美しく、響きや、音の消えるところが美しく、最後まで耳を傾けさせるところがある。

高音が鋭いとか、とがっているようなところは無い。すなおに良く伸びている・・のではないか。

SACDはよい音だが、元々同じCDは持っていないので、どう違う、と聴かれてもわからん。ハイブリッドだからCDモードにして聴き比べれば良いのか?そんなことをしてもあまり意味が無いような気がするな・・・。たぶんしない気がする。

デザインは、表面のピアノフィニッシュはたいへん美しいが、ピオニアーのロゴが嫌いなのと、ディスクトレーがパソコンみたいで安っぽいが、まあ仕方が無い。個性的ではあるし、良しとしよう。

しかも、だ。裏を見てみたら、「日本製」である。良かった・・。

すくなくとも、大枚はたいて購入した機器だ。じっくり聴いてみよう、という気にさせる事は間違いない。なに、聞き込んでいるうちに大抵の音は慣れてきて気に入ってしまうものさ。

今日は、72年代のフォーク・ポップス集でボーカルをいくつか聴いた。

PD−D9mk2は、中音域が充実していると思ったが、ボーカルではそれが良い方に出て、とてもよかった。リアルだ・・。しかし、録音の古いものの中には、音の古さやアラが出てしまうものもあった。やむをえない。

他にセル・クリーブランドのモーツァルト交響曲第41番を聴いたが、これもいい音になっていた。よかった。

パニアグワのSACDは20曲目まで聴いたが、「古代ギリシャの音楽」とは中身が違うようだな。要チェック。

その後、散歩に行ったが、台風の後で気持ちよかった!こういうときは、やっぱりベートーヴェンの「田園」を聴きたくなるなあ。

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