50.ピカリングXUV4500Q !!!

 ヤフオクをしばらく見ていたら、とうとうピカリングXUV4500Qが出た。なつかしい。うう、買うつもりになっている。贅沢だ。
 ピカリングは70年代にXV15-400Eを使っていた。秋葉原で店員の勧めで試聴した。カラヤンのベートーヴェン7番がすごい生き生きした音で迫ってきたので感動して購入した。ずっと使っていたが、いろいろソースが増えるうちに物足りなくなって最終的に205CMk3にしたんだったな。
 当時、ピカリングXUV-4500Qは謎のカートリッジだった。クァドラヘッドラルというシバタ針タイプのスタイラス以外はスペック不明でで53000円という超高額な機種だった。素材にベリリウムもボロンも使っているとは記載されていない。カタログには「ダスタマチックをご使用ください」というアピールだけで高級機種のくせに構造や材質を誇示していなかったのだ。
 「愛読誌」だった週刊FMの長岡鉄男レビューでも見たことは無い。まったく購入する気はなかったものの、いったいどんな(変な)音がするのか?という興味は強かった。
 結局、オークションでは19200円で落札できた。意外に高かった。まもなく届いた。梱包を開けたら、高級感のあるボディーが目に付いた。一目見て400E等とは違うな、と感じた。スタイラスを見ると、まるでテクニクス205Cmk3のように細いカンチレバー、小さい針先だった。ルーペで拡大すると独特でカーブド・テーパードカンチレバーという感じ。落札価格が高かったし、互換針の購入は当面見送ってこのまま試してみることにした。
 しかし、取り付けようとしたらアームのウエイト調整が壊れたらしいことがわかった。手探り・目視による針圧で音出しをし、到着確認をした。やむなく、ベルドリーム(国内メーカー)の針圧計をヨドバシで注文した。
 今日、届いたのでさっそく使い、4500Qの音を本格的に聴いた。驚いた。素晴らしい音だよ。バルビローリのドヴォルザーク交響曲第7番の裏面をエージングを兼ねて聴いたのだが。ワイドレンジ、圧倒的情報量。エラートのテストレコードA面も聴いたが、やはりすばらしい。やや高音域はハードかな。
 音は、最初に針を落とした時のノイズからしてmk3に似ていて、高域が伸び切っている感じ。しかも、低音が豊かな上に引き締まっている。低い所まで伸びている感じで、これは何を聴くにも効果的。音楽を楽しく聴ける。ただ、ボーカルではサ行は鋭くなる。
 創業社長のピカリングさんはホルン奏者で、電気・航空エンジニアで全米バイオリン協会の会長を務めた人らしい。まるでダ・ヴィンチだな。
 音楽家が作ったカートリッジと言えるかも。それにしてもこのスタイラス、日本メーカーに外注したのではないか?という気さえしてくる。
 改めてスペックを調べてみたが、なんと直流抵抗が600Ωしかない。シュアーのV15Ⅲは1,350Ωだ。205Cmk3は500Ωだから、ローインピーダンス型というわけだ。実際、聴感上の出力は低めに感じた。これは、宣伝カタログとは異なり、かなりのハイテクカートリッジなのではないか?
 うう、しばらく聴いてこの音にほれ込んでしまった俺は、やはりレコードの盤面が心配なのでJICOの互換スタイラス・シバタ針を購入して入れ替えた。外見上、オリジナルの方が針先が小さいような気がするが、音は同じ傾向なので、ずっとそれを使っている。
 なお、ベルドリームの針圧計はすぐれものだ。0.1G単位で針圧がデジタル表示され、安心感がある。これはアナログ派の必需品ではないか?
 
毒のある高音(?)
 ダイヤトーンのコーン・トゥイーターの音を聴きたくなってきた。NHK見学コースで昔聴いた三菱モニタースピーカーのなめらかだがはっきりした音、安いダイヤトーンのコーントゥイーターを購入して聴いたシャリシャリした音を今頃懐かしく思い出している。
 そこで、寝室のバックロードに載せている拡散ホーンツィーターTW-610BをダイヤトーンTW-4038BMに乗せ換えてみた。これもオークションで購入したものだ。オンキヨーTW610Bは柔らかくて雰囲気のある音だが、超高域の伸びは足りない感じがする。まあ、元の音源やアンプを考えると高望みは出来ないのだが。
 TW-4038BMは3ウェイのDS-32Bmk2に使われたトゥイーターで、「セミドーム型」といっているが、実態はコーンだ。しかし、口径は4cmと小さく、2ウェイのDS-28Bなどに使われた口径5cm以上・オリフィス構造採用のものとは異なり、高域~超高域を担う設計のようだ。再生限界は30KHzであり、スーパートゥイーターと言える。小口径のフルレンジと組むには向いているはずだ。
で、鳴らしてみたら、やはりちがう。輝きが。空間の見通しが良くなった感じ。より現代的。
 だがTW-610の方は柔らかくていい雰囲気があるので、ソースによっては威力を発揮すると思われる。ソフトドーム全盛時代の製品でなのでこういう音色なんだろうな。
 しかし・・・。半年ほどTW-4038BMを使ったが、だんだん気になる点が出てきた。クォリティは高いのだが、この環境、つまりデジタル音源100%の寝室には向かないようだ。デジタルらしさがストレートに音に出てしまう。超高域まで延びているとはいえ、アンプなどは20KHzまでしか再生できないものだし、スーパートゥイーターのメリットは出ない。
 そこで、ふたたびオンキヨーのTW-610に乗せ換えることにして、今度はコンデンサーを高級品のムンドルフ0・47mFに代え、ちゃんと接点をはんだ付けし、コンデンサーもぶら下げでなくバッフルに固定させた。するとクオリティも上がったようだし、今のところたいへん調子よい。やさしい音がしている。聴いていて安心感がある。音楽が楽しい。
 TW-4038BMは地下の本格的なシステムで使った方が良い結果になると思う。そのうち試してみたい。
(2022/4/2)

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